2026年2月4日水曜日

福野礼一郎さん 「ゴルフとは思えぬ駄作(2021年レビュー)」の予言

 

クルマを買う前にレビューを読むべきか!?

物価高だから消費税を減税しよう!!という意見で与野党が一致している。肝心なことは来年にはクルマの価格も10%下がるのか?それとも食品だけなのか?ということ。「クルマに関わる減税を推進する党」みたいなわかりやすい政党はタブーか。名前を挙げて失礼だが、豊田章男会長の他に、保守系論客の岡崎五朗さん、池田直渡さんや、カーメディア界隈でカルト的な人気のウナ丼さん、藤島知子さん、国沢光宏さんなどが集結して議員を送り込み、クルマ好きが抱える国土交通省への不満をぶちまけて欲しい。


休日に外出すると、東京都多摩地区では現行モデルのピカピカのドイツメーカー車やレクサス車がたくさん走っていて、日本人は本当に物価高に困っているんだろうか!?と不思議な気持ちになる。クルマの価格がどんどん高くなるが、巨大資本が日本の購買力をしっかりとリサーチをして確実に売れると判断されたモデルだけが適正価格で市場に投入された結果だ。車種も絞られていて過当競争もないので、発売したけど全く売れないなんてクルマは出てこなくなった。


10年分の進化

ちょっとネタバレになってしまうが、5年ほど前の2021年の福野礼一郎さんが選ぶ「買ってはいけない輸入車」に選ばれたのがVW・T-ROCだ。何とも挑発的な選定だが、出版不況の中で紙媒体を続けるためには必要な処置なのだろう。過去には「カーメディアに本音を書くバカはいない」と言っていた福野さんが、バカになりきって等身大の忖度なしのレビューを読ませてくれる。そりゃカネ払ってでも買って読むよ・・・。


「福野礼一郎のクルマ論評」という単行本シリーズは2014年から始まった。リーマンショックで阿鼻叫喚に陥った自動車産業が再編された頃から始まり、全メーカーが「最善か無か」の境地でクルマ作りを競ってきたおよそ10年間の変遷をざっくりと追いかけることができる。2014年の発刊当時は自動ブレーキなどほとんど装備されてなかったが、今では全車速対応の追従クルコン、ハンズオフ運転支援、シートヒーターなどが当たり前に普及し、静粛性もシートの座り心地も10年前とは比べられないくらいに大きく進化した。



書かれない「躊躇」

福野レビューは読者のリテラシーを少しナメているのか、過剰演出でサービス精神が満点なのか、福野さん自身が言いたいことを言ってるだけなのか、「毀誉褒貶」が実にハッキリしている。無名の自動車ブログがそのまま真似したら「薄っぺらい」とボロカスに言われてしまうのがオチだろう。福野さんレベルの実績(単行本20冊以上!!)を誇るライターならば、読み手は一方的な主張の裏にある「躊躇」の部分はバッサリとカットしたのだろうと勝手に推測してくれる。福野さんはそんな唯一無二の自動車ライターである。


T-ROCデビュー当時のディーゼルモデルが相当に印象悪かったようだ。読者はみんなわかってる「年次改良でだんだん良くなっていくのがドイツ車だろ・・・」(だから福野レビューでは蛇足だ)。先代モデルがあれば、最初から良いクルマの可能性も高いが、これがT-ROCの記念すべき初代モデルである。福野さんのバカ正直なレビューを知ってか知らずか、2025年には「4モーション」のディーゼルモデルが、新世代エンジンとともにリアサスをマルチリンクに変えて投入された。伏線はしっかり回収されている。



出てきたタイミングが悪かった!?

このT-ROC酷評レビューは2021年発売の「福野礼一郎のクルマ評論6」に収録されている。改めて収録されている他のレビューも読んで見ると、2026年現在の自動車業界を見事なまでに予言する内容になっている。ステランティスやルノーのBセグ車が大絶賛されている。これを読んでトヨタはレクサスLBXの企画はスタートしたというわけでは無いだろうが、トヨタの開発者と福野さんが同じ感覚を共有していたのかもしれない。


T-ROCと同時にレビューされたT-Crossに関してはBセグで1L直3のガソリンターボだったこともあって、福野さんのレビューで大絶賛されている。Bセグの想像を超える進化と、Cセグの退屈さが相まって過激なレビューを呼び起こしている。さすがに出版物の活字にしてしまうと影響が計り知れないのでその「構造的問題」にまでは踏み込んでいない。しかし読書側は勝手に推測して行間(秘密のメッセージ)を読んでしまう・・・以下はあくまで私の勝手な推測です。



シビックが日本から消えた理由

Cセグは北米や中国で台数を稼ぐためのクルマだ。トヨタ・カローラやホンダ・シビックが2000年代中頃からしばらくの間、日本市場での販売体制が不安定で、正規導入されない時期があったりした。カローラ、サニー、シビック、ファミリアが再量販車種の座を巡って争っていた80年代、90年代が過ぎ、今のBセグとなるヴィッツ、マーチ、フィット、デミオが新車で98万円で販売されるデフレな日本市場からCセグは退場した。


カローラ、シビックは北米で、サニーは中国で、ファミリア(アクセラ)は欧州で、販売を拡大し、それぞれに年産40万台規模を維持した。台数を追求するためアメリカ人や中国人が好むサイズへと拡大した。サイズ拡大で日本で使いづらいという指摘は多くのカーメディアが毎度のように言っている。生産コストを低減し、1車種を1つのラインで流す生産を行う中国、メキシコ、タイでの現地生産が可能な設計に落とし込まれ、ホイールベースは長くなり、エンジンやトランスミッションの改良も停滞した。



Dセグサルーンの悲劇

Cセグの停滞する現状よりさらに悲惨なのが日本市場からどんどん消えているDセグサルーンだ。カムリ、ティアナ、アコード、レガシィB4、MAZDA6は、走行性能を放棄してボデーの拡大に努めたが、結局はシェアをミドルSUVに全て持って行かれた。Dセグと同じようにCセグのロードカーもどんどんシェアを減らしている。現行プリウス、MAZDA3や次期カローラはスペシャルティデザインで話題性を振り撒いているが、もはやボデー縮小、軽量化へ逆行することは難しいだろう。


スープラ、フェアレディZ、ロードスターのような2シーターや、GR86やプレリュードのような後席の実用性ゼロの2ドアクーペの運用に踏み切れ無いならば、Bセグを買ったらいいと神(福野さん)はおっしゃる。ルーテシア、208、ノート(AWD車のみ)など、テキトーに選んでもハズレはない。BセグとCセグの無意味な価格差も指摘している。アメリカや中国で売るために作られたクルマに余計な費用を払う必要はない。



運が悪かった

一連のCセグ叩きの延長線でT-ROCに対しても、手厳しい評価が下された。福野さんは非AJAJライターなのでメーカーによるメディア統制を受けないため、海外カーメディアみたいにボロクソに書くことができる。読者もそれを望んでいる。21年レビューに登場するCセグはメルセデスGLA/GLB、T-ROC、MAZDA・MX-30、VWゴルフの4台だ。叩き過ぎて露骨に嫌な顔されるようになったメルセデスには甘めレビュー。MX-30はBEVなので別枠。


ゴルフは先代を大絶賛して多くの読者が買ったクルマなので、今更に手のひら返しはできない。そんな苦しい事情の中で、ディーゼルモデルのみでツッコミどころ満載のT-ROCが忖度無しに叩かれてしまった。このレビューのあとに、T-ROCは欧州ナンバー1のSUVに輝いた。前述のように福野さんの批判に応えるべくディーゼルのビッグマイナーチェンジもあった。当然からもしれないが、この後に続く7、8、9ではCセグ車の登場は減っている。



後記

最後までお読みいただきありがとうございます。この投稿は2026年2月4日時点での情報をもとに記述しています。今後とも日本市場で展開する 自動車 メーカーについて思うところを綴っていきたいと思います。


「VW・T-ROC ドイツ車の価値」(マウンテンゴリラのカーライフ)


「VW・T-ROC コンパクトSUV戦争が勃発」(CARDRIVEGOGOエリア9)


「VW・T-ROC (2025年8月欧州新型発表)」(NEW CARS STORY)


「VW・T-ROC (2026年2月4日)」(CARDRIVEGOGOまとめブログ)









2025年6月1日日曜日

シルバー・カーメディアの弊害

 

日本の危機!?

