池田直渡さんが3たび「パーのスペクティブ」を晒す・・・

 

今回も悲惨な内容

また池田直渡さんに絡むのかよ・・・って呆れるかもしれない。しかしMAZDA好きとして言わずにはいられない。別にこのAJAJライターの存在を否定したい訳ではない。このブログは特定の自動車ライターをターゲットにしているつもりもない。一人の読者としてフェアにカーメディアの記事やレビューを読んでみて、これは看過できないと感じた「内容」に関して個別に批判を加えているだけだ。



今回で池田直渡さんへの批判は3回目となる。私の基準で恐縮だが、その全てにおいて批判されるに十分な「脇の甘さ」あるいは「明確な瑕疵」があった。批判を加えることは、個人の「表現の自由」を圧迫する可能性があるので、慎重に行うべきであるが、このブログで振り上げた全ての批判は、「公共性」の観点から、「ダウンサイジングターボ&DCTは正義」みたいな疑問だらけの世論が形成されないように、あえて「ブログで意見を述べるべき」と判断に達したものばかりである。



安倍さん存命なら許された「EV推進の罠」


池田さんに関する初めての投稿は、共著となる「EV推進の罠」に関する読書感想文だった。親の世代(アラ・セブ)には、この「日本版ポピュリズム」を喜ぶ人もかなりいそうだが、中国共産党の自動車行政のあり方について「アンフェア」だと叫ぶ内容が特に目立つものだった。高度経済成長期の日本政府も同じことをやっていながら、一方的に中国の政策を批判するのは愚かである。「日本の読者はまともな反論もできない」と思われるのも癪なので声を上げてみた。



2回目はCX-60発表時のMAZDA資料を使った日経レビューに、明確な瑕疵を見つけたので、とりあえずツイッターで意見を述べた。それに対してご本人が直々にツイッターで反論してきたので、ちょっとしたTwitter・ラリーになった。失礼ながら、自明なレベルの瑕疵であるのに、こちらの指摘をすぐには理解できないし、要領を得ない反論に終始され、最後は間違えを認めつつも逆ギレしておられた(なんだこいつ?)。SNSでは素人を馬鹿にするような物言いを散々にされているが、コアなクルマ好きから笑われていることにいい加減に気づくべきだ。



「謎」など最初から存在しない

そして今回が3回目となる。日経(一般メディア)の記事に目くじらを立てるべきではないかもしれない。なかなか賑わっているコメント欄だけど、この隙だらけのレビューにただの一つもクリティカルな疑問提示すらできていない。そもそも何が「謎が解けた」なのか!?ちょっとクルマが好きな人が読めば、それずっと前から知られていたことじゃないか?とすぐに池田というライターのバックグラウンドがスッカスカなことを見抜いてしまうだろう。


沢村慎太朗さんのレビューを読んでいるかのような「クルマを考える過程」を時系列で追うような文体へと進化した。これまでの結論ありきな入門者向けレビューによってネット媒体で人気を誇っていたと思っていたが、やはりコメントのレベルの低さに悩むのだろうか。残念ながら「沢村文体」はこの人の読者にはちょっとハードルが高かったようだ。「難しいよー」とのコメントが目立つ。しかし継続すればすぐに慣れてくるだろう。議論の深さは以前のものと何も変わってないから。



このタイミングで空振り三振?

なんでMAZDAはマルチリンクの特性を無駄にするような設計をするのか?・・・という問題提起は、ネット媒体の常識を遥かに超えたレベルにある。第五世代(2002〜2011)のMAZDAはフォード・プレミアム陣営の一員として「世界最高レベルにサスペンションにこだわるブランド」を標榜していた。リーマンショック後の第六世代(2012~2018)で路線の「修正」を余儀なくされたが、第七世代のラージプラットフォームで再び「サスペンションで選ばれるブランド」へと回帰しつつある。そんな状況を考えればタイムリーなレビューである。


この企画は日経の編集部からの特別な発注が元になっているらしい。伸び悩む「活字」ネット媒体は、何らかのブレークスルーを模索しているのだろう。MAZDAにとっても他社との違いをアピールできるので、非常にブランディングに役立つ内容・テーマではあると思う。周囲のお膳立てがかなり出来ているのだから、あとは「まとも」で「無難」なレビューを書けば良いだけなのに、・・・何を血迷ったのか「謎はすべて解けた」になってしまった。



内容はたった一行で説明できる


最初こそ「何事か?」と興味深く読めるが、少しはクルマがわかっている人が読み進めれば、レビューの前半も終わらないうちに、それって「BMW、マスタングあるいはFFのボルボにおいて、散々に議論されたことじゃないか?」と気が付く。2014年のマスタングのFMCで、長らく使われていた「車軸式」をやめてドイツ&日本式の「マルチリンク」に変更されたが、この際にトーコントロールにおいて一長一短あるという説明がされていて、フォードの開発陣でも意見が割れたとか報道されていた。


