2015年6月15日月曜日

「BMWのすべて」で沢村慎太朗氏が大暴れ!これはヤバい!

  三栄書房から「BMWのすべて」というムックが発売されました。「◯◯のすべて」という名称はこの出版社のいろいろなシリーズで使われているのですが、去年あたりから展開されていて、既に「マツダのすべて」「スバルのすべて」「ポルシェのすべて」「メルセデスのすべて」「フェラーリのすべて」などクルマ好きから支持を集めているメーカーにスポットを当てた「名車アーカイブ」シリーズは、他の三栄書房のシリーズよりも編集に力が入っているようで、非常にお買い得感があります。

  そんな「名車アーカイブ・シリーズ」の最新号としていよいよ「BMWのすべて」が出たわけですが、今回も全く期待に違わぬ内容でして、特に目立っていたのが、3本も織り込まれていた奇才・沢村慎太朗氏のコラムです。たびたびブログで取り上げさせてもらっているのですが、このライターはこの10年余りのBMWのクルマについてかなり厳しい意見を発信しておられます。自身のメルマガを再編集した著書シリーズ「午前零時の自動車評論」では、80,90年代のBMWに関してはしばしば「自動車作りの模範」として引用されますが、一方で2000年以降のBMWに関しては、ほぼ90%以上の割合でその陳腐化したクルマ作りに対して強烈な批判を繰り返し加えています。

  最新作の第9巻でも、「名ばかりのMは道をあける」というタイトルで、BMWの真髄が詰まったはずの「M」のコンプリートカーをボコボコに批判しています。この人の文章は豊富な知識と優れたレトリックを楽しむなかで、あまり顕在化しないですが「結論ありき」として書かれることが非常に多いです(作家はこうあるべきですけど)。そしてその結論とはズバリ「M3/M4とM5/M6以外は存在価値無し!」で、見事なまでにハッキリ言い切ってしまっています(あらま・・・)。第1巻の「BMWの懺悔」からしてかなり強烈で、要約すると「2000年代のBMWはただの直線番長に堕ちた・・・E60系、E87系、E90系はもはやBMWですらない! けどF01系、F10系で考えを改めたようだ。」(F30系の発売前の原稿)といったものです。こんなえげつないことをハッキリと言ってしまうライターを「BMWのすべて」に登用する三栄書房の意図はいったい・・・。

  沢村さんは「AUTOCAR」や「モーターファンイラストレーティッド」でも事あるごとに「BMWの凋落」を皮肉たっぷりに語っていますが、やはり最もBMWファンの神経を逆撫でしてきたのが、「足がフニャフニャで酷いハンドリング」を持つF30系への痛烈な批判だと思います。そんな破天荒なライターが、改めて「BMW」の歩みを記録するマイルストーン的なムックで一体何を語るのか? と思いきや、やっぱりこの人はブレません・・・。

  1本目の「320d試乗記」では、「アクセルフィールが・・・(悪い!クソ!)」「ディーゼル音が・・・(ウルサ過ぎて死ねる!)」「燃費が・・・(高速では期待できるが、街中ではHVの半分もいかない、このクルマで燃費自慢するヤツはアホ!)」とアホには読み取れない見事な暗喩に覆われていますが、極論すると「完全否定モード」です(これで褒められていると感じる人はいないだろう・・・)。さらに強烈なのが「ランフラットの酷いフィールを補うために、ブッシュがたっぷり入ってる!(その結果ハンドリングが相当に緩い)」でして、これには嬉々としてこのムックを買ったBMW好きが不憫でなりません。これを読んだら激高するあるいは失望してすぐに見積もりに出し始めるかもしれません。

  ブッシュがたくさん入っている!ってトヨタの「カムリ」や「サイ」のユーザーならば割と素直に喜んでくれると思いますが、BMW、マツダ、スバル辺りのユーザーには逆効果ですね。特にBMW好きは日本のセダンでは味わえないものを求めてE90/F30系あるいはE60/F10系を無理してまで買ったのに、「オマエらのクルマは平均的な日本車と同じ」と面と向かって言われているわけです。確かにF30系の乗り味はいよいよトヨタ・プレミオみたいな雰囲気に収束しつつあって、BMWに乗っているという高揚感なんてほとんど無いですけどね。

  2本目は「M3/M4の紹介」です。この2モデルに関しては沢村さんは肯定的なことを書いてきているのでまあ安心して読めます。まるで「名ばかりのMは道をあける」の焼き直しのような文章なんですが、今回はさらにエンジンについても細かく教えてくれます。専用エンジンの「直6ツインターボ」の素性を高く評価するところまではいいのですが、BMWのベースモデルのユーザーは、すでに沢村さんのタコ殴りで全身傷だらけなのに、さらに傷口に塩を塗込むような苛烈さで首を絞められます。「オマエらが大事にしてるBMWなんて直4も直6も平凡でしかない!」みたいなほぼ悪意しか感じられない恐ろしい内容です・・・。F10系の直6なんて900万円もするのに!くそ!