実家に帰ると、毎度のように母親が政治について語ってくるようになった。都知事選で惜敗した石丸伸二さんが「再生の道」を結成したことは知っていたが、母のような学生運動で蜂起していた世代(高齢者)が、この地域政党に熱狂しているらしい。あんまりうるさいので言ってやった。アメリカでは民主党(増税&低関税)と共和党(減税&高関税)が、ラディカルだけどわかりやすく「民主主義」を構成しているが、石丸さんは当たり前の民主主義のルールすらわかっていないと思うのだけど一体何を期待してんだ!?って・・・。


与野党ともに増税派ばかりの日本に、「日本・共和党」でも作ったらどうだろうか。かつては軍需産業と共謀して戦争を起こすと批判されていたが、トランプになってからは一応の解決をしたようで、アメリカで根強い人気を誇る。相互関税は、日本の自動車メーカーに迷惑な話かもしれないが、それでも三菱、スズキ、ダイハツ以外の主要な日本メーカーは、「フェア」なアメリカ市場を目指し続ける。国民の大多数が「老眼」で本もまともに読まなくなった日本では、真面目に読むような本がほとんど発売されなくなった。ビジネスパーソン必読書は今でも「思考は現実化する」「ビジョナリー・カンパニー」で、いうまでもないが著者はアメリカ人だ。



SNSが強すぎる

給料が低すぎる、米が高すぎる、自動車にかかる費用が高すぎるなど、さまざまな理由で書店で本を買う余裕はなくなっている。アマゾン・キンドルのサブスクサービスを使えば、前述のアメリカの民主主義の実態を書いた本はいくつも読める。自動車雑誌もほとんど読めて月額980円は嬉しいのだけど、読書の時間の確保はなかなか難しい。起床時、就寝時、電車での移動時が中心だけども、ネット記事を見る時間と性質が似ている。ネットはすぐスイッチできるけど、本はすぐに読み終わらないので簡単にはいかない。読書人口が減るのも仕方がない。


カーメディアに関しては、低コストでAIが書いたレベルの読む価値すらない記事が氾濫していている(お前のブログも似たようなものだという批判は甘んじて受ける)。アマゾンで検索すればざっと40冊くらい出てくる福野礼一郎さんのレビュー集を電子書籍化してくれれば、良いのだけど、熱心なファンは全て書籍で購入しているだろうし、主な読者の年齢は高めで、電子書籍との親和性が低いと判断しているのだろう。それとも、最大手のトヨタの設計思想を頭ごなしに否定する論説が、広く世間に流布するのを防ぐ闇の圧力でもあるのだろうか!?



コンテンツを作るのは楽しいが・・・

出版する側にも、カーメディアは時間的に余裕がある高齢者しか読まない・・・という判断があるのだろう。ライターもほぼほぼ高齢者の世代ばかりである。まあ「若造の意見など読んでられない」という気持ちはわかる。自分より若い高校生・大学生が書いた論説文をわざわざ読みたいとは思わない。10年ちょっと前からブログを書いているけども、当初は年配の人から辛辣なコメントが嫌というほど届いた。自動車ライターの池田直渡さんから名指しで批判されたこともある。当時は趣味のブログを批判する行動の意味がわからなかったが、「若いヤツが生意気なこと書いてんじゃねー」みたいなマウント意識もあったのだと思う。


自分自身の過去の経験から、明らかに自分より若いと思われる自動車系ユーチューバーの動画にコメントしたり、彼らのコンテンツを取り上げて自分のブログでえげつなく批判したりしようとは全く思わない。そもそも他人のSNSのコンテンツや主張に対して、全くといっていいほど興味が持てない。顔も知らない人に「MAZDAなんかゴミだ!!トヨタこそ至高だ!!」と主張されても、自分とはクルマを感じるレベルが全然違う人だとしか思わないし、「MAZDAなんて全然売れてないからゴミ!!」と言われても、この人はまともに統計すら見れない人だと思うだけだ。そもそもMAZDAを全身全霊で擁護する気など全くない・・・。



妄想爆発!?

日本では戦後80年1度も民主主義が機能したことはない。本もまともに読まない戦後生まれの高齢者が、SNSを駆使するポピュリズム的な地域政党に熱狂する。この新手の「シルバー・民主主義」はどこに着地するのか。財務省解体?自民党解体?JA解体?・・・SNSでいろいろ叫ばれているが、問題の原因は「国民性」にあると認識できるのだろうか?貯金だけが取り柄の国民性で、その資金がNISA市場に流れてこむ。非常識なカネ余りなので、トランプの相互関税を喰らっても日経平均はびくともしない(MAZDA株はヤバイけど)。この状況では企業はリスク回避で「中抜き」で営業利益を出すようになる。株式市場に注入された資金が団体政治献金となり、企業向けの補助金や公共工事の利権に変わり、結果的に増税につながる。デモする前に株を買うのを止めた方がいいのでは!?


「民主主義」と「資本主義」の本質を知らないまま80年経て来たツケが一気に出た。世界第5位のGDPを誇るけど、自動車メーカーはどんどん去っていく。経済大国のはずなのに人・物・カネの流動性が低過ぎる。おかげでコロナ禍でも過激なインフレは起きなかった。道徳やマナーのレベルは高い(口うるさい)国民なのかもしれないけど、政治、経済の本質を突くような本は誰も書けない。コンシューマー・レポートのような消費者の理解を助ける機関もないし、アメリカのように訴訟で多額の賠償金が発生するリスクも少ないので、MAZDAも含め大手企業は大体ズルいことをしている。



なぜカーメディアは変質したのか?

ブログを書き始めた10年くらい前には、まだまだ自動車業界に対してさまざまな意見をカーメディアから聞くことができた。当時は「プリウスなんてクルマじゃねー」どころか「86なんてスポーツカーじゃない」と言い放つライターが何人もいた。トヨタ車への露骨な苦言が当たり前に罷り通っていた。そんな過激なレビューが一気に絶滅したのだろう。同じようなことは、トランプに対する日本での報道にも見られる。アメリカの民主党政権が日本の主要メディアに「対策費」を払っていたことで、日本ではトランプは完全なる悪者のように報道されている。また自動車メーカーのVWが、日本のAJAJにお金を払っていることも暴露された。


スズキとの間にトラブルを抱えたVWが、AJAJに資金を注入して「スズキ下げ」を意図したようだが、そもそもAJAJに世論を変える力などない。一方でトヨタから支払われる「メディア対策費」は、AJAJのレビューに大きな影を落としている。10年前まで好き放題に悪口を書かれまくっていた。2世代前のクラウンなど「真っ直ぐ走らない」など散々なものだったが、現行のHEVだけとなったクラウンシリーズは気味が悪いくらいに称賛するメディアばかりだ。



不都合な真実が多すぎる

民主主義、資本主義の本質だけでなく「年金制度」「医療保険」「議員歳費」「消費税」「政党交付金」「裏金」など、さまざまなことがウヤムヤにされてきた日本の高齢者は生涯を、メディアに欺かれたまま過ごすことになるのだろう。母親には厳しい意見をぶつけたが、財務省前でデモに参加するあまりにピュア過ぎる高齢者にどんな声をかけたらいいかわからない。トヨタもMAZDAもメディアにカネを払ってコントロールしようとしている(計上されている)。大企業のやることはだんだん役人仕事に近づいていくのだろう。


10年前と比べて、日本メーカー車への批判はほとんど無くなってしまった。それと同時に、自動車技術に関する雑誌なども相次いで廃刊になった。クルマそのものが複雑化して、外部に情報が出なくなり「ブラックボックス」化が進んでいる。自動車メーカーが技術開発競争をするのではなくて、日立やデンソーなどの巨大サプライヤーからさまざまなメーカーが供給を受けるようになった。欧州メーカーも、横置きエンジンのトルコンATは、どのメーカーも自製しておらず、高価格のZF9速を使うか、アイシンAWに供給してもらうしか選択肢がない。



老後って必要ですか!?

