「BMWのすべて」で沢村慎太朗氏が大暴れ!これはヤバい!
三栄書房から「BMWのすべて」というムックが発売されました。「◯◯のすべて」という名称はこの出版社のいろいろなシリーズで使われているのですが、去年あたりから展開されていて、既に「マツダのすべて」「スバルのすべて」「ポルシェのすべて」「メルセデスのすべて」「フェラーリのすべて」などクルマ好きから支持を集めているメーカーにスポットを当てた「名車アーカイブ」シリーズは、他の三栄書房のシリーズよりも編集に力が入っているようで、非常にお買い得感があります。
そんな「名車アーカイブ・シリーズ」の最新号としていよいよ「BMWのすべて」が出たわけですが、今回も全く期待に違わぬ内容でして、特に目立っていたのが、3本も織り込まれていた奇才・沢村慎太朗氏のコラムです。たびたびブログで取り上げさせてもらっているのですが、このライターはこの10年余りのBMWのクルマについてかなり厳しい意見を発信しておられます。自身のメルマガを再編集した著書シリーズ「午前零時の自動車評論」では、80,90年代のBMWに関してはしばしば「自動車作りの模範」として引用されますが、一方で2000年以降のBMWに関しては、ほぼ90%以上の割合でその陳腐化したクルマ作りに対して強烈な批判を繰り返し加えています。
最新作の第9巻でも、「名ばかりのMは道をあける」というタイトルで、BMWの真髄が詰まったはずの「M」のコンプリートカーをボコボコに批判しています。この人の文章は豊富な知識と優れたレトリックを楽しむなかで、あまり顕在化しないですが「結論ありき」として書かれることが非常に多いです(作家はこうあるべきですけど)。そしてその結論とはズバリ「M3/M4とM5/M6以外は存在価値無し!」で、見事なまでにハッキリ言い切ってしまっています(あらま・・・)。第1巻の「BMWの懺悔」からしてかなり強烈で、要約すると「2000年代のBMWはただの直線番長に堕ちた・・・E60系、E87系、E90系はもはやBMWですらない! けどF01系、F10系で考えを改めたようだ。」(F30系の発売前の原稿)といったものです。こんなえげつないことをハッキリと言ってしまうライターを「BMWのすべて」に登用する三栄書房の意図はいったい・・・。
沢村さんは「AUTOCAR」や「モーターファンイラストレーティッド」でも事あるごとに「BMWの凋落」を皮肉たっぷりに語っていますが、やはり最もBMWファンの神経を逆撫でしてきたのが、「足がフニャフニャで酷いハンドリング」を持つF30系への痛烈な批判だと思います。そんな破天荒なライターが、改めて「BMW」の歩みを記録するマイルストーン的なムックで一体何を語るのか? と思いきや、やっぱりこの人はブレません・・・。
1本目の「320d試乗記」では、「アクセルフィールが・・・(悪い!クソ!)」「ディーゼル音が・・・(ウルサ過ぎて死ねる!)」「燃費が・・・(高速では期待できるが、街中ではHVの半分もいかない、このクルマで燃費自慢するヤツはアホ!)」とアホには読み取れない見事な暗喩に覆われていますが、極論すると「完全否定モード」です(これで褒められていると感じる人はいないだろう・・・)。さらに強烈なのが「ランフラットの酷いフィールを補うために、ブッシュがたっぷり入ってる!(その結果ハンドリングが相当に緩い)」でして、これには嬉々としてこのムックを買ったBMW好きが不憫でなりません。これを読んだら激高するあるいは失望してすぐに見積もりに出し始めるかもしれません。
ブッシュがたくさん入っている!ってトヨタの「カムリ」や「サイ」のユーザーならば割と素直に喜んでくれると思いますが、BMW、マツダ、スバル辺りのユーザーには逆効果ですね。特にBMW好きは日本のセダンでは味わえないものを求めてE90/F30系あるいはE60/F10系を無理してまで買ったのに、「オマエらのクルマは平均的な日本車と同じ」と面と向かって言われているわけです。確かにF30系の乗り味はいよいよトヨタ・プレミオみたいな雰囲気に収束しつつあって、BMWに乗っているという高揚感なんてほとんど無いですけどね。
2本目は「M3/M4の紹介」です。この2モデルに関しては沢村さんは肯定的なことを書いてきているのでまあ安心して読めます。まるで「名ばかりのMは道をあける」の焼き直しのような文章なんですが、今回はさらにエンジンについても細かく教えてくれます。専用エンジンの「直6ツインターボ」の素性を高く評価するところまではいいのですが、BMWのベースモデルのユーザーは、すでに沢村さんのタコ殴りで全身傷だらけなのに、さらに傷口に塩を塗込むような苛烈さで首を絞められます。「オマエらが大事にしてるBMWなんて直4も直6も平凡でしかない!」みたいなほぼ悪意しか感じられない恐ろしい内容です・・・。F10系の直6なんて900万円もするのに!くそ!