その後に、ボルボでもフロントにダブルウィッシュボーンを配した横置きシャシーにおいて、後サスをマルチリンクから車軸式に特徴が近い特徴が出せるリーフスプリング(トラック用サス)に変更するモデルが現れた。マスタングとは逆のメリットを取りに行った。これについては純粋なサス性能だけでなく、電動化ユニットを搭載するスペースを確保するメリットや、モーターのハイトルクで後輪を駆動させるAWDのサス剛性を高める狙いがあるとされる。



MAZDAの進化

日本メーカーのコンパクトカーで見られるような「E-four」では過剰なトルクは使わないから、汎用サスでも対応できるが、ボルボのようなシステム出力が400psクラスとなると、足回りの基本設計を改める必要があったようだ。もちろんマルチリンクのままでも、各パーツの設計基準(耐久性)を汎用品から大幅にグレードアップさせれば対応は可能なのだろうけど、それでは性能だけでなく価格もスーパーカーになってしまう。


アウトランダーPHEVや、RAV4PHVは、今後の大幅な電動化によって飛躍的に進むであろう高度なトルクベクタリング技術の開発をリードするために、ちょっと無理して商品化しているはずだ。補助金ありきとはいえ価格も量販モデルとは言い難い水準だ。コストを度外視すればテスラのハイエンドモデルのような加速性能だって実現できるが、足回りの設計を全面的に変えない限りはシステム出力300ps前後が上限になる。



MAZDAはクレイジー

CX-60に盛り込まれた設計から判断するに、MAZDAはボルボのようにシステム出力400psオーバーの「スーパーSUV」(GT-RがSUV になった感じ)を、今後のブランディングにおいて加える可能性が高いのだろう。トヨタや日産&三菱とは違う設計で「差別化」を図るのは極めて自然なマーケティングである。サスの金属ジョイントである「ピロボール」の採用については、ベストカーも池田さんも疑問を呈している。個人的にこれまで乗った乗用車(ピュアスポーツカーは除く)で最悪の乗り心地だったのがE91のMスポだった。路面からの容赦ない突き上げに下半身を殴られ続ける衝撃には戦慄すら覚えた。


程度の差こそあれ、第五世代のMAZDAの乗り心地もなかなかのものだった。かなり乗り心地が改善されたとされるGHアテンザの後期モデルを所有したが、最初の5000kmくらいまでは「MAZDAってまじでクレイジーだ・・・」としか思わなかった。3ヶ月ほど我慢したところ、体が慣れたのか、ジョイントに当たりがついたのか。気がついたらトヨタ車の乗り味を受け付けない体になっていた。試乗車の乗り心地は上々だったので、まあメカが馴染んだのだろうが・・・。



アバンギャルドへの回帰

第六世代のCX-5は良くも悪くも「王道」で、乗り心地は多くの人にとってほぼほぼ不満は出ないものだろうし、だからといってハンドリングやレンポンスの仕上げに大きな妥協も見られない。まあこれだけ整っているのだからメーカーが「SUVのベンチマーク」を自認しても許されると思う。ハリアー、フォレスター、ZR-Vなどは現行モデルになってから「他社版CX-5」にしか見えない。日産&三菱は魂動デザインを盗んでいったMAZDAの素行の悪さに相当にキレているようで、断固として真似はしないようだが・・・。


他社によってシャブり尽くされてしまったCX-5から、遠くへ逃走するように後継のCX-60が作られた。前衛的な中堅企業の生き様として、かなり共感できるし「可能性を追求するメーカー」であることがMAZDAの「ブランド力」における最大の強みでもある。アヴァンギャルドタームに入ったMAZDAに全面的に共感しろというつもりはない。別に池田さんのレビューに何かを求めている訳でもない。ただただベストカーとかいう低俗&低脳な雑誌と同じような「乗り心地への疑問」を書いた思慮の無さに、MAZDA好きとして呆れているだけだ・・・。



MAZDAファンとの亀裂

福野礼一郎さんや沢村慎太朗さんなら「BMW、マスタング、ボルボ」をスルーすることなく、MAZDAのリアサスの意図を説明したりはしないだろう。ベストカーの裏ボスである国沢光宏さんであってもこんなダサいレビューは書かない。ユーチューブで「アドリブ一発録り」している五味康隆さんでも、軽々しく「謎は全て解けた!!MAZDAは世界で初めて・・・」なんてことは呟かないだろう。カーメディアでそこそこキャリアを積んできた人であれば、まずこんな書き方はしない。


CX-60においてMAZDAは、エコ性能に最大に配慮した直6ユニットと並んで、足回りの設計を最大限にアピールした。購入を決めた人の多くは、フロントがストラットだったら動かなかっただろう。世界最高の走りを目指して、独特の足回りで人気を博した第4世代・第5世代のMAZDAへの「回帰」を素直に喜んでCX-60を買いに行っていることだろう。レビューで第4、5世代に全く言及できない池田さんより、サスのことがよくわかっているからCX-60に素直に歓喜できるし、大金も用意できる。あくまで個人の感想に過ぎないが、コアなMAZDAファンと池田さんの間には修復不能なレベルの溝が見える。




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