  3本目は「E60系のデザイナー・アルカンジュリの物語」です。まずこの天才デザイナーの仕事についてあれこれと専門のスーパーカー分野に踏み込んで説明してくれます。ピニンファリーナ時代の代表作「360モデナ」の当初のデザインは凄みを感じる美しさだったのだけど、知性と美的感覚が欠如していたフェラーリのCEOによってデザイン変更が強制された結果、「太ったNSX」になってしまったという逸話。それからBMWの暗黒時代(バングル時代)の中で作られたクルマのデザインは、どれもほぼ「出オチ」で、今ではどれも「祭りのあと」のような残念な腐敗臭を出しているけど、アルカンジュリのE60セダンだけは、トランク回りの曲線に気品を感じるといったお話です。E60セダンのユーザーだけはマトモって事か?

  要約すると「E87系、F20系、E90系、F30系、E60系(セダンを除く)、F10系、E65系、F01系 バングル期のBMWは全部ダサい!」という主旨のようです。マジか・・・E63の6シリーズのリアデザインは結構好きだったのにな。BMWが大好きな人は沢村ページだけ糊付けしてしまって開かないようにすればいいでしょう。他のページは図鑑のようによくまとまっていますよ! BMWが嫌いな人は本屋で一度立ち読みして貰えば、笑って一時が過ごせるんじゃないですかね。

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2015年6月4日木曜日

有名ライターのDセグ批評・スカイラインとISに冷徹なダメ出し。

  「もう、ジジイは引っ込んでろ!」という暴言が頭の片隅から聞こえてきたのは自分だけじゃないはず・・・。モーターマガジン2015年7月号の「Dセグ特集」をウキウキと読んでいたら、久々にとんでもびっくりなウ◯コ記事に遭遇してしまいましたよ。レクサスIS、スカイライン、アテンザ、レガシィの4台は一連のFMCを終えて、セダン不遇の国内市場で予想をはるかに上回る健闘を見せています。それぞれのモデルに込められたアイディアの数々を考えれば、そこそこの反響があって当然だと思いますし、世界で最も「安全」「楽しい」「快適」「スタイリッシュ」な4台と言えます。これほどいいクルマを作ったのにもし売れなかったら開発者はガッカリするでしょうから、ひとまず売れてホッとしました。とにかく自信を持ってオススメできる非常に価値のある4台ですし、私にとっては全て購入対象で、多くの人にとって十分に検討に値する出来であることは間違いないです。

  これらの日本勢のあまりの完成度の高さに、輸入車を中心に評価することが多いカーメディアの多くはここ数年は沈黙を続けています。すでに公然の事実を化している事(これら日本車4台が、メルセデス、BMW、アウディ、ジャガー、キャデラックといった輸入車プレミアムを圧倒しているという事実)に触れようともしないで、小型車の特集ばかりに誌面を費やす姿に読者離れもだいぶ進んだようで、廃刊・休刊が目立ってきました。さて今回モーターマガジンが沈黙を破り、今になっておとぼりが冷めたかのように、輸入車好きカーメディアにとってタブーの4台が引っぱり出してきました。そして改めてメルセデスCクラス(C200)と比較しますという、何とも不毛な設定(決着済み)を用意して、これまた各種カーメディアで横断的に活躍中のW辺T史氏が担当しておられます(その勇気に拍手!)。

  私はセダン大好きで、特にDセグは実用車として世界で最も優れているジャンルだと信じていますから、すでにこれらのクルマには徹底的に購入を前提とした試乗を繰り返しており、他のジャンルのクルマよりも格段にそれぞれの実力差は体感済みです。BMWを初めとしたドイツ車好きで知られるW辺氏ですから、まあ間違いなく日本勢を絶賛することはないだろうということは分りきっていましたが、新型Cクラスを全く寄せ付けないくらいに作り込まれている4台に一体どんな評価を下すのか興味津々でした。ハッキリ言ってしまうと、この日本勢4台にC200を合わせた5台から好きなクルマを選ぶとして、この中でC200がベストと言う人はクルマのことが何も分っていないか(音痴)、メルセデスからカネを貰っているかのどちらかだと思いますよ。

