シビックtypeR×礼 『俺が感動しているから神だ!!』的な・・・


裏・福野が暴走中

  福野礼一郎×HONDAの顔合わせレビューがあまりにも『ピュア』で『秀逸』だった。先月号(モターファンイラストレーティッド6/15)の連載では、エクリプスクロスというよりも『三菱』について熱く語っていた人が、今度は「ホンダはやっぱりすげ〜よ!!オマエらわかったか!!どーせわかってないだろ!?」・・・ってな感じで、今月の連載も「日本車は・・・がダメ」とにこやかに語る『表・福野』ではなく、「ドイツ車を無批判に選ぶアホは死んだ方がいい」とか過激に断言する『裏・福野』モード全開だ。


暑すぎる

  40年もクルマに乗ってれば、今更にそんなに驚くことなんかないんじゃないの!?って気がしないでもないけども、「とんでもないリアル・スポーツがこの地上に降り立った!!」みたいな大絶賛。そーっすよね!!福野さん!!日本メーカー車がスゲーのは、ちゃんとクルマを選べば、信じられないくらいに感動できるモデルが一般庶民でも買えてしまうところですよね!!・・・この調子なら来月はフォレスターが来るかなー!?(因縁ありスバルはリベンジなるか!!)


ちょっと読んでて怖い・・・

  先月の三菱編とは違って、あまりにも福野さんが「ゾーン」に入り過ぎているのか、トランス状態でレビューを書いているようで、あまり多くの客観的事実が伝わってこない・・・「とにかくマトモな奴は金を貯めてtypeRを買え!!」とまるで最後の遺言のように全身全霊を込めて、このクルマを賞賛している。強烈に面白かった名著「福野礼一郎の外車批評」であっても、これほどのテンションが高まった一編があっただろうか!? まだまだBMWやルファロメオが高回転の自然吸気エンジンを載せていた頃(1999年?)にもありないような感動が、規制でがんじがらめで誰もが諦めている2018年になってやってくるものなのか?もしかしたら450万円という価格に感動しているのかもしれないけど。


「感動」はプレイスレス

  シビックに450万円は払えないって意見もよく耳にする。しかし感動のレベルでその金額が安く感じることもあるだろう。『成城石井』とかいうスカしたスーパーに置いてある450円くらいの「ミントチョコキャンデー」が異常なレベルで旨い。『サミット』っていう東京の至る所に乱立しているスーパーで売ってるそこそこ旨い袋入りの飴なら3袋買える価格だけど、これはもうドハマりするレベルで、個人的には450円という価格はとてもお買い得に感じる。・・・なのでフィット3台分の価格のシビックtypeRが450万円で感動!!って気持ちはわからないでもない。


Cセグを超越したモデルばかりのCセグ市場

  最近のCセグってのは、面白いことが起こっていて、日本市場で売っている多くのCセグ車を、ことごとく「Cセグのレベルを超えている」と書くライターが目につく。他のCセグ車を完全に置き去りにした!!と多くの自動車ライターが絶賛するVWゴルフ。RWDが珍しく6気筒モデルもあるBMW1シリーズは古いクルマだけども、今でもスペック的には十分にCセグの想定を超えている。新型メルセデスAクラスはどうやら上級モデルのCクラスを超えるレベルに到達したらしい。そしてスバル・インプレッサは、他の全てのCセグが到達できないレベルの絶対的性能を持つシャシーを使っていると宣伝されている。


何かがおかしい

  これを書いちゃうと以前はよく批判がきたけども、もしそれだけの傑物揃いのCセグが本当ならば、北米Cセグで売れまくっているシビックやカローラの首を取ることもできるはずなんだが。そしてそんなに実力があるのならば、日本で測定可能な範囲で「普通のCセグ」に過ぎないプリウス、アクセラに明確な差をつけて勝っていてもおかしくないけども、そんな様子は微塵も見えない。むしろプリウス、アクセラこそが『Cセグを超えた』連中のさらに上を行く『Cセグを超えたやつをさらに超えた』クルマになってないか!?。結局のところ自動車ライターのレベルが、Cセグの現在位置を捉えられていない!?自動車産業の進化に全く追いついていない気がする。


冷静になれ

  アメリカ市場では『スモールカー』ってことでそこそこシェアを持っていて、省エネなクルマとしてシェアはそこそこ伸びているCセグ。日本では2000年頃のリッターカー・ブームでBセグに敗北して駆逐されていて、欧州でもクリオ(ルノー版ノート)やフィエスタ(フォード版デミオ)の大躍進の前に、プレミアム化による差別化が進んでいる状況ですけども、それでもメルセデスやBMWがCセグで本気を出すわけもなく、プリウスにすら歯が立たない・・・ってな評価が定着しつつある(私はそうは思わないけども)。


冷静な福野さんの情熱

  ・・・で福野さんのレビューが秀逸なのは、インフラ的な設計のCセグのベース車に対しての評価は、クルマ好きの趣味だけで下すべきではないという流儀を保持しつつ、Cセグの改造自動車でどこまで本気のスポーツモデル表現ができるか!?を、今回のレビューで克明に描き切ってしまっているところ。ホンダの揮発者にとっては、数あるtypeR絶賛レビューの中でも格別に嬉しいと思う。


ホンダの仕事

  少なくとも言えることは、メルセデスやBMWにとってCセグは「金儲け」のセグメントに過ぎないけど、ホンダやスバルにとっては絶対に負けられないセグメントだということ。ホンダやスバルが特別な価格を提示して「改造自動車」のスポーツモデルを仕上げてグローバルで売るならば絶対に中途半端なことはできない・・・そんなプレッシャーに押しつぶされることなくホンダもスバルもいいクルマ作っているのだから、買ってあげたらいいんじゃない・・・だってさ、なんともキヨキヨしいレビューだと思う。





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