クルマの乗り味を決める動的要素として、エンジン、ミッション、タイヤ、サスペンション、ステアリングの5つがあるが、多くの自動車メーカーは新規エンジンの開発を停止していて、それ以外の4つは全てサプライヤーが担当している。サプライヤーに任せることを極度に嫌うMAZDAは、あれこれ自製するのでコストを抑えこむのは上手いが、CX-60みたいな乗り味は設計を大まかに「外注」していればとりあえず起こることはなかった(これが起こるからMAZDAは楽しい)。


SNSでは「選挙で自民党が負けないとこの国は終わり」と叫んでいる投稿を多く見かける。噂される衆参同時選挙があったとしても、1993年&2009年の政権交代時に、この国の何かが変わったというのだろうか。自民党が選挙で負けた2年度にはまた大震災が来るかもしれない。このまま自民党政権がSNSの前に醜態を晒し続ければ、財務省前では「暴力」による惨劇が起こるかもしれない。人生がまだまだ楽しい氷河期世代以下にとっては、ウヤムヤな報道ばかりでイライラする世界よりも、「人生にギブアップしたら安楽⚪︎」という老後など考えない世の中を望んでいるとすら思う・・・。


Leave US Alone(救国シンクタンク叢書): 減税と規制緩和、アメリカ保守革命の教典





2024年12月11日水曜日

国沢光宏さんが日本COTYでMAZDA車に10点入れる!!!!!

 

なんでEクラスと5シリーズが無いのか!?

2024-2025日本カーオブザイヤーが発表された。コンパクトミニバンをホンダの技術力で徹底的に磨き上げたホンダ・フリードが受賞した。最終選考の10台のうち輸入ブランドが4台で、ICEとBEVが併存するMINI以外の3台がBEV専用車となっている。中国BYDと韓国ヒョンデが輸入車の2枠を占めていて、残りのボルボも吉利汽車との共同開発のBEVで、ディーラーでは取り扱いはなくネット販売専用車である。


ノミネートされた輸入ブランド車では、メルセデスEクラスが販売も好調で良さそうだと思ったが、クラウン・セダンが最終選考漏れ(LBXとランクル250でトヨタは2枠)の手前、ライバル車のセダンが10ベストカーに残るのはマズいと判断したのだろう。BMW5シリーズも最終選考は当然のモデルだったが、同様の理由で外されたようだ。毎年のことだけども、予定調和が満載な日本COTYでは、どのような人為的な「調整(忖度)」があるのか、あれこれと考えるのが楽しい。


今回の審査員は・・・


日本COTYはカーメディア各媒体の推薦を得た59人の選考委員の投票によって決定される。選考委員の選出がメディア推薦に変わってから数年が経つが、多くのメンバーは変わっていない印象だ。全体的に高齢化が進んでおり、ざっくりと岡崎五朗さんと小沢コージさん(どちらも1966年生まれ)より下の世代は「若手」といった印象である。


他の賞の審査員とは違って、直近1年間で日本市場で発売されたばかりの新型車を審査する。自動車大国ドイツでも新車でクルマを購入するの平均年齢は40歳を大きく超えるらしい。日本はまだまだバブル時代の商習慣が残っていて、20歳代でフルローンで高級車を購入して仕事を頑張る原動力にすべきだと、ディーラーに行けば説明して貰える。日本人は家もクルマも買わなくなったから離職率がどんどん上昇しているとか・・・。


年齢相応の審査


ランクル250、レクサスLBX、CX-80などは40歳以上をターゲットにした商品企画であり、高級感ある作り込みで500万円以上の価格になっている。完全に大人の年齢の審査員59人が集まったのだから、トヨタ、レクサス、MAZDAそれぞれのブランドの「近年の最高傑作」とされてもおかしくない3台の評価が意外に低かったのは残念だ。ちなみに各審査員は3台のクルマに10、4、2点をそれぞれ入れるシステムだけど、選んだ3台がこの3台と完全一致した人は0人だった。


別に審査結果が不満ってことは一切ない。しかし大人の年齢の審査員が若い読者や引退世代の読者の気持ちに寄り添って、若い人(高齢者)にも手が届くフリードやフロンクスを積極的に選考するしたたかな茶番を見せられるくらいだったら、最初から30歳未満の自動車系ユーチューバーを主催者選出で入れて、若者の意見をそのまま反映させた方が良い。そして女性審査員は7名しかおらずわずか12%だ。世界的に悪名高い衆議院議員の女性比率(15%)にも抜かれてしまった。


どうした!?国沢さん・・・


そんな中で、最大手メディア「ベストカー」選出で年長者の代表の風格さえ感じさせる国沢光宏さんが、意外なことにMAZDA・CX-80に10点を入れていた。CX-60へのバッシングが起こるずっと前から、主筆を務めるベストカー誌上では国沢さんを中心にMAZDAを痛烈に皮肉る「偏向報道」が何年も続いている。一般的にMAZDAファンからは国沢さんはカーメディア最強のヒール役と認識されてきた。最近では「ひでぽんチャンネル」にキャラを奪われているが・・・。


CX-80の魅力である直列6気筒を縦置きにする設計は、MAZDAの副社長を務めた藤原清志さんがロマンに全振りできる世界的ブランドを再構築すべく、開発を推し進めたものである。フォード傘下から離れ独立メーカーとなった2010年に、藤原さんは商品企画・パワートレイン開発の執行役員となり、その後の第六世代&第七世代のMAZDAブランドの方向性を決定する立場にいたことで有名だ。いうまでもなくCX-80はその輝かしい集大成といえるクルマである。


三菱トライトンではないの!?


このCX-80に10点を入れた国沢さんは、2018年頃からベストカー誌上や個人の動画メディアにおいて、執拗に藤原さんに対して名指しで大批判を加えてきた。2022年に突如として藤原さんがMAZDAを辞めたが、国沢さんのMAZDA批判は2024年現在のベストカーでも相変わらずに続いている。直近のベストカーでもMAZDA3の最上級モデルに搭載されているスカイアクティブXを、「高速行きでも低速域でもうっとおしい音がする」みたいなことを書いていた。


国沢さん個人の本音として、自動車メーカーに対してそれぞれどんな印象を抱いているか、明確にはわからない。しかしベストカーの記事を追いかけている限りだと、どうやらトヨタ、スバル、三菱のことは基本的にはお気に入りのようだとわかる。今回はレアな三菱から「トライトン」が最終選考に残ったメモリアル・イヤーであるのだから、当然にトライトンに10点を入れると勝手に予想していた。


クルマの未来を心配し過ぎか!?