  まあ想像の通りではありましたが、久しぶりにW辺氏に腐り切った日本のカーメディアのかつての「常套手段」の数々を見せてもらいました。これだけ説得力のあるクルマ作りをしている日本勢に対して「プライドが足りない」と、なんとも釈然としない一言で締めくくっておられるのには、とりあえずぶったまげますね(読者をナメルな!)。読み終わって即座に「コイツにはプロのモータージャーナリストのプライドがあるのか?」なんて少々不謹慎な思いが湧いてきました。「日本車は走り込みの量が足りないからドイツ車には適わない」なんていう怪しげな先入観を振りかざすといった「老練」な手法が飛び出します。もし百万歩譲って、W辺氏の言うとおりに乗り込み量に応じてクルマの完成度が上がり、メルセデスをはじめとしたドイツメーカーが日本よりも最も恵まれた環境にあったとしても、理解できないのが、なぜC200の電制ステアリングとアクセルのフィールはとんでもなく酷いまま放置されているのでしょうか・・・。

  私もしばしば「日本人の繊細なフィールで仕上げられているから、日本のフラッグシップが一番乗り味がいい!」みたいな怪しげなことを言い放っています。実際にこういう前置きを言い切ってしまうと、日本の高級車はどれも精緻で豊かな乗り味のように思ってしまいますが、実際に現行のクラウンアスリートをノーマル仕様で乗ってみると「あれれ・・・」と、仕上げ方にもいろいろあるんだなと単純に恥じ入ることもあります。個人的には日産とマツダの作り込みの上質さに心酔しているので、トヨタやホンダのフワフワ感はやや低級で「ガサツ」な乗り味と受け止めてしまいます。そして新型Cクラスの印象もなんだかこのトヨタ&ホンダ調の「フワフワ」が気になる乗り味なんですよね。ついでに言うと最近のBMWとかマセラティ・ギブリなんかもこんな方向性に感じましたよ!

  このW辺氏も認めてますけど、ドライバー主観の乗り味だったら日産(スカイライン)やマツダ(アテンザ)が、堂々とC200を寄せ付けないレベルに立っています。けれどもW辺氏によると、「ステアバイワイアをスカイラインに持ってきた意図がイマイチよくわからない」だそうです。え〜まじっすか!日本車のフラッグシップがNVHでメルセデスやBMWを圧倒するようになってから、もう四半世紀が経過しますよ(1989年に日本車は世界の頂点を掴みました)。なのでいまさらスカイラインやアテンザがC200よりも静粛性が高くても何も驚きませんし、そんなことは当たり前だと思っています(ドイツ車の方が上と主張する奇特な方もたくさんいますけど)。そしてさらに今回のV37スカイラインを指名買いする理由としたら、クルマ好きにとっては、「ステアバイワイアの採用」だったりするんじゃないですか?

  まあなんとも不可解な理由でC200の下に位置づけられてしまったスカイラインは不憫です(まあW辺氏になんと言われてもオーナー様は気にしないですけど)。C200と同じようにランフラット採用するなかで、NVHでC200に完勝しているとまでハッキリ認められているのに、それでもC200の方が上って一体どんなルールなんだ? もっと可哀相なのはレクサスISです。ドイツ車を圧倒する高剛性ボディに生まれ変わったわけですから、従来のトヨタサルーンが持つ「旦那仕様」とは一線を画す乗り味になるのは仕方ないです。アシを固めて高出力ユニット積んでも、十分な操作性が得られるように作ったボディだから弱点だってありますよ・・・。ランフラットのC200よりも路面によっては突き上げが酷いそうです。それってそのまんまサス剛性による結果だと思うのですが、フニャフニャでトヨタのプレミオみたいな乗り味の最近のCクラスや3シリーズのノーマル車と突き上げの有無を比べるなんてまったくフェアじゃないです。W辺氏の尺度によればプレミオがC200とレクサスIS300hの上に立つことになるんじゃないかと・・・。

  アテンザに関してはFR勢を相手に意外なほど軽快なハンドリングだ!なんて持ち上げておられます。けれども日本車を手放しで褒めるなんてことはこのライターはしないですから、今回もなんだかんだ言いがかりを付けてきます。今回は「サイズだけ大きいくせに後席はそれほど広々していない」だってさ・・・。え?何と比べました?C200ですよね?勝手にイメージの中でC200が「Sクラスロング」とか「マイバッハ」になっちゃってないですか?アテンザの後ろが狭くてダメっていうなら、スカイラインもISもCクラスの後席なんて座れたもんじゃないですから、いっそのこと「2+2」シーターと名乗った方がよくないですか? アテンザはスタイル優先で十分に空間が取れてない?それって最近のメルセデスのクルマに対する一般的な評価じゃないですかね・・・。さすがに書いててバカバカしくなったのでこの辺で止めておきます。ほぼ一般人には解釈不能レベルのW辺氏のレガシィ評など読みたい人がいれば書店で見てみてください。


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