3本目は「E60系のデザイナー・アルカンジュリの物語」です。まずこの天才デザイナーの仕事についてあれこれと専門のスーパーカー分野に踏み込んで説明してくれます。ピニンファリーナ時代の代表作「360モデナ」の当初のデザインは凄みを感じる美しさだったのだけど、知性と美的感覚が欠如していたフェラーリのCEOによってデザイン変更が強制された結果、「太ったNSX」になってしまったという逸話。それからBMWの暗黒時代(バングル時代)の中で作られたクルマのデザインは、どれもほぼ「出オチ」で、今ではどれも「祭りのあと」のような残念な腐敗臭を出しているけど、アルカンジュリのE60セダンだけは、トランク回りの曲線に気品を感じるといったお話です。E60セダンのユーザーだけはマトモって事か?
要約すると「E87系、F20系、E90系、F30系、E60系(セダンを除く)、F10系、E65系、F01系 バングル期のBMWは全部ダサい!」という主旨のようです。マジか・・・E63の6シリーズのリアデザインは結構好きだったのにな。BMWが大好きな人は沢村ページだけ糊付けしてしまって開かないようにすればいいでしょう。他のページは図鑑のようによくまとまっていますよ! BMWが嫌いな人は本屋で一度立ち読みして貰えば、笑って一時が過ごせるんじゃないですかね。
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そんな「名車アーカイブ・シリーズ」の最新号としていよいよ「BMWのすべて」が出たわけですが、今回も全く期待に違わぬ内容でして、特に目立っていたのが、3本も織り込まれていた奇才・沢村慎太朗氏のコラムです。たびたびブログで取り上げさせてもらっているのですが、このライターはこの10年余りのBMWのクルマについてかなり厳しい意見を発信しておられます。自身のメルマガを再編集した著書シリーズ「午前零時の自動車評論」では、80,90年代のBMWに関してはしばしば「自動車作りの模範」として引用されますが、一方で2000年以降のBMWに関しては、ほぼ90%以上の割合でその陳腐化したクルマ作りに対して強烈な批判を繰り返し加えています。
最新作の第9巻でも、「名ばかりのMは道をあける」というタイトルで、BMWの真髄が詰まったはずの「M」のコンプリートカーをボコボコに批判しています。この人の文章は豊富な知識と優れたレトリックを楽しむなかで、あまり顕在化しないですが「結論ありき」として書かれることが非常に多いです(作家はこうあるべきですけど)。そしてその結論とはズバリ「M3/M4とM5/M6以外は存在価値無し!」で、見事なまでにハッキリ言い切ってしまっています(あらま・・・)。第1巻の「BMWの懺悔」からしてかなり強烈で、要約すると「2000年代のBMWはただの直線番長に堕ちた・・・E60系、E87系、E90系はもはやBMWですらない! けどF01系、F10系で考えを改めたようだ。」(F30系の発売前の原稿)といったものです。こんなえげつないことをハッキリと言ってしまうライターを「BMWのすべて」に登用する三栄書房の意図はいったい・・・。
沢村さんは「AUTOCAR」や「モーターファンイラストレーティッド」でも事あるごとに「BMWの凋落」を皮肉たっぷりに語っていますが、やはり最もBMWファンの神経を逆撫でしてきたのが、「足がフニャフニャで酷いハンドリング」を持つF30系への痛烈な批判だと思います。そんな破天荒なライターが、改めて「BMW」の歩みを記録するマイルストーン的なムックで一体何を語るのか? と思いきや、やっぱりこの人はブレません・・・。