最終選考10台中の2台がラダーフレーム車の日本COTYはなかなかにクレイジーだ。ちょっと不謹慎だけども、地震や豪雨災害に備えて日本のクルマは今後オフロードやグラベルに対応したモデルが増えていくのかもしれない。「HEVのトヨタ」「PHEVの三菱」のイメージは作り上げたけども、その反動もあってか、これまでの日本COTYの最終選考を勝ち抜くことすらナンセンスと思われていたラダーフレームのランクル250とトライトンが選ばれた。


日本メーカーはもっとBEVに注力しろ!!という意味なのか、輸入ブランドは前述のようにBEV専用が3車種とBEV設定があるMINIの4台が選ばれて、定番のEクラスや5シリーズが政治的な理由もあってだろうけど排除された。選考結果は、1位フリード、2位CX-60、3位MINI、4位フロンクス、5位LBXである。上位5台の中にはラダーフレームとBEV専用車は見事に含まれていない。


今回は国沢さんの一人勝ち


日本COTYの総意として、道筋が見えない日本市場向け乗用車の方向性に、明確なメッセージを出したかったのかもしれない。「サスティナブル(持続可能)」こそが知性の根源であり、日本のインフラを考えるとラダーフレーム(燃費最悪)やBEV専用車にはネガティブな意見が多く出てしまう。「多様性」の尊重は大事だけども、ランクル250や爆速BEVが自動車を代表する存在になってしまったら、「クルマ=知性に欠ける趣味」と結論されてしまうだろう。


国沢さんの投票はCX-60に10点、ヒョンデ・アイオニック5Nに4点、ランクル250に2点である。そしてコメントには「最も優れたエンジン車とBEVを比べた結果」と言っている。日本メーカーの美点である低燃費エンジンを搭載する5台が上位5つを占めたけども、その中でMAZDAのエンジンだけが新開発である。そして他の2台をBEV専用車とラダーフレーム車に振り分けた。59人いる審査員で3つのジャンルから1台ずつ選んだのは、国沢さんただ1人だ。









愛車学: 知らないと損するクルマの常識・非常識



 

2024年9月20日金曜日

CX-80ネガキャンの次は、若手インフルエンサー批判か・・・

 

さすがに黙ってられない・・・

「自動車系ユーチューバーをやるなら、まずは批評するクルマを自分で買ってみて、それからあれこれ評価しなさい!!」・・・だってさ。なんか蘇ってくるんですよね。10年ちょっと前にMAZDA車を「買って」それに感動してブログを始めてみたものの、「BMWと乗り比べてみたけどGHアテンザは全然負けてないです!!」と率直にな感想を書いていたら、「BMWに乗れるようになってから書け」と同じようなことを上から目線で言ってくるコメントを度々頂戴したものだ。なんで感動できないクルマを買わないといけないんだ!?


このブログを読んで下さっている方は、ご理解頂いていると思いますが、ブログ主はMAZDAに限らず、基本的にはあらゆる自動車メーカーに対して「クルマを設計&生産してくれてありがとうございます」と感謝を伝えるべくブログ活動をしている。MAZDA歴42年でマツダ整備士だった有名インフルエンサー様から見れば、「何もわかってない素人さん」でしかないが、ちょっと前の投稿にも書いたように「MAZDA車は危険です」みたいな広報活動には断固として反論させて頂きたい。ただし相手にコメント欄に敵意を剥き出すのではなく、自分のメディアでやるのが流儀。



本物のインフルエンサーって・・・

レクサスLCを新車で変えちゃうくらいの財力があって、CX-60もCX-80もどっちも買う・・・若手ユーチューバーを参考にしたような富裕層アピールで目立ち、コメント欄にも「CX-60プレスポ・オーナーです」みたいな自己紹介(必要ある?)してくる同じ匂いの仲間が溢れている。可処分所得の多い視聴者を集めればYouTubeの収益も上がるし、それを原資にクルマを何台も買うのだからとても結構なことだと思う。MAZDA好きがレクサスLSであそこまでテンションが上がるのはちょっと違くないか!?という気もするけど、MAZDAファンにはちょっと珍しいような、陽キャで八方美人なタイプなのだろう。


正直に告白すると「ひでぽんチャンネル」には恩がある。CX-60が発売された頃に、縦置きシャシーに採用されたサスペンションの説明の動画を拝見した。さすがは整備士だなと思った。他のインフルエンサー(五味さん、河口さん、小沢さんなどAJAJ系)からは期待できないテクニカルな内容がけど、とてもわかりやすい説明だった。その直後に、ちょっと因縁がある池田直渡さんが日経でMAZDAのサスペンションをレビューしていたが、「ひでぽんチャンネル」で予習済みだったので、すぐに致命的な間違いがあることを見つけてしまった。


間違いの内容は、MAZDAがメディア向けに用意した「CX-60」と「従来車」の2つのシャシーの図を使った説明の中で、「従来車」のリアサスをマルチリンクだとして話を進めているが、これはMAZDA3やCX-30が使うトーションビームが正しかった。Xに池田さんのレビューを添えて「間違ってますよ!!」と晒したところ、ご丁寧にも池田氏本人から返信が来た。その内容は全てスクショしてあるので別の機会にでも出してみよう。わざわざ返事を頂いたのでそんなに悪い気もしなかったし、言葉遣いは最低だったが本人も自身のレビューの間違えを認めていたので、適当なところで折れておいた。



視野が狭い&上から目線

「ひでぽん」さんと池田さんは同い年くらいだと思うが、どちらも喧嘩っ早いようで、年齢からくる自信なんだろうけど、間違った内容でもゴリ押しするところが見受けられる。MAZDA系の若手のインフルエンサーから「ステマ好きなパーツ屋」と陰口されているのを知ったのだろうか、最近の動画では毎回のように、冒頭のような「買ってからレビューしろ!!」「買わないやつの動画は無意味」みたいなことを言うようになった。クルマを複数台も買える金持ちだけがレビューを書くべきという主張には同意できない。その言葉をそのまま同級生の池田直渡さん(10年以上所有していないらしい)に突き刺してみてはどうだろうか!?


批判の対象となっているMAZDA系若手ユーチューバー(・・・本当に若手か?)とは誰のことか断定なんてできないけども、比較的に見る機会が多い「MAZDAベタ褒め系のユーチューバー」ならば3人くらいが思い浮かぶ。3人(3組)ともに、「ひでぽんチャンネル」と比べれば2回り以上は若手だろう。3チャンネル共に動画の内容はよく練られている優良チャンネルなのでオススメできる。若手とはいえMAZDAのクルマ作りに詳しくて、非常に論理的で頭が良い人達が、呆れるような飛躍もなくMAZDA車の素晴らしさを淡々と語っていて、ずっと聴いてられる安心感がある。



なんだこのタイトルは!?


