トヨタの「軍師」を務めるAJAJライター現る



 

恐れ入りました・・・

「トヨタには、水素エンジンの意味を伝える戦略がいるのではないか。確か、昨年のスーパー耐久、もてぎラウンドでのことだったと思うが、筆者は豊田章男社長に、ひとつの提案をした。『年明けのオートサロンにAE86の水素コンバージョン仕様を出してみたらどうです?』」(引用終わり・CAR AND DRIVER3月号より)


比較的にメジャーな自動車雑誌の連載に堂々と書くくらいなのだから、おそらくほぼほぼ事実なのだろう。こんなブログを書いている私が言うのもなんだけど、日本の自動車ライターってのは、自動車メーカーの気持ちなんて全くわからない人々であり、メーカー側も相応のメディア対応こそするものの、自動車ライター側の提案で大手メーカーのプロジェクトが具体的に動くなんてことはあり得ないと思っていた。



この1年で状況が変わった!?

どのレビューもメーカー資料の翻訳でしかなく、ステマな雰囲気が強烈な池田直渡さんだから、てっきりメーカーに頭が上がらない御用聞きライターだと思っていたが、実際のところは豊田章男社長から諮問を受け、直接に献言までできる「旗本」いや「側用人」だったらしい。自民党政権がダラダラと続き、さまざまな御用論者がしばしば「時の人」になっているが、カーメディアの世界でも王者トヨタの「代弁者」を自認して、他のAJAJライターを見下すように威張ったレビューを書かれる人がチラホラ見られる。池田さんと島下さんはその傾向が強い!?


1年くらい前に、池田さんの共著した本の感想文をこのブログで書いたところ、ご本人がわざわざSNSでリアクションしてくれたことがあった。まさかこんなことになるとは思わずに、じっくりと読んで、のびのびとそのまま思ったことや感じたことをツラツラと書いた。ブログの読者向けに書いているので多少のシニカルさはご愛嬌だろう。池田さんにも岡崎五朗さんにも敬意を持っていたので、そこまで口汚く罵るような内容ではなかったのだけど、メディア人の力とは恐ろしいもので、池田さんが怒りのリプ投稿したことで「私が失礼極まりない投稿をした」かのような気分にさせられた。



寄らば大樹の陰

私のような面識もない素人から「権力に擦り寄っている」と書かれたら、あまり気分はよくなかったかもしれないが、「E V推進の罠」の出版された背景を説明するには妥当な表現だったと思う。別に「権力に擦り寄る」なんて、日本社会で生きていればほとんどの人が無意識のうちにやっていることだ。戦後78年の平和が続いたのだから、社会はどんどん階層化するのは当たり前であり、令和の日本に本田宗一郎と藤沢武夫が現れたら、これだけ規制でガチガチだと、まともに起業すらできないのではないか(エンジン付き自転車なんて発売できない)!?


怒らせたブログ投稿から、時間も経ち状況は少しづつ変わってきた。「擦り寄った」先の自民党保守勢力の重鎮・安倍元総理が殺害されたりしたけども、AJAJの池田さんは「日本会議」からの信頼を得たようで、いつしかトヨタの相談役(非公式)にまで駆け上がったようだ。別にトヨタが保守系政治団体とつながりがある訳ではないと思うが、何らかのコネクションでトヨタと利害が一致する有能な「御用論者」として紹介されたのだろう。



社長交代の真相!?

