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2026年2月4日水曜日

福野礼一郎さん 「ゴルフとは思えぬ駄作(2021年レビュー)」の予言

 

クルマを買う前にレビューを読むべきか!?

物価高だから消費税を減税しよう!!という意見で与野党が一致している。肝心なことは来年にはクルマの価格も10%下がるのか?それとも食品だけなのか?ということ。「クルマに関わる減税を推進する党」みたいなわかりやすい政党はタブーか。名前を挙げて失礼だが、豊田章男会長の他に、保守系論客の岡崎五朗さん、池田直渡さんや、カーメディア界隈でカルト的な人気のウナ丼さん、藤島知子さん、国沢光宏さんなどが集結して議員を送り込み、クルマ好きが抱える国土交通省への不満をぶちまけて欲しい。


休日に外出すると、東京都多摩地区では現行モデルのピカピカのドイツメーカー車やレクサス車がたくさん走っていて、日本人は本当に物価高に困っているんだろうか!?と不思議な気持ちになる。クルマの価格がどんどん高くなるが、巨大資本が日本の購買力をしっかりとリサーチをして確実に売れると判断されたモデルだけが適正価格で市場に投入された結果だ。車種も絞られていて過当競争もないので、発売したけど全く売れないなんてクルマは出てこなくなった。


10年分の進化

ちょっとネタバレになってしまうが、5年ほど前の2021年の福野礼一郎さんが選ぶ「買ってはいけない輸入車」に選ばれたのがVW・T-ROCだ。何とも挑発的な選定だが、出版不況の中で紙媒体を続けるためには必要な処置なのだろう。過去には「カーメディアに本音を書くバカはいない」と言っていた福野さんが、バカになりきって等身大の忖度なしのレビューを読ませてくれる。そりゃカネ払ってでも買って読むよ・・・。


「福野礼一郎のクルマ論評」という単行本シリーズは2014年から始まった。リーマンショックで阿鼻叫喚に陥った自動車産業が再編された頃から始まり、全メーカーが「最善か無か」の境地でクルマ作りを競ってきたおよそ10年間の変遷をざっくりと追いかけることができる。2014年の発刊当時は自動ブレーキなどほとんど装備されてなかったが、今では全車速対応の追従クルコン、ハンズオフ運転支援、シートヒーターなどが当たり前に普及し、静粛性もシートの座り心地も10年前とは比べられないくらいに大きく進化した。



書かれない「躊躇」

福野レビューは読者のリテラシーを少しナメているのか、過剰演出でサービス精神が満点なのか、福野さん自身が言いたいことを言ってるだけなのか、「毀誉褒貶」が実にハッキリしている。無名の自動車ブログがそのまま真似したら「薄っぺらい」とボロカスに言われてしまうのがオチだろう。福野さんレベルの実績(単行本20冊以上!!)を誇るライターならば、読み手は一方的な主張の裏にある「躊躇」の部分はバッサリとカットしたのだろうと勝手に推測してくれる。福野さんはそんな唯一無二の自動車ライターである。


T-ROCデビュー当時のディーゼルモデルが相当に印象悪かったようだ。読者はみんなわかってる「年次改良でだんだん良くなっていくのがドイツ車だろ・・・」(だから福野レビューでは蛇足だ)。先代モデルがあれば、最初から良いクルマの可能性も高いが、これがT-ROCの記念すべき初代モデルである。福野さんのバカ正直なレビューを知ってか知らずか、2025年には「4モーション」のディーゼルモデルが、新世代エンジンとともにリアサスをマルチリンクに変えて投入された。伏線はしっかり回収されている。



出てきたタイミングが悪かった!?

このT-ROC酷評レビューは2021年発売の「福野礼一郎のクルマ評論6」に収録されている。改めて収録されている他のレビューも読んで見ると、2026年現在の自動車業界を見事なまでに予言する内容になっている。ステランティスやルノーのBセグ車が大絶賛されている。これを読んでトヨタはレクサスLBXの企画はスタートしたというわけでは無いだろうが、トヨタの開発者と福野さんが同じ感覚を共有していたのかもしれない。


T-ROCと同時にレビューされたT-Crossに関してはBセグで1L直3のガソリンターボだったこともあって、福野さんのレビューで大絶賛されている。Bセグの想像を超える進化と、Cセグの退屈さが相まって過激なレビューを呼び起こしている。さすがに出版物の活字にしてしまうと影響が計り知れないのでその「構造的問題」にまでは踏み込んでいない。しかし読書側は勝手に推測して行間(秘密のメッセージ)を読んでしまう・・・以下はあくまで私の勝手な推測です。



シビックが日本から消えた理由

Cセグは北米や中国で台数を稼ぐためのクルマだ。トヨタ・カローラやホンダ・シビックが2000年代中頃からしばらくの間、日本市場での販売体制が不安定で、正規導入されない時期があったりした。カローラ、サニー、シビック、ファミリアが再量販車種の座を巡って争っていた80年代、90年代が過ぎ、今のBセグとなるヴィッツ、マーチ、フィット、デミオが新車で98万円で販売されるデフレな日本市場からCセグは退場した。