一人目は「くらおチャンネル」さんだ。癒し系の落ち着いた語り口がとても爽やかで好感度が高い。1人のチャンネル登録者の勝手な想像に過ぎないが、この人はクルマにとても詳しいが、あえて難しいことは言わないようにして初心者向けを心掛けているが、コアなMAZDAファンを唸らせるセンスあるレビューになっている。「ひでぽん」チャンネルと大きく異なるのは、思考停止な視聴者が好むような安易な批判やネガキャンなどは絶対に行わない。視野がとても広い。「ひでぽん」がネタとして繰り出す小さな批判など全く興味はないようで、そんなことよりも、世界のどのメーカーよりも真剣にクルマ作りに取り組むMAZDAの世界観にとても共感している様子が窺える。


そんな「くらおチャンネル」さんが、何やら「ひでぽん」チャンネルに対するアンサー動画らしきものを作ったようだ。同じMAZDA系チャンネルということで「ひでぽんチャンネル」の影響を受けた人々が、この動画に上から目線でコメントをしている。別に「ひでぽん」チャンネルの視聴者が思考停止した情報弱者などというつもりはないけども、そこで得た情報を他のチャンネルのコメント欄に「ひでぽんさんはこう仰ってましたよ」などと動画の内容に反論してくる人々が何人も現れていて残念な限りだ。終始大人の対応の「くらお」さんが、これらのゴミコメントにクールに流すように返答していて最高だ。



「ひでぽんチャンネルはパーツ屋のステマ」だ


二人目は「ハチワレカーライフ」さんだ。こちらのチャンネルでは、かなり早い段階で「ひでぽん」チャンネルに対して、自身の動画内で「某整備士さんのステマ」とコキ下ろしていて喧嘩を売っている。若手とはいえMAZDA歴15年にもなるそうで、MAZDAが世界制覇へ歩み出した第五世代(2002〜2012)からのユーザーだ。この世代からMAZDA車に乗り始めた人は熱狂的な人が多い印象だ。ランエボや初代86がスクエアエンジンを使っていた時代に、アテンザ、アクセラ、プレマシーの2LエンジンはショートストロークのMZRが搭載されていた。スポーツセダン、スポーツハッチ、スポーツミニバンが主力の世代だ。


第五世代の話は別の機会にするとして、「ハチワレカーライフ」さんも非常に冷静で、MAZDA車のポテンシャルをしっかりと理解した上で、的確な言葉で語り尽くすスタイルだ。同じく第五世代からMAZDAにどっぷりハマった一人のチャンネル登録者として、どのMAZDA系チャンネルよりも内容にシンパシーを感じる。「ハチワレ」さんや「くらおさん」のように「MAZDAへの情熱✖️丁寧に調べる✖️視野が広い」の3つが揃ったユーチューバーは実に素晴らしい。AJAJ系のチェンネルの多くは3つ全てが欠如している。ただただMAZDA車は再生回数が増えるから取り上げてるだけ・・・って感じが嫌だ。




整備士系ユーチューバーの頂点


三人目はMAZDA系という分類ではないが、比較的にMAZDA車を高く評価している「ハンターチャンネル」さんだ。「くらお」さんや「ハチワレ」さんは共にCX-60を購入されていて、それ以前にもMAZDA車を何台か所有して来られたようだが、「ハンターチャンネル」さんは特段にMAZDA車のオーナーというわけではなさそうだ。「ひでぽん」チャンネルが批判するような「買わないのにMAZDAをベタ褒めするインフルエンサー」の中では最大級の登録者数を抱えたチャンネルだ。2024年9月現在では「ひでぽん」チャンネルの2倍以上の登録者を誇っている。



国土交通省、欧州委員会(EC)、カリフォルニア州などに敵視されつつも、自動車業界全体に圧倒的な影響力を持つトヨタに対して、「ひでぽんチャンネル」やAJAJ系チャンネルは額を擦り付けて服従し、「くらおチャンネル」や「ハチワレカーライフ」は無関心な姿勢を貫いている。しかし「ハンターチャンネル」だけがトヨタに中指を突き立ててトヨタの新型モデルをボロクソに酷評している。「ひでぽん」さんと同じ自動車整備士出身の二人組で、MAZDA信者の「くらお」さんや「ハチワレ」さんとは主張のスタンスがかなり違う。淡々と流れ作業のような語り口は「ひでぽん」さんに似ている。



ユーチューバーのスタイルは色々あって良いはず

もしMAZDAが日本から撤退したら、自動車系ユーチューバーは激減するだろう。MAZDAのような非常に野心的でスケールの大きな構想を打ち立ててくる総合自動車メーカーがあるからこそ、カーメディア全体も盛り上がる。「ひでぽんチャンネル」や「ハンターチャンネル」のように整備士の立場からユーザーに有益な情報を教えたいというスタンスもわかるし、「くらおチャンネル」や「ハチワレカーライフ」のようにMAZDAの世界観を仲間と共感するためにSNSを使う場合もあるだろう。


「ひでぽんチャンネル」が主張する、MAZDAに忖度した若手インフルエンサーが誰を指しているのかはわからない。ただし全てがステルスマーケティングに従事しているわけではないし、「ひでぽんチャンネル」の批判に反応した「くらおチャンネル」や「ハチワレカーライフ」は、整備士系とは全く違う意味でコアなMAZDAファンに親しまれているチャンネルだと思う。池田直渡さんなどのAJAJ系インフルエンサーの動画やレビューは、MAZDAへの理解が全然足りてなくてイライラするけども、AJAJ系はまともなMAZDAファンは見ないから問題ない・・・。




EV(電気自動車)推進の罠 「脱炭素」政策の嘘





2024年9月17日火曜日

2024年こそカーメディアは「日本車はゴミ」というべきではないか?


 


カーメディアの記憶

テレビなどのメディアでは、しばしばコンプライアンスが厳しくて過激な表現ができなくなった・・・という創造性の欠如を覆い隠す無意味な説明をよく聞く。カーメディアも状況は同じようなもので、福野礼一郎さんは「カーメディアで本音を書く馬鹿はいない」と言っている。YouTube動画ではそこまで規制が厳しくないようで、若者を中心に視聴者がテレビからYouTubeへ移っている。カーメディアも動画が中心になった。既存の雑誌はコンプライアンスでガチガチなので、広告主であるメーカーの機嫌を損ねるライターは、次々と締め出されていく。


この流れは今に始まったことではなくて、2006年に福野礼一郎さんが主筆となって「クルマの神様」という新しいタイプのクルマ雑誌が試行された。誌面から企業広告を一切排除して、クルマの写真集のような永久保存版の雑誌を目指したようだが、あまりのアート志向なのか誌面そのものに大きな余白があり、福野さんの美学を理解するファン以外の、情報を求める読者には響かなかったようだ。合計2冊が発売されているが、豪華な装丁なので、20年経っても写真はきれいなままだ。



平成は貧しかったのか!?

2006年当時の新車の価格表も付いている。2007年の12月に日産がR35GT-Rを発売するちょっと前のタイミングであるが、いうまでもなく2024年とは別次元の価格だ。軽自動車だけでなくパッソやソリオなどの普通乗用車でもベースグレードの価格は100万円を下回っている。130万円くらいでカローラやインプレッサなどの定番のCセグが買える。各メーカーともにラインナップの大半が100万円台スタートで、ブランド全体に高級感はない。GT-Rの発馬時にディーラーのイメチェンが要求されたのもよくわかる。


マークXやアコードなどちょっと高級なモデル(ハイソカー)が200万円台スタートで、フーガやクラウンなど日産、トヨタのフラッグシップサルーンだけが300万円台スタートだ。レクサスは日本に導入されたばかりで、ISとGSが400万円以上の価格帯中心で配置されている。当時のレクサスはあまりに価格が高過ぎたようで、「販売面で苦戦している」と書かれている。18年前の価格と比べると、2024年の同型モデルは、ほとんどが2倍以上になっている。日本の消費者物価指数が同じ期間で1.2倍程度しか増えていない(むしろデフレ局面だった)ことを考えると、異常な伸び率だけども、カーメディアも一般メディアもこのことを一切報じない。



自動車のインフレ率は異常事態

中小企業や個人農家が生産することが多い食品や日用雑貨品と比べて、自動車組立工場は圧倒的な大企業しか経営できないこともあり、巨額な利益を分捕りにいく業界の推進力は他の商品よりも圧倒的に高い。例えば腕時計も一部の超一流ブランドのものならば、クルマと同じ水準の価格上昇を起こしているけども、腕時計だと新規参入の障壁もクルマほど高くないので、機械式だろうがクオーツ時計だろうが、大多数のモデルは目に見えて高額にはなっていない。日本市場の普通自動車の価格が、パテックフィリップやランゲ&ゾーネのように上昇するのは不思議だ。


全ての日本の自動車メーカーが「贅沢品」に相当するクルマばかりを生産していて、そのほとんどが富裕層や所得に余裕のある中流以上の人々相手の商売だというのなら、極論に聞こえるかもしれないが、中国・インド・ASEAN地域のメーカーに市場を明け渡すべきだと思う。ホンダやスズキがアジア生産の小型SUVを日本でも流通させるようになっているけども、実勢価格は日本市場で他車とバランスの取れる範囲で調整されている。日本よりも所得が高いはずのEUでは、すでに中国メーカーなどから多数の供給を受けているのだが。



官製カルテル!?