1本目の「320d試乗記」では、「アクセルフィールが・・・(悪い!クソ!)」「ディーゼル音が・・・(ウルサ過ぎて死ねる!)」「燃費が・・・(高速では期待できるが、街中ではHVの半分もいかない、このクルマで燃費自慢するヤツはアホ!)」とアホには読み取れない見事な暗喩に覆われていますが、極論すると「完全否定モード」です(これで褒められていると感じる人はいないだろう・・・)。さらに強烈なのが「ランフラットの酷いフィールを補うために、ブッシュがたっぷり入ってる!(その結果ハンドリングが相当に緩い)」でして、これには嬉々としてこのムックを買ったBMW好きが不憫でなりません。これを読んだら激高するあるいは失望してすぐに見積もりに出し始めるかもしれません。
ブッシュがたくさん入っている!ってトヨタの「カムリ」や「サイ」のユーザーならば割と素直に喜んでくれると思いますが、BMW、マツダ、スバル辺りのユーザーには逆効果ですね。特にBMW好きは日本のセダンでは味わえないものを求めてE90/F30系あるいはE60/F10系を無理してまで買ったのに、「オマエらのクルマは平均的な日本車と同じ」と面と向かって言われているわけです。確かにF30系の乗り味はいよいよトヨタ・プレミオみたいな雰囲気に収束しつつあって、BMWに乗っているという高揚感なんてほとんど無いですけどね。
2本目は「M3/M4の紹介」です。この2モデルに関しては沢村さんは肯定的なことを書いてきているのでまあ安心して読めます。まるで「名ばかりのMは道をあける」の焼き直しのような文章なんですが、今回はさらにエンジンについても細かく教えてくれます。専用エンジンの「直6ツインターボ」の素性を高く評価するところまではいいのですが、BMWのベースモデルのユーザーは、すでに沢村さんのタコ殴りで全身傷だらけなのに、さらに傷口に塩を塗込むような苛烈さで首を絞められます。「オマエらが大事にしてるBMWなんて直4も直6も平凡でしかない!」みたいなほぼ悪意しか感じられない恐ろしい内容です・・・。F10系の直6なんて900万円もするのに!くそ!
3本目は「E60系のデザイナー・アルカンジュリの物語」です。まずこの天才デザイナーの仕事についてあれこれと専門のスーパーカー分野に踏み込んで説明してくれます。ピニンファリーナ時代の代表作「360モデナ」の当初のデザインは凄みを感じる美しさだったのだけど、知性と美的感覚が欠如していたフェラーリのCEOによってデザイン変更が強制された結果、「太ったNSX」になってしまったという逸話。それからBMWの暗黒時代(バングル時代)の中で作られたクルマのデザインは、どれもほぼ「出オチ」で、今ではどれも「祭りのあと」のような残念な腐敗臭を出しているけど、アルカンジュリのE60セダンだけは、トランク回りの曲線に気品を感じるといったお話です。E60セダンのユーザーだけはマトモって事か?
要約すると「E87系、F20系、E90系、F30系、E60系(セダンを除く)、F10系、E65系、F01系 バングル期のBMWは全部ダサい!」という主旨のようです。マジか・・・E63の6シリーズのリアデザインは結構好きだったのにな。BMWが大好きな人は沢村ページだけ糊付けしてしまって開かないようにすればいいでしょう。他のページは図鑑のようによくまとまっていますよ! BMWが嫌いな人は本屋で一度立ち読みして貰えば、笑って一時が過ごせるんじゃないですかね。
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