カローラ、シビックは北米で、サニーは中国で、ファミリア(アクセラ)は欧州で、販売を拡大し、それぞれに年産40万台規模を維持した。台数を追求するためアメリカ人や中国人が好むサイズへと拡大した。サイズ拡大で日本で使いづらいという指摘は多くのカーメディアが毎度のように言っている。生産コストを低減し、1車種を1つのラインで流す生産を行う中国、メキシコ、タイでの現地生産が可能な設計に落とし込まれ、ホイールベースは長くなり、エンジンやトランスミッションの改良も停滞した。



Dセグサルーンの悲劇

Cセグの停滞する現状よりさらに悲惨なのが日本市場からどんどん消えているDセグサルーンだ。カムリ、ティアナ、アコード、レガシィB4、MAZDA6は、走行性能を放棄してボデーの拡大に努めたが、結局はシェアをミドルSUVに全て持って行かれた。Dセグと同じようにCセグのロードカーもどんどんシェアを減らしている。現行プリウス、MAZDA3や次期カローラはスペシャルティデザインで話題性を振り撒いているが、もはやボデー縮小、軽量化へ逆行することは難しいだろう。


スープラ、フェアレディZ、ロードスターのような2シーターや、GR86やプレリュードのような後席の実用性ゼロの2ドアクーペの運用に踏み切れ無いならば、Bセグを買ったらいいと神(福野さん)はおっしゃる。ルーテシア、208、ノート(AWD車のみ)など、テキトーに選んでもハズレはない。BセグとCセグの無意味な価格差も指摘している。アメリカや中国で売るために作られたクルマに余計な費用を払う必要はない。



運が悪かった

一連のCセグ叩きの延長線でT-ROCに対しても、手厳しい評価が下された。福野さんは非AJAJライターなのでメーカーによるメディア統制を受けないため、海外カーメディアみたいにボロクソに書くことができる。読者もそれを望んでいる。21年レビューに登場するCセグはメルセデスGLA/GLB、T-ROC、MAZDA・MX-30、VWゴルフの4台だ。叩き過ぎて露骨に嫌な顔されるようになったメルセデスには甘めレビュー。MX-30はBEVなので別枠。


ゴルフは先代を大絶賛して多くの読者が買ったクルマなので、今更に手のひら返しはできない。そんな苦しい事情の中で、ディーゼルモデルのみでツッコミどころ満載のT-ROCが忖度無しに叩かれてしまった。このレビューのあとに、T-ROCは欧州ナンバー1のSUVに輝いた。前述のように福野さんの批判に応えるべくディーゼルのビッグマイナーチェンジもあった。当然からもしれないが、この後に続く7、8、9ではCセグ車の登場は減っている。



後記

最後までお読みいただきありがとうございます。この投稿は2026年2月4日時点での情報をもとに記述しています。今後とも日本市場で展開する 自動車 メーカーについて思うところを綴っていきたいと思います。


「VW・T-ROC ドイツ車の価値」(マウンテンゴリラのカーライフ)


「VW・T-ROC コンパクトSUV戦争が勃発」(CARDRIVEGOGOエリア9)


「VW・T-ROC (2025年8月欧州新型発表)」(NEW CARS STORY)


「VW・T-ROC (2026年2月4日)」(CARDRIVEGOGOまとめブログ)









2024年9月17日火曜日

2024年こそカーメディアは「日本車はゴミ」というべきではないか?


 


カーメディアの記憶

テレビなどのメディアでは、しばしばコンプライアンスが厳しくて過激な表現ができなくなった・・・という創造性の欠如を覆い隠す無意味な説明をよく聞く。カーメディアも状況は同じようなもので、福野礼一郎さんは「カーメディアで本音を書く馬鹿はいない」と言っている。YouTube動画ではそこまで規制が厳しくないようで、若者を中心に視聴者がテレビからYouTubeへ移っている。カーメディアも動画が中心になった。既存の雑誌はコンプライアンスでガチガチなので、広告主であるメーカーの機嫌を損ねるライターは、次々と締め出されていく。


この流れは今に始まったことではなくて、2006年に福野礼一郎さんが主筆となって「クルマの神様」という新しいタイプのクルマ雑誌が試行された。誌面から企業広告を一切排除して、クルマの写真集のような永久保存版の雑誌を目指したようだが、あまりのアート志向なのか誌面そのものに大きな余白があり、福野さんの美学を理解するファン以外の、情報を求める読者には響かなかったようだ。合計2冊が発売されているが、豪華な装丁なので、20年経っても写真はきれいなままだ。



平成は貧しかったのか!?