高度経済成長期より日本の自動車産業は国の原動力だとして保護されてきた。低価格で高品質な製品を供給するという2006年頃の方針のままならわからないでもない。コロナ後の日本では官民一体となって「賃上げ」に邁進している。クルマ、ガソリン、電気、ガス、住宅、コメ、肉といった必要不可欠なところに積極的な値上げを働きかければ、生活が苦しくなる国民は必死で働くのかもしれない。労働者の不足もあって、従業員から雇用主に対しても賃上げ要求は強くなる。会社がどこに移転しても、都市部では住宅手当が致命的に不足するし、地方ではクルマにかかる費用が嵩む。


中国共産党にも負けない手際の良さで、国民を搾り上げるフェーズに入った。無駄な残業はワークライフバランスの建前で、徹底的に制限されたので、豊かな生活のためには短い労働時間で効率的に業績を叩き出す必要がある。自動車メーカーに限った話ではなく、どこの企業も厳しい努力が求められている。1台=200万円くらいの普通乗用車を売る時代はとっくに終わった。普通乗用車主体のメーカーならば、1台=400万円以上の単価を出さなければ、十分な賃上げはできない。



500万円で売れるわけがない

平均が400万円以上なのだから、500万円、600万円くらいでも普通に売れるクルマを作らなければならない。この価格帯で勝負するなら、直列6気筒を縦置きするしかない・・・と腹を括ったMAZDAはそこそこの結果を出した。それに対して、三菱、日産、スバルは既存モデルの設計を変えずに、外部から調達した自動運転機構などをアピールして、価格を300万円台から500万円台まで引き上げた。露骨な価格アップはユーザーに見透かされてしまったようで、日産や三菱の2023年度はかなり厳しい結果になった。。


スカイラインは500万円台で売れ続けるけど、エクストレイルは500万円では売れない。ハリアー、RAV4、CX-5も客寄せグレードだけ300万円前後ではあるが、標準的な機能を持つ売れ筋は400万円が当たり前になっていて、以前と比べると売れ行きは相当に下がっている。CX-5の2.5LガソリンAWDモデルは初期モデルでは300万円を下回る設定だったが、今では400万円のグレードのみとなっている。トヨタもMAZDAも客単価を上げることにばかり頭を使っている。



新しい販売手法

レクサスLBX・MORIZO・RRというスペシャルなクルマが発表された。何らかの条件付きの抽選販売が行われるようだ。これはフェラーリやポルシェの手法を真似ているようだ。正式な情報は発表されていないが、レクサスの1500万円くらいするフラッグシップLS、LC、LMなどの現行モデルを購入している顧客が優先的に対象となるのだろう。この手法がうまく行ったらば、今度はレクサスLFAみたいなウルトラモデルを復活させるかもしれない。多額のお金を使ってくれたユーザーには、絶対損しないモデルを渡してwin-winの関係を築く。


他社のやることをよく観察しているMAZDAも、極秘に開発していて特許まで出されている噂のロータリースポーツカーを、CX-60やCX-80など500万円を超える高額モデルのユーザー優先で限定販売する可能性もある。スバルにもWRXのMT車復活というカードがある。トヨタ陣営と対峙するため大同団結した日産・三菱・ホンダにもそれぞれ、GT-R、フェアレディZ、ランエボ、NSX、S2000、シビックtypeRを開発して、フラッグシップモデルのユーザーだけに販売すればいい。



500万円の価値があるのか!?を知りたいのだ

日本メーカー6社はいずれも世界的なハイエンドスポーツカーを作るだけの技術力と歴史を持ち合わせているのだから、フェラーリやポルシェのような圧倒的なブランド力で単価を上げている販売は可能だ。クルマから離れてしまった若い世代は、所帯染みた大衆車が並ぶディーラーより、日本の主要ブランドが一般ユーザー向けに付加価値の高いクルマを用意するビジネスを望んでいると思う。MAZDAへの注目度の高まりはディーラーの変貌と無縁ではない。


10年前のカーメディアは、まだまだ「日本車は大衆車で、ドイツ車には勝てない」と上から目線な雰囲気が残っていた。それがいつしかスライドドアのミニバンを「スポーツカーだ!!」と持ち上げるライターが続出する事態だ。こんな腰抜けな媒体ばかりだと、クルマへの注目度は高まるどころか、クルマ離れは加速する一方だ。大半が100万円そこそこだった時代の日本車を「安物」と言ったところで何の意味があったのか?各社が用意する500万円超えの看板モデルを、海外のカーメディアのように「このBMWはゴミだ!!」くらいに放言するメディアがあってもいいと思うが・・・。



クルマの神様 (1) (別冊CG)


クルマの神様 (2) (別冊CG) 

2024年9月10日火曜日

CX-80 を葬りたい闇の勢力

 

CX-80を買わせない理由は?

久々にMAZDAの新型車となるCX-80が発表された。量販型のコンパクトカーではなく、ブランドのフラッグシップとなる高級モデルの登場だ。2012年の初代CX-5の大ヒット以降、MAZDAの中大型モデルは非常に注目度が高く、MAZDA6、二代目CX-5、CX-8、CX-60はいずれもトヨタが警戒するほどの好調な売れ行きを見せている。販社や顧客の数を考えればトヨタの中大型モデルと比べて絶対的な販売台数は下回るけれども、トヨタ以外のメーカーが直近の10年余りでこれだけのモデルを投入して善戦していることが快挙と言える。


そんなMAZDAの決定版のような大型SUVのCX-80だけど、なぜか一部のインフルエンサーから発売前にもかかわらず怒涛のようにケチが付けられている。どんな経緯からマツダ整備士ユーチューバーがCX-80のネガキャンを繰り返しているのかわからないけど、これはさすがにマナー違反だと感じる。動画の投稿頻度も非常に高くなっていて、あくまで憶測に過ぎないけども某企業からの「案件」ではないか!?という話をちょっと前の投稿でも書いた。その後もネガキャン動画は執拗に続いていて、それぞれから「CX-80は買わない方がいい」とのメッセージがハッキリ読み取れる。



ネガキャンが悪質になっていく

比較的に新しい動画では、とうとう「MAZDAには安全なクルマがない!!」とまで言い出した。IIHSなどの海外の衝突安全テストで「世界で一番安全なMAZDA車」という裏付けを得ているブランドに対してのイチャモンには、さすがに多くの視聴者(MAZDAファン)も違和感があるだろう。ひでぽんさんが舅様にクルマを買ってあげようと思ったが、MAZDA自社開発・生産車では「安全面」で条件を満たさないので、MAZDAブランドにOEMされているフレアワゴン(スズキ・スペーシア)を買ったんだそうだ。自分のクルマはレクサスLSやLCで、舅のクルマには軽自動車・・・しょうもないプライベートまで動画で公開する時代にちょっと閉口する。


動画のコメント欄には「ひでぽん」さんのファン(多くはMAZDAファンか?)からの好意的なコメントで埋め尽くされている。自称MAZDAファンだけど、ブランドに対する敬意がなく、やたら上から目線で批判してくる年配の方々だろうか。ユーチューブで新たな視聴者を獲得するには、視聴時間が長い高齢者を狙うのが一番手っ取り早いだろうし、高齢者の世代ではMAZDAは嫌われていることが多い。潜在的なアンチ層を取り込む戦略なのだろう。クルマの魅力で売っているMAZDAに対して、他の国内メーカーはモビリティを売っているので「先進安全機構」を最優先にPRにするのだから、開発の方針は違って然るべきではないか。