再び引用させてもらう。「豊田社長の『私は相当にニッポンLOVEな人間だと自負していますが、その私がタイで仕事をしたほうがハッピーになれると、こんなことを口にしていることに危機感を覚えたほうがいいんじゃないでしょうかねぇ』という言葉を聞いて、トヨタが日本を出ていく日が、本当に来るかもしれない慄然とする思いだった。」(引用終わり・CAR AND DRIVER3月号より)


こんな言い方をする人は、自民党の大物政治家にももはやいなくなったんじゃないだろうか。いちいち説明しないけど、東証一部企業のトップとしてかなりダサい発言である。この些細な発言でも、なにか問題が起きたら「コンプライアンス違反」で株主集団訴訟にもなりかねない。そういえば急転直下でトヨタの社長交替が発表されたのも、このCAR AND DRIVER3月号が発売された直後だった。



言っては(書いては)いけないライン

発言する社長も、そのまま書いてしまう池田さんも、それを見逃してしまう編集部も、この発言が問題ない時代(昭和)の人間なんだろう。サッカー日本代表の堂安律が「オレがやる気を無くしたら日本代表は終わりだ」なんて思っていたとしても、わざわざ電波にのせてビッグマウス発言をするだろうか!?テニスの大坂なおみが「私のいないグランドスラムになってもいいんですか!?」とか言ったことあるか!?ゆたぽんが「ユーチューブ辞めたら日本中が悲しむ」なんて言うだろうか!?


自動車メーカーとしてのトヨタには敬意を持っているが、この発言はさすがに理解できない。トヨタと政府が上手く歩み寄れないことや、トヨタの環境への取り組みが日本のユーザーに十分に伝わらずにイライラするからといっても、「ポピュリズム」に訴えるとは情けない限りだ。バカな読者は「トヨタがいなくなったら日本は終わりだ!!」と池田さんと同じ心境でヒステリックになるだろうけど、一定のリテラシーがある読者からは「さっさと出ていけよ!!」と余計な反感を買うだけだ。



「日本を出ていく」という意味

トヨタをはじめ、日本の大手企業がいくつか日本からいなくなれば、中長期的に経済は上向くと考えられる。山一証券や北海道開拓銀行が破綻して、一時的に超就職氷河期にこそなったけれども、日産、スバル、MAZDAなど破綻直前だった自動車メーカーは構造改革を経てV時回復を果たした。トヨタも好調な業績が報道されているけども、それはアベノミクスの円安誘導や法人税圧縮政策によって「泡のような利益増」があったに過ぎない。


まさか池田さんは、「MAZDAがいなくなったらロードスターが買えない」「スズキがいなくなったらジムニーが買えない」とかいう意味で「トヨタがいなくなったら大変だ」と言っている訳ではないだろう。さてトヨタ車の生産が日本で全く行われないとなんかマズいのか!?アップルもキーエンスも本国に自社直営の生産拠点なんて持っていない。トヨタの販社も今ではダイハツ車の販売が半数を占めるようになってきている。トヨタの看板を外して、ダイハツ車に加えて日本で販売網を持ちたいフォード、ヒョンデ、BYD、テスラなどと契約すればいいんじゃないの!?



何の問題がある!?

カローラ、ヤリスクロス、シエンタ、アクアなどを作っているのはトヨタ自動車東日本、アルファード、ハリアー、ノアなどはトヨタ車体、レクサスRX、NXなどはトヨタ自動車九州が作っている。GR86も他社の群馬工場、スープラはオーストリアのマグナ・シュタイナーの工場で生産されている。もしトヨタが日本から離脱しても、国内はおろか世界中にも輸出できるサプライチェーンを持つトヨタの国内生産設備は、世界中の自動車メーカーが後釜に参入したいくらいだろう。トヨタ紡績、デンソー、アイシンのサポートが受けられるのだから、スロバキアやトルコなどに進出するよりも、難なく高品質なクルマを作れるだろう。


トヨタ離脱のショックで、国交省や経産省が外資の規制緩和を行い、トヨタの不要になった日本向け車種のライセンスがVWグループやステランティスグループに売却され、アルファードやクラウンクロスオーバーが、シュコダやオペルといったブランドから発売されたら面白いと思うのだが・・・。トヨタはタイでハッピー、日本市場も外資企業の参入で北米並みに賃金は上がり、車両価格が下がれば、若者も「海外でバイトしよう」とか思わなくなるのではないか。池田さんにはぜひ「軍師」としてトヨタのタイ移転を強力に後押ししてほしいものだ。




 



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