2006年当時の新車の価格表も付いている。2007年の12月に日産がR35GT-Rを発売するちょっと前のタイミングであるが、いうまでもなく2024年とは別次元の価格だ。軽自動車だけでなくパッソやソリオなどの普通乗用車でもベースグレードの価格は100万円を下回っている。130万円くらいでカローラやインプレッサなどの定番のCセグが買える。各メーカーともにラインナップの大半が100万円台スタートで、ブランド全体に高級感はない。GT-Rの発馬時にディーラーのイメチェンが要求されたのもよくわかる。


マークXやアコードなどちょっと高級なモデル(ハイソカー)が200万円台スタートで、フーガやクラウンなど日産、トヨタのフラッグシップサルーンだけが300万円台スタートだ。レクサスは日本に導入されたばかりで、ISとGSが400万円以上の価格帯中心で配置されている。当時のレクサスはあまりに価格が高過ぎたようで、「販売面で苦戦している」と書かれている。18年前の価格と比べると、2024年の同型モデルは、ほとんどが2倍以上になっている。日本の消費者物価指数が同じ期間で1.2倍程度しか増えていない(むしろデフレ局面だった)ことを考えると、異常な伸び率だけども、カーメディアも一般メディアもこのことを一切報じない。



自動車のインフレ率は異常事態

中小企業や個人農家が生産することが多い食品や日用雑貨品と比べて、自動車組立工場は圧倒的な大企業しか経営できないこともあり、巨額な利益を分捕りにいく業界の推進力は他の商品よりも圧倒的に高い。例えば腕時計も一部の超一流ブランドのものならば、クルマと同じ水準の価格上昇を起こしているけども、腕時計だと新規参入の障壁もクルマほど高くないので、機械式だろうがクオーツ時計だろうが、大多数のモデルは目に見えて高額にはなっていない。日本市場の普通自動車の価格が、パテックフィリップやランゲ&ゾーネのように上昇するのは不思議だ。


全ての日本の自動車メーカーが「贅沢品」に相当するクルマばかりを生産していて、そのほとんどが富裕層や所得に余裕のある中流以上の人々相手の商売だというのなら、極論に聞こえるかもしれないが、中国・インド・ASEAN地域のメーカーに市場を明け渡すべきだと思う。ホンダやスズキがアジア生産の小型SUVを日本でも流通させるようになっているけども、実勢価格は日本市場で他車とバランスの取れる範囲で調整されている。日本よりも所得が高いはずのEUでは、すでに中国メーカーなどから多数の供給を受けているのだが。



官製カルテル!?

高度経済成長期より日本の自動車産業は国の原動力だとして保護されてきた。低価格で高品質な製品を供給するという2006年頃の方針のままならわからないでもない。コロナ後の日本では官民一体となって「賃上げ」に邁進している。クルマ、ガソリン、電気、ガス、住宅、コメ、肉といった必要不可欠なところに積極的な値上げを働きかければ、生活が苦しくなる国民は必死で働くのかもしれない。労働者の不足もあって、従業員から雇用主に対しても賃上げ要求は強くなる。会社がどこに移転しても、都市部では住宅手当が致命的に不足するし、地方ではクルマにかかる費用が嵩む。


中国共産党にも負けない手際の良さで、国民を搾り上げるフェーズに入った。無駄な残業はワークライフバランスの建前で、徹底的に制限されたので、豊かな生活のためには短い労働時間で効率的に業績を叩き出す必要がある。自動車メーカーに限った話ではなく、どこの企業も厳しい努力が求められている。1台=200万円くらいの普通乗用車を売る時代はとっくに終わった。普通乗用車主体のメーカーならば、1台=400万円以上の単価を出さなければ、十分な賃上げはできない。



500万円で売れるわけがない

平均が400万円以上なのだから、500万円、600万円くらいでも普通に売れるクルマを作らなければならない。この価格帯で勝負するなら、直列6気筒を縦置きするしかない・・・と腹を括ったMAZDAはそこそこの結果を出した。それに対して、三菱、日産、スバルは既存モデルの設計を変えずに、外部から調達した自動運転機構などをアピールして、価格を300万円台から500万円台まで引き上げた。露骨な価格アップはユーザーに見透かされてしまったようで、日産や三菱の2023年度はかなり厳しい結果になった。。


スカイラインは500万円台で売れ続けるけど、エクストレイルは500万円では売れない。ハリアー、RAV4、CX-5も客寄せグレードだけ300万円前後ではあるが、標準的な機能を持つ売れ筋は400万円が当たり前になっていて、以前と比べると売れ行きは相当に下がっている。CX-5の2.5LガソリンAWDモデルは初期モデルでは300万円を下回る設定だったが、今では400万円のグレードのみとなっている。トヨタもMAZDAも客単価を上げることにばかり頭を使っている。



新しい販売手法

レクサスLBX・MORIZO・RRというスペシャルなクルマが発表された。何らかの条件付きの抽選販売が行われるようだ。これはフェラーリやポルシェの手法を真似ているようだ。正式な情報は発表されていないが、レクサスの1500万円くらいするフラッグシップLS、LC、LMなどの現行モデルを購入している顧客が優先的に対象となるのだろう。この手法がうまく行ったらば、今度はレクサスLFAみたいなウルトラモデルを復活させるかもしれない。多額のお金を使ってくれたユーザーには、絶対損しないモデルを渡してwin-winの関係を築く。


他社のやることをよく観察しているMAZDAも、極秘に開発していて特許まで出されている噂のロータリースポーツカーを、CX-60やCX-80など500万円を超える高額モデルのユーザー優先で限定販売する可能性もある。スバルにもWRXのMT車復活というカードがある。トヨタ陣営と対峙するため大同団結した日産・三菱・ホンダにもそれぞれ、GT-R、フェアレディZ、ランエボ、NSX、S2000、シビックtypeRを開発して、フラッグシップモデルのユーザーだけに販売すればいい。



