岡崎五朗さんが示す「カーメディアはプロレスだ!」

  岡崎五朗さんのコラムが毎月読める雑誌といえばカートップ。このコーナーでは毎回おだやかな論調ながらも、かなり自動車業界あるいは自動車社会のタブーな点にズカズカと入っていくので、毎月真っ先に読んでいます。この方は地方局とはいえ自動車専門番組のMCも務めているくらいで、業界ウケは抜群なようで(父が大御所)、どの自動車メーカーともいい関係を築けているようです。トヨタ車に対してはちょっと手厳しいかな?という印象もあるのですが、トヨタは評論家に対して広い心を持っていると沢村(慎太朗)さんが著書に書いていたので、岡崎五朗さんは相手(ブランド)を選んで批判することで上手く処世しているようです。

  さて今回のカートップのコラムでは、「VW問題に対する日本の世論」に対して苦言を呈されています。「ちょっと問題が起こったからって、掌返しはよくないよ!」ってなんとも岡崎五朗さんらしい主張だと思います。「らしい主張」とはどういう意味か?というと、この方の評論の特徴はいい意味で「世間とズレている」ところを指しています。正確にはズレているのではなく、岡崎五郎さんのキャラに合っている「善良な日本のユーザー」目線に徹しています。これを天然でやっているのか意図的にやっているのかはわかりませんけども、ある種のクルマ好きからは全く共感されない評論・・・それが芸風です。

  この人の冠番組であるTVKの「岡崎五朗のクルマで行こう!」という番組名に変わった初回の放送は日産GT-R拡大版スペシャルでした。サーキットでリミッターが解除される仕組みのGT-Rに乗ってサーキットで300km/hで走る!という想像するだけでハードな内容で、本人にとっては記念すべき放送なのに、終始表情が固く・・・「ひーひー」言いながら引きつった顔でアクセルを踏んでいました。こんな仕事はドリキンか清水さんにやらせておけばいいだろ!!!とか思ってそうでしたね。スタジオでは「ぼくはもっとのんびり走れるスポーツカーがいいな!」みたいなことを言い出す始末で・・・。

  当時777万円で発売された「夢のスポーツGTカー」を、凄いクルマが出てきました!と口では言いつつも表情では全く別のことを訴えるMC・・・。これはこれで凄い芸当です!しかしクルマ音痴というわけではなく、マツダが自信を持って送り出したクリーンディーゼルを体感した時は、ハッキリと「僕はやっぱりガソリン派だな」と宣言するなど、オンリーワンなコメントを発していたりします。マツダの資料の言葉を言い換えただけの解説がここ数年あらゆるカーメディアで氾濫していて、読む価値もないな・・・と思っているのですが、番組でのこの一言は非常に刺さりましたね。GT-Rもダメ!マツダのディーゼルもダメ!BMW3シリーズもダメ!・・・と沢村さんもビックリのブッタ切りを独特の口調で隠しながらも発信しています。

  そんな岡崎五朗さんが何を思ったか、今回の一件で日本のクルマ好きが一斉に「VWは地獄へ落ちろ!」と言い出したと錯覚したようです。そして気でも触れたのか、「これまで優等生として持ち上げられてきたVWへのコンプレックスが爆発している!」みたいなことを書いてます。え?え?え? 優等生? それはカーメディアが作った虚構だと思うのですけど・・・。クルマが好きならゴルフの出自もわかるし、それでも300万円払っても欲しいという人はよっぽどの変わり者です。そもそもゴルフを新車で買っている層ってクルマにそれほど興味が無い人が多くないですか? なので今回の事件があっても多くのユーザーは「え〜そうだったの!けどまあいいか・・・」とほとんど気にしていないと思われます。

  そもそもVWって報道されているディーゼルよりも直噴ターボを使っているガソリンの方がよっぽどヤバくて、同じクラスのトヨタ車の約50倍の有害物質が出ていることがすでに日本の研究機関で明らかになっています。なのでマトモな情報収集能力があるクルマ好きなら日本で売られているオール・直噴ターボのVWは全部ダメだってことは、とっくにわかってます! ディーゼルだから日本には関係ない!じゃなくて、日本で売られている現行モデル全てがすでにダメ!なんです。それでも買う人はバカなんです! そして今さらのように「VWはひどいメーカーだ!」と憤慨している人もマヌケです。