「切り取り」が酷い

動画内では分かりにくく誤魔化しているが、MAZDA2とCX-3は「先進安全機構」で他社よりも装備が劣る部分はある。モデルサイクルが長期化しているところを狙い撃ちしている。ちなみにMAZDA3以上の上位モデルであれば他社に遅れを取っている安全機能はほとんどない。カメラやセンサーを使った「先進安全機構」は、狭い場所での切り返しなど徐行時や、駐車場からバックで出る時には確かに有為な機能ではある。CVTで突発的に動き出すリスクがある他社モデルには必須な機能だと思うが、徐行時の余裕を持った制御がしやすいトルコンATを使っているMAZDAやレクサスは、ドライビング環境として上を行く安全性が確保されている。


マツダ整備士ならば当然に知っているであろうけども、ペダル配置やシートの着座姿勢によって事故を削減するというMAZDAのポリシーには全く触れられていない。長時間の運転でも疲れにくいクルマ作りの結果、長距離ユーザーがMAZDAを選ぶ流れが生まれている。某有名AJAJライターの動画では、CX-5が長距離王だと認定していた。長距離ユーザーは乗車時間が長いので、クルマにお金をかける傾向にあるが、近年のMAZDAが日本市場で顕著に中大型モデルで躍進しているのも納得だ。




意図的に誤解させている

国内他社のようにモビリティを積極的に売っていく方針ではないのだから、MAZDA2やCX-3をブランド内から切り取って、他社基準で評価されるのは厳しいものがある。基本設計となる先代のMAZDAデミオ(3代目)は、2008年のWCOTYを獲得した歴史的名車ではあるけども、その設計はさすがに古い。CX-80の登場で第七世代への更新が完了したが、MAZDA2、CX-3のベースは第五世代として設計されたものに遡る。


MAZDA2とCX-3の主要な生産ラインはタイやメキシコにノックダウンされており、開発コストが焼却済みで価格を抑えた新興国向けモデルとして、2Lガソリンエンジンを搭載したモデルが主体となって生産が続いている。日本市場向けはMAZDA2が国内生産でCX-3がタイ生産に切り替わっていて、日本市場向けのモビリティとして主役になるのは無理がある。ひでぽんさんはこの状況を分かりやすく視聴者に伝えるために「MAZDAでモビリティを買ってはいけない!!」と言いたいようだけど、視聴者のコメントを見る限り、「MAZDAは全て買ってはダメ!!」と認識されてしまっている。この程度のロジックに騙される人はMAZDAには向いていないとは思うが・・・。



批判が受け入れられる状況が生まれている

トヨタがMAZDA系インフルエンサーに金を払っている疑惑なんていう道義的な問題よりも、さらに根深いものが見え隠れする。他の動画でも「MAZDAを買ってはダメ!!」というメッセージを強烈に含むものが続いているが、このような動画が嬉々として受け入れられる土壌があるのも事実だ。MAZDAというメーカーの近年の新型車開発に対して多くのファンが、期待してた故に大きな失望も同時に感じていて、そのやり場のない複雑な感情に対して「ひでぽんチャンネル」が寄り添っている部分もあるのだろう。不満の吐口になっている。


ファンの期待という部分でMAZDAはやや楽観的になっている。2010年代には世界的な評価を独占し、トヨタの会長からも評価され、さらに他の日本メーカーが日本市場向けのクルマ作りへのロマンを捨てているという現状が、MAZDAの方針をグローバルで目立たせている。MAZDA以外の日本メーカー車が、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドなどのカー・オブ・ザ・イヤーを獲得する姿はまず想像できなかった。2020年代になりトヨタ・プリウスの大変身でMAZDAの独走にから状況は変わりつつあるかもしれない。



MAZDAがオンリーワンの時代は終わった?

プリウスに続きホンダからプレリュードが投入され、日産も新型車を投入すると宣言していることから、「MAZDA以外には期待できない」という状況は徐々に変わっていきそうだ。2019年からの第七世代においてスカイアクティブXと直列6気筒縦置きシャシーのどちらもが計画通り実用化された。スポーティでありながら20km/L近いモード燃費を達成していることは、かなり過小評価されているけども、エンジンに関しては「世界のMAZDA」と言っても過言ではない状況になっている。


スカイX&6MTのMAZDA3と、直6ディーゼルのCX-60によって実現した、MAZDAによる「新しい世界線」に対して、トヨタやホンダが執念を燃やしてきたハイブリッドで対抗することは諦め、シビックRSは1.5Lターボに6MT、GRヤリスは1.6Lターボに6MTや8ATを組み合わせるという90年代的アプローチへと立ち返っている。環境「先進国」の日本が自信を持って送り出したハイブリッドの道徳的意義は高いのだろうけど、同時に消えゆくカーライフへの飢餓感も作った。最も飢えていたのがMAZDAの経営陣だったというオチだ。



立場の違いは大きい

世界のどのメーカーが、最後まで俺たちのカーライフに真剣に向き合ってくれるのか?ポルシェ、BMW、トヨタなども候補に上がるかもしれないが、MAZDAこそが異端とも言える経営方針で楽しくて所有欲を高めるクルマを作ることに全振りしている。フェラーリやメルセデスと並んで3大の「カーライフの可能性を追求するブランド」だと自負してるかもしれない。評価は人によって分かれるとは思うが、事実として半世紀を超えてスポーツカーを作り続けてきた稀有なブランドに対して、「モビリティ性能をもっと上げろ!!」とは無作法な批判ではないか?さすがにフェラーリに同じことは誰も言わないだろう。


世界のどこのメーカーよりもたくさんの逆境を超えてきたMAZDAの歴史を知っていれば、このメーカーに「常識」を押し付けることが迷惑以外の何物でもないことはわかるはず。創業間もないアマゾン(5期連続赤字)に対して、「立ち読みできなかったら本なんて売れるわけねーだろ!!」と批判しているようなものだ。「EVシフトなんてできるわけないだろ!!」と批判されたテスラが、北米市場でメルセデスやレクサスを軽く超えていった。・・・ただ面倒くさいことに、安易で思考停止な批判意見が有益になるケースもある。それは日本向けユーチューバーやテレビ局がコンテンツを楽して量産する場合だ。



2024年9月2日月曜日

福野礼一郎さん「CX-60はBMWを超えているけど・・・ゴミ」



 

MAZDA新車記事にアンチコメント襲来

MAZDAが久々に新型車CX-80を発表したこともあり、久々に各メディアのネット記事コメント欄が荒れている。MAZDA車が他社ユーザーから嫌われる理由はいろいろあるとは思うけども、わざわざコメント欄に「汚れた人間性」を晒すまでさせてしまう原動力は何なんだ!?と不思議に思う。1〜2行のコメントで、クルマの感想を述べたところで、どう考えても余程の浅知恵くらいしか披露できない。それがほぼアンチコメントになるわけだから、思考停止な人々のステレオタイプで気晴らし的な悪口が並ぶ。


まだ廃刊には至っていないベストカーというカーメディア雑誌がある。毎号の特集ベージでは多数のライターを動員して、話題のクルマへの感想を数行で述べさせて得点を付けるという生産性の乏しい企画を続けている。リーダー格のAJAJ国沢光宏さんをはじめ、短いコメントを求められるレギュラー評論家がインパクト重視で刺激的な表現が多くなるのは無理もないし、国沢さんだけが悪いわけではない。ベストカーの企画で量産された「アンチ・MAZDA・コメント」を、高齢者中心の読者がネットのコメント欄に無断転載する。リテラシーと人間性の低さに目を覆うばかりだ。