500万円の価値があるのか!?を知りたいのだ

日本メーカー6社はいずれも世界的なハイエンドスポーツカーを作るだけの技術力と歴史を持ち合わせているのだから、フェラーリやポルシェのような圧倒的なブランド力で単価を上げている販売は可能だ。クルマから離れてしまった若い世代は、所帯染みた大衆車が並ぶディーラーより、日本の主要ブランドが一般ユーザー向けに付加価値の高いクルマを用意するビジネスを望んでいると思う。MAZDAへの注目度の高まりはディーラーの変貌と無縁ではない。


10年前のカーメディアは、まだまだ「日本車は大衆車で、ドイツ車には勝てない」と上から目線な雰囲気が残っていた。それがいつしかスライドドアのミニバンを「スポーツカーだ!!」と持ち上げるライターが続出する事態だ。こんな腰抜けな媒体ばかりだと、クルマへの注目度は高まるどころか、クルマ離れは加速する一方だ。大半が100万円そこそこだった時代の日本車を「安物」と言ったところで何の意味があったのか?各社が用意する500万円超えの看板モデルを、海外のカーメディアのように「このBMWはゴミだ!!」くらいに放言するメディアがあってもいいと思うが・・・。



クルマの神様 (1) (別冊CG)


クルマの神様 (2) (別冊CG) 

2024年9月2日月曜日

福野礼一郎さん「CX-60はBMWを超えているけど・・・ゴミ」



 

MAZDA新車記事にアンチコメント襲来

MAZDAが久々に新型車CX-80を発表したこともあり、久々に各メディアのネット記事コメント欄が荒れている。MAZDA車が他社ユーザーから嫌われる理由はいろいろあるとは思うけども、わざわざコメント欄に「汚れた人間性」を晒すまでさせてしまう原動力は何なんだ!?と不思議に思う。1〜2行のコメントで、クルマの感想を述べたところで、どう考えても余程の浅知恵くらいしか披露できない。それがほぼアンチコメントになるわけだから、思考停止な人々のステレオタイプで気晴らし的な悪口が並ぶ。


まだ廃刊には至っていないベストカーというカーメディア雑誌がある。毎号の特集ベージでは多数のライターを動員して、話題のクルマへの感想を数行で述べさせて得点を付けるという生産性の乏しい企画を続けている。リーダー格のAJAJ国沢光宏さんをはじめ、短いコメントを求められるレギュラー評論家がインパクト重視で刺激的な表現が多くなるのは無理もないし、国沢さんだけが悪いわけではない。ベストカーの企画で量産された「アンチ・MAZDA・コメント」を、高齢者中心の読者がネットのコメント欄に無断転載する。リテラシーと人間性の低さに目を覆うばかりだ。



クルマ批評は長文レビューに限る

カーメディアにはさまざまな種類がある。雑誌媒体でステレオタイプな短文で、活字があまり好きではない読者にネタ的に読ませるベストカー的なものもあれば、その対極には福野礼一郎さんの連載のように読者に知識・集中力・想像力の3つを高いレベルで要求するインテリ向けのものもある。短文カーメディアやネットコメントでCX-60を表現させると「開発不足」「欠陥品」といった営業妨害的な評価ばかりになってしまう(バカメディアとバカ読者は自主規制を願いたい)。短文メディアではメーカーと開発者がどんなクルマが目指したのか?といった核となる部分は全く読み取れない。


福野さんが長文で書いたレビューを読むと、このクルマに関して見えてくるものがまるで異なる。実際に試乗したことがあるクルマなら答え合わせになって楽しい。CX-60についてもすでに書かれていて、その内容を無理やり短く要約すると、この記事のタイトルみたいになる。しかし残念ながら「ゴミ」とジャッジする理由までは全く盛り込めていない。個人的にMAZDAばかりを好んでいるので、「MAZDA車がベンツやBMWを超えている」という内容に全く悪い気はしない。しかし特筆すべきことでもなくなっている。福野さんのレビューではすでに10年前からMAZDA車はベンツやBMWを超えているとハッキリ書かれているから・・・。



異次元の日本メーカー

13年くらい前に初めてのMAZDA車(GHアテンザ)を買ったが、その当時からハンドリング性能においては、総合自動車メーカーの中ではMAZDAこそがトップだと感じた。あまりの感動にブログを書き始めて、さまざまな記事で「MAZDAはドイツ車を圧倒している!!」と自信を持って堂々と書いてきたが、当初はアンチコメントが相当数やってきたものだ。しかし10年くらい前から福野礼一郎さん、沢村慎太朗さん、水野和敏さんなどのレビューで、ハンドリングに関してはMAZDAが世界最高のレベルにあるといった論調が増えてきたこともあり、否定的なコメントはほとんど無くなった。


今ではMAZDAよりBMWが、ハンドリングで優れていると主張する人は圧倒的に少数派だと思う。福野さんも事実を捻じ曲げるようなことは書かないと思うので、CX-60がBMW・X3を凌駕したハンドリングを備えていると当たり前のことを書いたに過ぎない。福野レビューの魅力は目立って良い点と悪い点をしっかり書くことだから、当たり前でも書くべきなのだろう。ハンドリングも結論として用意されていた「ゴミ」の理由にMAZDAファンとして大いに共感してしまった。CX-60に対して漠然と感じていた想いを福野さんが見事に言語化してくれている。



