福野礼一郎「こんなDCTは早く捨てた方がいい」ボロクソの名門ブランド・・・



最初から壊れている!?
日本のユーザーはどこまで我慢して使い続けるかを試しているような、非常にぎこちない操作感。思わずディーラーの営業マンに「このクルマ壊れてませんか?」と訊いてしまった。お値段は一声で100万円以上も値引き。「本体価格」とは一体何だったんだよ!?・・・これは7年ほど前に実際に輸入車ディーラーで試乗して感じたことだ。



低価格の輸入車は・・・
このブランドに限らず、昨今の1000万円以下で買えるお手頃な輸入ブランド車の多くに共通したことだが、どうも「ミッション」「エンジン」「ボデー」「サスペンション」「ステアリング」「アクセルフィール」「ブレーキ」「ドア開閉音」「シート」といった些細な部位で、ちょっと看過できないほどの「躾けの悪さ」と、素材・品質の弱さに気づいてしまうことが多い。いつから欧州ブランドは当たり前のことが当たり前にできなくなったのだろうか!?



諸悪の根源は日本の大手メーカー!?
2010年頃の素晴らしい著作を読むと、福野礼一郎氏は、2000年代に見られたドイツブランド車の品質低下問題に際して、「間接的な責任はトヨタとレクサスにある」と断じていた。トヨタのクルマ作りを取り入れた結果が、2000年代に入って見るも無残に質感を無くした欧州ブランドの姿だと舌鋒鋭く切り込んでいた(出典「世界自動車戦争論」双葉社)。



新車作り過ぎ問題・・・
それから10年が経過した。トヨタの真似をして本来の姿を見失ったとされる欧州ブランドへの福野評はさらにどう変わったのか!?2000年代の「トヨタ化」により徐々に「平凡」で「低品質」な乗り味がデフォになったけども、リーマンショックを経てさらに「トヨタを超えるコストダウン」へと邁進し、2010年代を通してさらなる次元へと変容を遂げた欧州ブランドは「落ちるところまで落ちた」らしい。もはや「トヨタの真似」などと表現することは、真面目に研究開発費を計上して良いクルマを作ろうとしているトヨタに対して大変失礼な話であり、ものすごいペースで乱発される新型モデルに対しては、ほぼカネを払う価値すら無くなったようで、ひたすらに激しい不満をブチまけるようになった。


とうとうバラした・・・輸入ブランドの内幕
読者に変な固定概念を植え付けるのは良くないのだけど、冒頭に書いたように、ここ数年の欧州ブランド車は試乗した直後に「日本市場からいなくなればいいのに」と呟いてしまいたくなるモデルが存在する。福野さんに言わせると「最近のヨーロッパ車はいよいよ試作開発を全廃、ほぼシミュレーションのみで設計している」ってことらしい。全部が全部ではないのだろうけども、確かにそういう事情でもない限りは到底に説明不能なレベルのクルマが存在している。欧州メーカーの技量が落ちたわけではなく、ただただやる気をなくしているだけらしい・・・。


作り直せ!!・・・ってレビューに書いていいの!?
福野さんによると、2000年頃に日本で大きなシェアを持っている輸入ブランドで「トヨタ化」とされる現象が見られ始め、リーマン後には多くの輸入メーカー車から「個性」が消えていた。一律の小排気量ターボ化を日本のカーメディアと輸入車信者は歓迎したようだけど、ドラバビリティの低下は如何ともし難く、さらに本稿のタイトルにもあるように制御するDCTのあまりの不出来に福野さんがキレた。もう暴言が止まらない。この有名ブランドの試乗車を貸してくれるインポーターとの軋轢も笑えないレベルになっているらしい(「あれ以後全集8」より)。


なぜ先代の時にはキレなかったの!?
しかしこのブランドのFFモデル用ミッションは先代の段階で既に存分に馬脚を現していた。なぜその時に「大事」なことに気がつかないのだろうか!?ちなみに先代モデルが登場したのは2013年のこと。当時はこのモデルに限らず、ボルボV40(1.6Lターボ)やVWゴルフが一斉に発売され、カーメディアがにわかに「輸入Cセグ祭り」を繰り広げていた。そしてV40とゴルフに関しては福野さんは「絶賛」に近い高評価を与えている。V40のフォード・エコブーストは自然吸気並みに上まで回るスポーティユニットで、昨今の「お通夜モード」の染みったれターボとは全然違っていたし、「Cセグ=小型車」という概念をぶっ壊しすのに十分なフラット感がゴルフには備わっていたよ・・・。