クルマ批評は長文レビューに限る

カーメディアにはさまざまな種類がある。雑誌媒体でステレオタイプな短文で、活字があまり好きではない読者にネタ的に読ませるベストカー的なものもあれば、その対極には福野礼一郎さんの連載のように読者に知識・集中力・想像力の3つを高いレベルで要求するインテリ向けのものもある。短文カーメディアやネットコメントでCX-60を表現させると「開発不足」「欠陥品」といった営業妨害的な評価ばかりになってしまう(バカメディアとバカ読者は自主規制を願いたい)。短文メディアではメーカーと開発者がどんなクルマが目指したのか?といった核となる部分は全く読み取れない。


福野さんが長文で書いたレビューを読むと、このクルマに関して見えてくるものがまるで異なる。実際に試乗したことがあるクルマなら答え合わせになって楽しい。CX-60についてもすでに書かれていて、その内容を無理やり短く要約すると、この記事のタイトルみたいになる。しかし残念ながら「ゴミ」とジャッジする理由までは全く盛り込めていない。個人的にMAZDAばかりを好んでいるので、「MAZDA車がベンツやBMWを超えている」という内容に全く悪い気はしない。しかし特筆すべきことでもなくなっている。福野さんのレビューではすでに10年前からMAZDA車はベンツやBMWを超えているとハッキリ書かれているから・・・。



異次元の日本メーカー

13年くらい前に初めてのMAZDA車(GHアテンザ)を買ったが、その当時からハンドリング性能においては、総合自動車メーカーの中ではMAZDAこそがトップだと感じた。あまりの感動にブログを書き始めて、さまざまな記事で「MAZDAはドイツ車を圧倒している!!」と自信を持って堂々と書いてきたが、当初はアンチコメントが相当数やってきたものだ。しかし10年くらい前から福野礼一郎さん、沢村慎太朗さん、水野和敏さんなどのレビューで、ハンドリングに関してはMAZDAが世界最高のレベルにあるといった論調が増えてきたこともあり、否定的なコメントはほとんど無くなった。


今ではMAZDAよりBMWが、ハンドリングで優れていると主張する人は圧倒的に少数派だと思う。福野さんも事実を捻じ曲げるようなことは書かないと思うので、CX-60がBMW・X3を凌駕したハンドリングを備えていると当たり前のことを書いたに過ぎない。福野レビューの魅力は目立って良い点と悪い点をしっかり書くことだから、当たり前でも書くべきなのだろう。ハンドリングも結論として用意されていた「ゴミ」の理由にMAZDAファンとして大いに共感してしまった。CX-60に対して漠然と感じていた想いを福野さんが見事に言語化してくれている。



福野基準

福野さんが個人所有のプライベートカーで、公表されているクルマが、シトロエンDS5、BMW3シリーズ(F30系)、アルファロメオ・ジュリアだけども、いずれも欧州メーカー製でターボエンジンとトルコンATが組み合わされている。モーターファンイラストレーティッドの連載に登場するクルマの車種は担当の編集者が決めているようだけども、過去のレビューを調べてみるとコンパクトカー、軽自動車、BEV専用車こそあるものの、ミドルクラス以上のモデルではガソリンエンジンにトルコンATが配備されたモデルばかりが選ばれている。


例外的にトヨタRAV4のレビューがあったが、タイトルの副題に「ターボとトルコンATが欲しい」というクルマ好きなら誰もが感じるであろうことが遠慮なくハッキリと書いてある。本編を読んでも、このクラスのSUVならばトルコンAT積んでくれないとお話にならない(このメーカーはわかってない)・・・みたいなことが書いてある。これには担当編集者も相当に焦ったことだろう。アルファード、ハリアー、プリウス、クラウンクロスオーバーなどのトヨタの主力モデルは「福野基準」を満たしていないので連載に登場するのも難しくなっている。とてもじゃないが怖くて持ってこれない。



世界一の自動車評論家

メルセデスやBMWに対して強烈な批判をするようになった福野さんを、トヨタの中上級CVT車に乗せたところで酷評は免れないし、全くやる気を見せてくれないかもしれない。そして出版社としてもトヨタとの関係悪化は極力は避けたいというのが本音だろう。トヨタに配慮して福野レビューを「検閲」したり、余計な「注文」を付ければ、間違いなく福野さんがヘソを曲げてしまうだろう。2023年末に発売されたもので、レビュー集は8冊目となる。単行本がこれほど売れるライターは日本どころか世界でも他に例はない国宝級なのだから特別扱いは当然だろうけども。


「福野基準」に適合するモデルを探してくるので必然的に輸入車の割合が高い。そして日本メーカーでブランドの全ラインナップが連載に登場できるのはMAZDAだけだ(SUBARUは完全追放?)。日本メーカーで唯一の福野レビューに堂々登場できるMAZDAが作った、渾身のCX-60に対して、いつも乗っているメルセデスやBMWの同クラスモデルよりハンドリングなど技術的なレベルでは完全に優っていると判断している。ただしSUVという運動性能を生かしきれないパッケージでは、福野さんの愛車にはなり得ないという話だろう。



選ばれしブランド

CX-60はMAZDAがこだわっただけあって、メルセデスGLCやBMW・X3と比べても非常に素性の良い仕上がりを見せている。縦置きエンジンのSUVが最も大好物という人々がどれだけいるのかわからない。福野さんも彼らの趣味は全く理解できないかもしれない。それでもこのジャンルに名乗りを挙げているモデルは、いずれも傑出した性能を持つものばかりなのも事実だ。メルセデス、BMW、アウディ、ポルシェ、アルファロメオ、マセラティ、ジャガー、ランドローバーといった日本市場でも高い評価を受けているブランドに限られる。それらと比べても、CX-60の設計や仕上げは、MAZDAの確信に満ちた技術が光っている。


上記のブランドの中で、SUV専門のランドローバーを除いた全てのブランドでは、縦置きエンジンのロードカーが生産されている。スカイラインがあって、スカイラインクロスオーバーが派生したように、ユーザーの利便性に合わせて最低地上高とキャビンスペースの異なるロードカーとSUVを作り分けるのがセオリーであり、ランドローバー以外はそれに則っている。現実にはロードカーよりSUVの販売が数倍の規模で多くなっている。そこでMAZDAはSUVだけを作る路線に転換した。



30年経っても克服できない

クルマとしての希少性が求められるジャンルの中で、定番のディーゼルエンジンとSUVの組み合わせを軸としたCX-60には「パッケージを省略した」という致命的な欠陥がある。ハンドリングなどの個々のパラメータでは他のブランドを圧倒するものの、1つのクルマとして価値を測るときに、思ったほど評価が上がらない。この点を指して福野さんは「ゴミ」と言っている。他ブランドがユーザーの利便性を考えて妥協したSUVパッケージでは、最高のドライビング性能は語れない。故にクルマとしての価値は限定的だ。30年も前から日本メーカーの高級車に対しては同じような指摘がされ続けてきた。


R35GT-Rを開発した水野さんの言葉によると、「日本メーカーの開発者は欧州の上流階級の生活習慣を知らないから高級車は作れない」と断じている。個々の技術レベルでは世界をリードする存在であるけども、ロールスロイス、ベントレー、アストンマーティンに匹敵するクルマは設計・生産できない。福野さんのレビューからもR35GT-Rのような革新性を伴ったクルマをMAZDAに期待したい想いは感じる。しかしCX-60は基盤となるコンセプトでコケてしまって残念という話だ。これは多くのMAZDAファンにも共感されていることだろう。







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