  北米でのVW報道では、このメーカーが拡販を狙って日本を含む東アジア地域に巨額の広告費を投下したことが暴かれています。つまり多くの自動車ジャーナリストの生活をここ数年支えてきたのがVWです。しかしインターネット時代ですから、カーメディアが市場を左右する力なんてほぼ無くなってきています。カーメディアで全くといっていいほど評価されてこなかった、アクア、ノート、ヴェゼルといった日本車が難なく大ヒットしています。カーメディアにどう書いてあるか?なんて誰も参考にせず、検討している車名をネットで検索してユーザーの生の声を聞いて判断すれば事足りてしまいます。カーメディアはあくまで評論家のプロレスを楽しむ場に変わりつつあります。

  福野礼一郎さんが2014年に最近発売されたクルマについて書いた本が出ましたが、その年にヒットしたクルマは1台も入っていませんでした・・・。その本の中で大絶賛したゴルフも本の発売を境にして売り上げが伸び悩みました! その後、福野氏は読者から「ゴルフがいい!って本気ですか?」という問い合わせが殺到して困ったと、別の雑誌の連載で明かしていて、本人が仕掛けたプロレスの結果までネタにしてくれています。

  「カーメディアはプロレスだ!」と岡崎さんが本気で思っているかどうかわかりませんが、ここまで自作自演で全てをやり遂げるなんてもはやVWと同じで確信犯としか思えないです。
①カーメディアがVWをアゲる! 
②カーメディアがVWは日本や世界で人気という虚構を描く!(中国でしか・・・)
③カーメディアはVW問題でユーザーは困惑していると過剰に報道!(実際は・・・) 
④カーメディアはVWに対する掌返しがユーザーの中で起こっていると報じる。(実際は?)

  とりあえずVWの実情がまったくわかっていないアホな人々は無視しますけど、今回の一件があったからといってVWに対する考えが大きく変わった!なんてことは無いです。もしVWがゴルフGTIを半額で売るというなら買ってもいいかな?とすら思います。むしろ前よりも応援してあげたいという気持ち(あんまり虐めると可哀相!)が強くなりました!

  そもそも掌返しをしているのはカーメディアの方ではないですか? これまでVWが広告費をバラまいたおかげで、ジャーナリストを廃業せずに続けてこられただろうに、まるでテレビのコメンテーターのように「国民(ユーザー)の理解が得られませんよ!」みたいな偉そうなことを書いてます!(そもそも彼らは読者に信用されてませんから!あくまでプロレス!)。特にニューモデルマガジンXとかモーターマガジンに書いている胡散くさい輩がやたらとふてぶてしいですね・・・。特にモーターマガジンの木村好宏さんの「掌返し」には本当に「ぶったまげ」ましたよ(笑) 痴呆?

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コメント

  1. こんにちは。

    RX-VISIONの記事にコメントさせて頂いた者です。
    (今回からHN付けました。)

    > 「僕はやっぱりガソリン派だな」

    自分もアテンザXDに試乗した時に全く同じことを感じたので思わず笑ってしまいました。

    「トルク感がたまらない」という意見を否定するわけではありませんが、やはりガソリンとは別物ですよね。
    (大味な回転フィール、カラカラ音、鈍いレスポンス...)

    ついでに毒を吐いておくと、最近のスカイアクティブのガソリンにも納得がいかないです。

    MZRエンジンの「シュウィーン」と快音を発しながら緻密に回転が上がっていく感じ。。。

    あのフィールがスカイアクティブGからは消え去ってしまった。
    (音がイマイチだし、どことなくドヨ~ンしている。1.5Lはまだましですが。)

    ZOOM ZOOMなマツダ車のエンジンとしてはトルク型よりも高回転型が似合うと思うのは自分だけ?