大人の事情
V40やゴルフを絶賛している手前、どうしても同様の小排気量ターボにDCTを備える名門ブランドのCセグ車を批判できなかったのかもしれない。「クルマ評論2014」にその世代のモデルに関するレビューが出ているが、DCTの話は全く出てこない。先代も現行もDCTに関してはほぼ同様の不満はある。ハッキリ言ってしまえば日本メーカー車では絶対にありえないレベルの仕上がりだ。世界で一番ペダルフィールにうるさい私のような「MAZDAファン」が神経質過ぎるだけ何だろうけども、販売店に「ペダルがおかしいです・・・」とクレームを入れたくなるレベル。


2019年に壊滅したドイツブランド
ゴルフとボルボV40は絶賛したけど、それ以降の欧州メーカーに対しては「論外」だと完全に切り捨てるモデルがチラホラ見られる。単行本を年に数冊発売する類稀なる発信力を持つ「アマチュア」(非AJAJ)ライターの福野礼一郎さんの影響力はそりゃ凄いですよ。コロナ前夜の2019年の販売は福野さんが「論外」と断じた欧州ブランドを中心に、軒並み10%前後の販売減に追い込まれている。最初からそれほど期待もされずに(元々終わっている)、厳しいレビューが書かれることもなかったフランスのブランドは価格競争を制したこともありシェアを伸ばしているけど、有力なドイツブランドはポルシェ以外はさっぱり・・・福野さんの宣言通りに本当に「終わり」を迎えてしまった。



そんなに酷いか!?
「X2(448万円〜)」より「C-HR(236万円〜)」の方がいいですかね!?このマッチアップは6MTが配備されているC-HR支持の声も理解できるので微妙ですが、「XC40(396万円〜)」より「新型ハリアー(299万円〜)」の方がいいとは・・・うーんユーザー次第か。CVTはどんどん良くなっているらしいので、トヨタのクルマ作りを批判する前にもう一度じっくり乗ってみる必要があるかも。個人的な考えでは、決して福野さんが捲し上げるほど輸入ブランドの現実は悲惨ではない気がするし、福野さんが今更に叫ぶ内容は、それこそ俺が免許を取った20年くらい前から輸入車にずっと見られていた現象に過ぎない。



クルマはそんなにつまらないものではない
日本メーカー車が軽自動車から大型SUVに至るまで、「駆動シナプス」と言える領域で着実に進化を遂げていて、さらにボデーやエンジンを作るマテリアルにも恵まれているのは確かで、質感だけを見てしまうと日本メーカーの方が確実に有利であるし、特にこだわっている広島メーカーなどは軽く「チート」なレベルにある。・・・けどクルマの魅力ってそれだけじゃないと思う。すっかり「優等生」になった広島メーカー車には、ある種の迫力が失われているし、いちいちNVHやシナプス部分での不始末が気になるビーエムやアルファロメオの挙動も、なぜか再び乗ってみたいと感じてしまう不思議な魅力があったりする。すっかり「優等生」で「上から目線」になった福野レビューにもなんだか幻滅を感じてしまうわけだ・・・。








コメント

  1. 初期のころからのDCT、当時はDSGでしたかに乗っていましたし今も車を変えて乗っていますが。あれは初期のころの説明では、自動化したMTですよ。MTの経験があれば回避できるけど無いと悲惨になるという。 湿式の7速、8速は良くなったんじゃないですかね。ある意味のトルコンATの模倣と言う意味では。乾式は、まあ、良くはなっているんでしょうけど。即応性はどうでしょ?

     ここに書いてあることある程度は納得できますけど、まあ好きだからで乗りますけどね。 ただ、AUDIのRSシリーズは少しは認めてあげて下さい。あれ、もうからないのによくやるなぁっと思ってみています。 BMに関してはスルーで。メルセデスは、、A、B系列は何というかしか言えませんが、日本人には刺さるみたいですよ?

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