久々に「VWゴルフ祭り」が始まった!!


 

自動車ライターが多数参戦

フォルクスワーゲン・ゴルフの第8世代が1年半遅れて日本市場にも投入された。先代モデルは日本市場で年間2万台以上を売り上げたこともある「桁違いの輸入車シリーズ」が9年ぶりに日本でもフルモデルチェンジされ、ほぼ全てのカーメディアが一斉にネットで記事レビュー&動画レビューを公開しており、おそるべきカーメディア動員能力は健在だ。通常運転のネットカーメディアは原稿料がスズメの涙なのでヤリスクロスやヴェゼルの新車レビューには参加しないような、レアな自動車ライターの記事も読める。非AJAJの渡辺敏史さんのレビューが出てきたら、日本市場では相当に格が高いモデルだと言える。


カーメディアの全てを教えてくれたゴルフ7

先代のゴルフ7発売の時は、まだまだ私自身がカーメディアとはどういうものなのかわかっておらず、大量に出てくるレビューを読み漁ったわけだけど、あまりの持ち上げっぷりだったので何度かVWゴルフに乗りに行った。良いか悪いかで言えば、良いクルマだと断言できるのだけど、当時乗っていた某日本メーカーのDセグセダンが基準だったこともあり、カーメディアが「全ての日本車が見習うべき」とか書いていることを、このブログや他のブログでも何度か批判した。「ゴルフはいいクルマだけど、俺のクルマの方がもっといい!!(価格は同じくらい)」という想いは全く揺るがず、カーメディアの連中は日本メーカーの看板モデルの乗り味すらわかってないのかな!?なんて思っていた。まさか・・・を貰っているなんて知らなかったから。


伝説のレビュー誕生

福野礼一郎さんが「貰って」いたかどうかは不明だけども、このコピーは数あるゴルフのレビューの中でも非常に印象的だった。自分よりもふた周り以上も年上の教養&文才確かな尊敬すべき立派なライターが「神だ!!」はないだろと・・・。AJAJにウジャウジャいるような年相応に言葉が操れない「ライター未満」な人々のレビューだったら何も驚かないけどさ。自動車ライターという土俵で数十冊の単行本を出してきた空前絶後の「大作家」だ。日本のカーメディア界におけるローバート・ローレンス・スタイン、スティーブン・キング、ダニエル・スティールだと言っていい。そんな人がゴルフ7の1.2Lターボ&トーションビーム版の廉価モデルのオカルトな魅力に取り憑かれ、普段は自然に使いこなすさまさまな形容詞がどれもハマらなかったようだ。非常に論理的なレビューで知られるライターだけど、このモデルは「説明不能」だとか書いていたっけ。


「論理性」とは!?

カーメディアで簡単に自動車ライターの紹介欄が用意されていて、しばしば「論理的に物事を捉えるのが得意」だとか「論理的な表現を心がけている」とか書かれていたりするけど、「論理性」って考えたり書いたりするたびに「心がけて」高めるものなのか!?そもそも自己紹介で自身の特徴を「論理的」と書く人の文章は大概は読むに値しないものが多い。福野礼一郎さんは自らを決して「論理的」とは言わないだろう。この人の文章と、他の単行本を出せないレベルのライターの文章を読み比べると、「論理性」とはその人にもともと備わっている素質なんだとよくわかる。10段階だとすると、自動車ライターには「論理性」がレベル1のK沢、S水K夫、K口、S藤、K村・・・、レベル3のS下、G味、W辺Y一郎・・・、レベル5のO崎G郎、O谷T也・・・で、レベル10の牧野茂雄、福野礼一郎、渡辺敏史って感じだろうか。ライターの「論理」レベルで合っているメディアも変わるようで、単行本が売れるのは「レベル10」だけど、ネットメディアでコメントを集めやすいのは「レベル1」のようだ。



もう一つの伝説レビュー

先代ゴルフ7でよく覚えているのが、吉田拓生さんの「コンプラ破り」の禁じ手レビューだ。この人はVWゴルフやフィアット500など欧州の大衆的なブランドのモデルのレビューばっかり書いているようで、ゴルフ8レビューで久々に見かけた(オートカー・ジャパン)。素人が恐縮だけど、ゴルフ7の魅力などいくらでもレビューで書けると思う。ただしアクセラ(現MAZDA3)やインプレッサと比較して1.2Lターボで100psそこそこのスペックのゴルフのすごさを説明するにはちょっとした工夫が必要だ。個人的にはそれがあっさりとできてこその自動車ライターだと思うのだけど、それでも「レベル10」の福野さんがある程度は転がり抵抗がどうのこうのと言葉を並べた上で最終的には「神だ!!」で終わらせてしまっている。人類が考えられる限界を超えた!!って意味らしいが・・・。



カーメディア界のドナルド=トランプ

半世紀近く様々なクルマに乗ってレビューしてきた「カーメディア業界のスティーブン=キング」だからこそ「神だ!!」って表現が使える。私のような8年ほどブログ書いてるだけの雑魚が真似したところで何の意味もない。偉大なる自動車ライターがその全キャリアを伝説のゴルフ7レビューのために惜しげもなく捧げた。こんなの書かれてしまったら、他の有象無象なゴルフ7レビューなどすべて霞んでしまう。それでも禁じ手で爪痕を残したのが吉田拓生さんだ。「とりあえず乗ってみろ!!乗らずにマツダやスバルの方がいいと言っている人は『井の中の蛙』(世界が見えてないバカ)」とまで書いた。


「吉田拓生氏 『スバル・マツダ好きはただのバカ!」とまで言い切ったゾー!おー素晴らしい!!」 へのリンク(「カーメディアにひと言・・・」2016年)



ユーチューブは何を拡散している!?

このレビューだけでこのライターの「論理」レベルを決めてしまうのもどうかと思うけど、限りなく「レベル1」に近い。もう避けようがないけども、「何言ってんだコイツ・・・」という憤りと、「よく言った!!」という絶賛という真逆の評価が、どっちが多いかわからないけど半分くらいずつ出てくるだろう。ヤフコメの素人によるMAZDA批判と同じなのだから仕方がない。ジャンルは違うけど、橋下徹、ホリエモン、ひろゆきといったユーチューブで発言が切り取られる人々が言ってそうな内容に近いし、見ている側の反応もほぼ同じように賛否両論になりやすい。社会を分断する発言は、良し悪しはともかく「論理」レベル1であり、福野さん、牧野さん、渡辺敏史さんの「レベル10」の文章では、社会を分断するようなことはあまりない。大人の嗜みと言うべきアカデミックさに焦点が合っているし、程よい自虐がいい味出している。


難しいのは流行らない!?

養老孟司とかいう東大のセンセーが「バカの壁」とか言い出してしまって以降、日本ではあらゆる分野で「論壇」文化が失われ、相手を都合よくラベリングして片付けることが「スマート」さを示すようになってきた。そんなに「賢く」ありたいならばカーメディアなんて読まなければいい。そして「レベル10」のように自動車メーカーの開発者が新型モデルで意図したアイディアに想いを巡らせたところで、共感してくれる読者は減っているのだろう。新型となったゴルフ8に対する様々なレビューの中に、どれだけ開発者の気持ちに寄り添ったものがあるだろうか。早くも「1Lの直3でもゴルフしてる」みたいな定型フレーズ(無意味)ばかり見ている気がするが・・・。また「伝説のゴルフレビュー」が生まれることを期待している。



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