    そんなこんなで、「評論家は当てにならん。自分の感覚を大事にしよう」と改めて思う今日この頃です。

    今思い出しましが、マツダのファンミーティングに参加した時に参加者と社員が対話する場が設けられたのですが、その時に参加者の一人が、

    「今の時代はやっぱり”ダウンサイジングターボ”でしょ?マツダも出すべきだ!!」

    とか、したり顔で提言していました。(評論家に毒されている?)

    自分は、

    「それ、絶対反対!!勘弁してくれよ!!」

    と心の中で叫びました。。。(苦笑)

    雑音に惑わされず、マツダには自らの理想を追求していって欲しいもんです。

    以上、記事内容とズレたコメントで失礼しました。

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    返信
    1. 太朗さんこんにちは
      コメントありがとうございます。

      コアなマツダファンの方だったんですね!
      僭越ながら私もMZRエンジンが好きで、
      愛車(GHアテ後)のは直噴なので、
      NCロードスターか、この前までの2L(NA)のフォーカスを、
      中古で買っておこうかな・・・って結構真剣に考えてます。

      ダウンサイジングターボは評判ほど良い
      と感じたことはないですね。
      「自然吸気」の良さがわからない人って、
      結局BMWとかアウディに高い価値を置いてしまっている気がします。
      GHアテでBMWにもアウディにも何度も行ってますが、
      試乗して比較したらマツダの良さばかりが引き立つんですよね。
      なのでBMWやアウディの4気筒ターボはダメだと思ってます。
      マツダはあんなものを目指してはダメですね。

      アストンマーティンやランボルギーニが示すように、
      「自然吸気」こそが素晴らしい!
      と庶民にも教えてくれるブランドであることが
      マツダの価値だと思います。



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    2. 返信有難うございます。

      > コアなマツダファンの方だったんですね!

      マツダファンではあるのですが、
      残念ながら所有したことは無いので
      ライトなファンってことになりますかね。^^

      マツダのファンになったのは、
      たまたま先々代のデミオのレンタカーで
      山道を走った事がきっかけでした。
      「何の変哲もない小型車なのに
      何と思い通りに走れるのか!」
      と、目から鱗がポロポロと。

      マツダ車は乗るとどれもが「ドライバーズカー」で楽しいのですが、
      車の方から「もっと走れ!もっと走れ!」と
      煽られているような気になってきます。
      それでついつい運転に気合が入ってしまう。。。(苦笑)

      今の自分の家族構成は、妻+小学生2人なので、
      ファミリーカーとしてのマツダを冷静に考えると、
      「自分は楽しいが、同乗している家族が可哀想かな?」と思い、
      現在はあえておとなしい日産車(B30ラフェスタ)を
      所有しております。^^

      GHアテンザ、ホントにかっこ良いですよね。
      たまに見かけるといつも惚れ惚れします。

      > GHアテでBMWにもアウディにも何度も行ってますが、
      > 試乗して比較したらマツダの良さばかりが引き立つんですよね。

      やはりそうですか!
      マツダの良さは「ブランドネーム」に惑わされないように
      ”ブラインドテスト”すれば、運転にある程度慣れた人であれば
      すぐにわかると思います。
      (実際には目隠しして運転はできないですけど。)

      > 「自然吸気」こそが素晴らしい!」

      価値観を共有できて嬉しいです。
      これからもブログの方、楽しみにしています。

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    3. コメントありがとうございます。

      トヨタからマツダに乗り換えたときは、
      やっぱり「衝撃的」でした!
      日本メーカー同士でもこんなに違うのか!って感じでしたね。
      乗り心地の悪さは置いといて、
      ブレーキが効き過ぎで「全然怖くない」と思いました。

      ハンドリング、ブレーキ、アクセルフィールに関しては
      BMWやアウディよりも「過激」ですね。
      BMWもアウディのドライブフィールはハッキリ言って、
      マツダとトヨタの大きなフィーリングの差の「どこか」にある感じで、
      マツダ車と比較するとどちらも「トヨタっぽい」といった印象です。

      ラフェスタは現行だとマツダ車ですね。初代はそれとはだいぶ違うクルマかもしれないですが、走りに関しても別の魅力があるんじゃないですか。とりあえずセレナと違って走りそうに見えます。マツダ以上のクルマが作れる数少ないブランドが日産だと思ってます。

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