福野基準

福野さんが個人所有のプライベートカーで、公表されているクルマが、シトロエンDS5、BMW3シリーズ(F30系)、アルファロメオ・ジュリアだけども、いずれも欧州メーカー製でターボエンジンとトルコンATが組み合わされている。モーターファンイラストレーティッドの連載に登場するクルマの車種は担当の編集者が決めているようだけども、過去のレビューを調べてみるとコンパクトカー、軽自動車、BEV専用車こそあるものの、ミドルクラス以上のモデルではガソリンエンジンにトルコンATが配備されたモデルばかりが選ばれている。


例外的にトヨタRAV4のレビューがあったが、タイトルの副題に「ターボとトルコンATが欲しい」というクルマ好きなら誰もが感じるであろうことが遠慮なくハッキリと書いてある。本編を読んでも、このクラスのSUVならばトルコンAT積んでくれないとお話にならない(このメーカーはわかってない)・・・みたいなことが書いてある。これには担当編集者も相当に焦ったことだろう。アルファード、ハリアー、プリウス、クラウンクロスオーバーなどのトヨタの主力モデルは「福野基準」を満たしていないので連載に登場するのも難しくなっている。とてもじゃないが怖くて持ってこれない。



世界一の自動車評論家

メルセデスやBMWに対して強烈な批判をするようになった福野さんを、トヨタの中上級CVT車に乗せたところで酷評は免れないし、全くやる気を見せてくれないかもしれない。そして出版社としてもトヨタとの関係悪化は極力は避けたいというのが本音だろう。トヨタに配慮して福野レビューを「検閲」したり、余計な「注文」を付ければ、間違いなく福野さんがヘソを曲げてしまうだろう。2023年末に発売されたもので、レビュー集は8冊目となる。単行本がこれほど売れるライターは日本どころか世界でも他に例はない国宝級なのだから特別扱いは当然だろうけども。


「福野基準」に適合するモデルを探してくるので必然的に輸入車の割合が高い。そして日本メーカーでブランドの全ラインナップが連載に登場できるのはMAZDAだけだ(SUBARUは完全追放?)。日本メーカーで唯一の福野レビューに堂々登場できるMAZDAが作った、渾身のCX-60に対して、いつも乗っているメルセデスやBMWの同クラスモデルよりハンドリングなど技術的なレベルでは完全に優っていると判断している。ただしSUVという運動性能を生かしきれないパッケージでは、福野さんの愛車にはなり得ないという話だろう。



選ばれしブランド

CX-60はMAZDAがこだわっただけあって、メルセデスGLCやBMW・X3と比べても非常に素性の良い仕上がりを見せている。縦置きエンジンのSUVが最も大好物という人々がどれだけいるのかわからない。福野さんも彼らの趣味は全く理解できないかもしれない。それでもこのジャンルに名乗りを挙げているモデルは、いずれも傑出した性能を持つものばかりなのも事実だ。メルセデス、BMW、アウディ、ポルシェ、アルファロメオ、マセラティ、ジャガー、ランドローバーといった日本市場でも高い評価を受けているブランドに限られる。それらと比べても、CX-60の設計や仕上げは、MAZDAの確信に満ちた技術が光っている。


上記のブランドの中で、SUV専門のランドローバーを除いた全てのブランドでは、縦置きエンジンのロードカーが生産されている。スカイラインがあって、スカイラインクロスオーバーが派生したように、ユーザーの利便性に合わせて最低地上高とキャビンスペースの異なるロードカーとSUVを作り分けるのがセオリーであり、ランドローバー以外はそれに則っている。現実にはロードカーよりSUVの販売が数倍の規模で多くなっている。そこでMAZDAはSUVだけを作る路線に転換した。



30年経っても克服できない

クルマとしての希少性が求められるジャンルの中で、定番のディーゼルエンジンとSUVの組み合わせを軸としたCX-60には「パッケージを省略した」という致命的な欠陥がある。ハンドリングなどの個々のパラメータでは他のブランドを圧倒するものの、1つのクルマとして価値を測るときに、思ったほど評価が上がらない。この点を指して福野さんは「ゴミ」と言っている。他ブランドがユーザーの利便性を考えて妥協したSUVパッケージでは、最高のドライビング性能は語れない。故にクルマとしての価値は限定的だ。30年も前から日本メーカーの高級車に対しては同じような指摘がされ続けてきた。


R35GT-Rを開発した水野さんの言葉によると、「日本メーカーの開発者は欧州の上流階級の生活習慣を知らないから高級車は作れない」と断じている。個々の技術レベルでは世界をリードする存在であるけども、ロールスロイス、ベントレー、アストンマーティンに匹敵するクルマは設計・生産できない。福野さんのレビューからもR35GT-Rのような革新性を伴ったクルマをMAZDAに期待したい想いは感じる。しかしCX-60は基盤となるコンセプトでコケてしまって残念という話だ。これは多くのMAZDAファンにも共感されていることだろう。







2023年11月27日月曜日

福野礼一郎さん「全方位戦略」で名門ブランドを無差別襲撃

 

トヨタ完全無視!!


今年も「福野礼一郎のクルマ評論」の季節がやってきた。毎月律儀に「モーターファンイラストレーティッド」を読んでいれば、その連載の総集編に過ぎないのだけど、その雑誌がAmazonのサブスクから外れてしまったこともあって、今年は収録されるレビューの全てが初見だったので夢中で最後まで読み切ってしまった。いやそれだけではない、福野さんのレビューに新たな魅力が加わってきた。


この連載では母体雑誌の編集長を務める萬沢龍太さんが相方を務めていて、昨年発売の「クルマ評論7」から巻末に「編集人・萬沢龍太」とクレジットされている。「6」までは別の人が務めていた。母体雑誌の編集長の名前が入る仕組みなのかもしれない。数年前に萬沢さんがめでたく編集長になりました!!・・・とこの連載で書かれていた気がする。



10年で大きく変わった


編集本「クルマ評論」は2014年にスタートしているのだけど、ちょうど個人的に自動車ブログを書き始めた頃であり、怒涛のように繰り出される情報&洞察の連続攻撃に、かなり感銘を受けた覚えがある。このブログでもいろいろとネタにさせてもらった。好きなクルマやメーカーなどの主義主張に基づくツッコミどころはたくさんあるのだけど、自動車評論はトップレベルのライターのレビューとはここまで面白いのか!!と驚愕し、以後は福野さんの出版物は片っ端から買い漁るようになっている。


あれから10年ほどが経過するが、読み手の私の感覚もいくらか麻痺してきたせいもあるのだけど、福野さんのレビューから毒っぽいものがどんどん無くなっているように思う。クルマを取り巻く状況が変わり、評論家とメーカーの意見はどんどん乖離するようになった。評論に値するクルマがほとんど発売されなくなったエコカー全盛の現状では、あれだけ面白かったレビューにも全体にどこか厭世な雰囲気が漂ってくるのも仕方ない。読み手の意識の変化もあるだろうが。


「昔のクルマは良かった・・・」


若い読者からは「懐古主義」としか思われかねない今時のクルマへの批判は、多様化する意見の中ではその内容に関わらず「稚拙」と受け止められていまう。世界のトヨタ(レクサス)でさえも「良いクルマ」のアイコンとして「V8自然吸気」しか手段を持たなかったりする破滅的な状況だから、「昔は良かった」はあながち間違いではない。MAZDAロードスターとケータハム・セブンくらいしか「持続可能な趣味スポーツカー」として世界で支持されるものはないというやや過激な福野さんの主張もまあその通りなんだけども、日本のカーライフにはちょっと馴染まない。


2014年と比べてクルマの選択肢はかなり狭まっている。当時と同じような放胆なレビューにはやはり無理がある。福野さんがレビューを書くクルマにはもはやライバル車も満足に存在しない。2014年の福野レビューでは、レクサスとBMWやメルセデスなど、同格のライバル車を比較評価する軸が強かった。福野さんの場合は、その他大勢の評論家とは着眼点や洞察力が全く違うので人気があり、今でも単行本が「持続可能」になっている。そんな「王道」の手法も発売されるクルマが極端に少なくなってきた今では、福野さんのレビューからあまり見られなくなってきている。例えば日産e-POWERのクルマを何と比較すればいいのか!?



イメージ崩壊


適当な比較対象がなくなる中で、「相対評価」から「絶対評価」へと福野レビューの比重が切り替わりつつある。これにより福野さんのイメージも変容しつつある。「容赦ないライター」の仮面が剥がれ落ち、レビュー対象となったクルマの開発者の心情を慮った「人情味に涙するライター」の顔が出てきてしまう。福野さんの奇想天外&逆張りで権威を張り倒すような「勧善懲悪」レビューを楽しみにしてたのに、「作り手への思いやり溢れる」ことで有名な牧野茂雄さんのレビューを読んでいる気分になってしまう。


「牧野さん風味」の福野レビューはそれはそれで読む価値が十分にあるのだけど、牧野さんのレビューは徹底して「専門家向け」「マニア向け」なので、「クルマの格好良さ」みたいな尺度を重視する読者には合わない。対照的に数値化できない格好良さやロマンを存分に語る福野レビューが本来持っていた「ポップさ」や「発信力」が変化によって失われるのはちょっと残念だ。全くの初心者の私でも無理なく楽しく読めた10年前のあの「最強福野レビュー」は、クルマ趣味を日本社会に広げるためには欠かせないものだと思う。また「全人類ほぼ敗北」とかやって欲しい。



どっちが書いてるのか!?


福野さんも自身のレビューの変化は自覚しているだろうし、あるいは意図的に仕掛けているのかもしれない。新しい手法を生み出したものだけが生き残れる世界ではあるだろうし。このまま牧野テイストになってしまっては「単行本」を出せなくなってしまうかもしれない。日本で単行本を出し続けるライターはごくわずかだけど存在する。島下泰久さん、沢村慎太朗さん、そして今年から始まった水野和敏さんくらいか・・・やはり福野さんにはまだまだ頑張って足掻いてもらう必要がありそうだ。


ライバル車不在で「比較」ができないから、メカ&開発者の深掘りにシフトしたけど、前述のようにちょっと切り口がマニア過ぎる。そこで新たに生み出されたのが萬沢さんを共同執筆者に巻き込む手法のようだ。10年前と比べて萬沢さんが頻繁に登場するようになりレビューの核心を突くようなことを萬沢さんに「言わせる」あるいは、過激な意見に萬沢さんの同意があることを付け加える・・・そんなケースがやたらと目に付く。萬沢さんの同意があるなら納得できると無意識に読者に受け入れさせる効果は確実にある。蔓沢さんも相当なクルママニアだろうけど、なぜか一般人ぽい語り口で書かれるので読者は受け入れやすい。うまく「ポップさ」のバランスを取っている。



福野レビュー復活作戦


萬沢さんとの共同レビューももちろん面白いけど、かつての福野さんのような全てのメーカーやそのクルマのユーザーを敵に回すリスクを顧みずに権威に噛みつきハッキリと断言するスタイルのレビューも読みたい気がする。「まあこんなもんだよね」というレビューより、「このクルマこそが神だ!!」と熱烈に語るレビューの方が熱いものが込み上げてくる。どうやら私と同じようなことを考えてた自動車メーカーがあったようだ。福野さんに再び「比較レビュー」を大いにやって欲しい一心だろうか、比較ありきの大掛かりな新型車を作ってきた。某日本メーカーが発売した直列6気筒FRシャシーSUVの「あれ」である。


さあ福野さんよ!!10年前の切れ味鋭いメッタ切りレビューを見せてくれ!!どんな意見でも我々は受け入れるぞ!!とそのメーカーは大きく構えていたはずだが、あれれれれれ・・・・!? どうしたの!?調子出ないの!?リハビリが必要か!?と心配になってしまう腰砕け感があった。新刊まもない本なのでネタバレは極力避けたいですが、福野節の復活を期待して注目を浴びたはずのレビューが、なんでそんな展開になっちまうのか!!と驚愕した読者も多かったんじゃないだろうか。



福野レビューの「腰砕け」


まあ去年の日本COTYではこのクルマを完全無視された。そんな権力に忖度するカーメディアへの反動もあってか、日本でも予想を上回る好調な売り上げを記録した。500万円もするスポーツカーでもない日本車がデビューとともにこんなに簡単に売れまくった(月1000台以上)、30年以上前のトヨタ・セルシオ以来じゃないか!?当時はバブルの絶頂だけど、これを令和の岸田政権下で実現したのは偉業・神業と言っていい。120万円の補助金ありきのアウトランダーPHEVとは全く意味が違う。


カーメディアのフルバッシングをものともせず、日本市場のクルマ好きが次々と契約した。そしてその走りの良さをカーメディア上で最も高く評価したのが・・・まさかの萬沢さんだった。福野さんが鬼の首を獲ったように大絶賛する段取りだったのかもしれないが、萬沢さんが興奮し過ぎで本人は完全にシラけてしまったらしい。本当の話かどうかはわからない。完全に「脚本」の可能性もあるが、それならばこれは来年の「クルマ評論9」にて再レビューが収録されるフリだと思われる。大いに期待したい。



2022年12月16日金曜日

福野礼一郎のクルマ評論7 ビーエム嫌い・三菱オワコン


 



たくさんのことが読み取れる

今年も「クルマ評論」が発売された。内容の半分は1年分のモーターファンイラストレーティッドの連載(12回分)であり、キンドル・アンリミテッドなどのサブスクサービスで定額で読むことができるものだ。しかし12回の連載の中に、福野礼一郎という評論家のこの1年間の「クルマ&メーカーへの考え方」の変遷がわかるとともに、今回の「7」では福野さんの30年以上のキャリアの中で、それぞれのメーカーをどう捉えてきたのかという実直な感想がたくさん漏れてくる。


「水野和敏さんのレビューを活字化したもの」と言ったら失礼になるかもしれないが、福野さんのレビューは、水野さんの声で脳内再生されてる読者も少なくないだろう。素人の意見で恐縮だけども、「元開発者」と「元走り屋」で畑は全然違っていても還暦を過ぎれば、どっちがどっちの意見だかよくわからないほどに似てきてしまうものらしい。プロ・素人ブロガー&ユーチューバーを合わせれば、かなり多くクルマに関する情報を発信する人が活動しているが、2人とも還暦過ぎても完全にオピニオンリーダーってのは凄いことだ。




ATは最善、スタイルは最悪

この記事のタイトルにもある通り、新型BMW4シリーズやアウトランダーPHEVのユーザーが読んだらちょっとイラッとするかもしれない。個人的には新型4シリーズは別に「醜悪」だとは思わないし、2022年の今、新車でロードカーを真剣に選ぶとすればMAZDA6やアコードよりも積極的に選びたいくらいだし、シビック(typeR、e:HEV)やフェアレディZと比べても全然負けてないと思う。実際のところリアシートが付いたスープラである。


だからかなり真面目に選んだ結果、不可逆的に4シリーズに辿り着く人もいると思う。お金に余裕があって合理的なクルマ選びができるのだから、還暦のライターがどんなことを書こうとも全く気にならないだろう。クルマ選びに自信がある人は、どんなにマイカーをディスられたとしてもヘッチャラである。あらゆるクルマはプロが考え抜いて工夫して作っているのだから、褒めるところはいくらでもある。それがわからない連中(AJAJとか)がクルマを語るとロクでもないことになる。



福野レビューは人生を豊かに・・・

福野さんはもちろん非AJAJだ。そうでなければ「醜悪」とか「さようなら三菱」とか書けない。まあそこまで書かなくてもいいんじゃないの?って声はあるだろうけど、これが福野さんのレトリックなのだから、読者は素直に楽しめばいい。これどれだけの読者に需要があるんだよ!?みたいな高尚あるいはマニアック過ぎる内容が出て来るのも魅力だけど、まともに読まされる側もそれなりに疲弊する。ヨロヨロになり、わからないところは律儀にググったりすると、日常生活では一生見ることもない世界観に遭遇する。


宮崎駿の自動車ライター版と言えばいいのか、おそらく福野さんのファンは、自宅に数十冊に及ぶ福野本だけでなく、「艦船」「軍用機」「工作技術」「機械式腕時計」「陶磁器」「漆器」「繊維素材」「鋼板加工」などの学術書みたいなものが並んでいる。福野レビューを存分に楽しむためには自分自身をバージョンアップしていかなければいけない。クルマの経験や知識だけでなく、普段から読書習慣がない人は軽く門前払いされるので敷居は高いのだけど、藪から棒な暴言で帳尻が合っている。



メルセデスへの執拗な攻撃は・・・

メルセデスの日本法人とめちゃくちゃ仲が悪いらしい。まああれだけAクラスを盛大にコケにし続けてきたわけだから、覚悟はできているようだ。それでも今回の12台のうち2台はメルセデスである。Aクラスだけでなく、CクラスもSクラスも苛烈に痛ぶるのかと思いきや、編集部担当者(萬澤さん)に大いに迷惑がかかっていると聞いて改心したらしい。あるいはブランドオールBEV化宣言で、もはやフルモデルチェンジもなく消えていく運命の2台に一抹の寂しさを感じたのだろうか。


15年くらい前の福野さんは、「1000万円以下の輸入車なんてロクでもない」「エボ10はAMGやビーエムMが敵わない完成度」とか書いてらっしゃったが、今ではシトロエン贔屓だそうだ。日本のサラリーマンが無理なく買える輸入車こそが、日本社会を楽しくしてくれる、そんなフランス車派な人々と意見が一致しているらしい。近い将来に500万円以上の高級車と、軽自動車しか作らなくなった日本メーカーを尻目に、ステランティスやルノーがマレーシア辺りで作っているエンジン車を日本で売ってそうだ。トヨタディーラーにはプロドア車が!?



トヨタが最高になってしまった

本書にレビューが収録された12台のうち予想よりもかなり高い評価を得ているのが、トヨタ・アクアだ。新型プリウスがランボルギーニみたいな加速をするのだから、そりゃアクアの走りだって欧州のホットハッチみたいになってもなんら不思議ではない。納得のステアリング・フィールを求めて欧州車やMAZDA、スバルをわざわざ選ばなくても、新型アクアで十分かも・・・って最近のトヨタ車を試した人なら誰でも思うことだろう。アクアだけでなく、カローラツーリングもヤリスクロスでも同様の感想だ。


年末に福野さんの「毒(ワーストカー)」を楽しみにしていた人は、この「7」ではちょっと期待ハズレかもしれない。しかし過去の6作のどれよりも、フラットに現在のドライビングカーの立ち位置を明確に評価しているインプレ12編だと思う。もっと毒を吐く福野レビューが恋しくもあるけど、昨今の新型モデルは本当に粒揃いで、批判される部分は制限速度表示がデタラメだったり、ナビが突然ブラックアウトし、肝心な時に表示されなかったり、USBメモリーの音源がスムーズに読み取れなかったりなど、電気系統に関することばかりだ。



幸せになれる本だと思う

SUVやミニバンでもアップダウンやワインディングを容易にこなすし、スポーツカーや軽自動車で3時間以上連続で走ってても疲れない。つまるところ、どんなクルマでもユーザーがまともな感性を持っていれば壊れるまで楽しいカーライフが過ごせてしまう。そこにはMAZDA、ポルシェ、メルセデス、ホンダ、トヨタといったそれぞれのブランドの壁すらもはや形骸化している。だからこそ記号的価値を求めて新型プリウスにはランボルギーニ並みの加速力を与えられたのだろう。


福野レビューを読んでいれば、どれだけたくさんのクルマに乗ってきても、正しい知識を探求する姿勢は無くならないことがわかる。知識を絶えずアップデートして、クルマの特徴を理解する能力を磨くことなしには、いつまでもカーライフに満足できないままに、次から次へと新しいクルマが欲しくなり沼に落ちていくのかもしれない。仙人が辿り着いた先が、ポルシェでもアストンマーティンでもケーニッグセグでもなく・・・・DSオートモービルだった。これは多くの人にとって幸せなことではないか!?





2022年6月28日火曜日

福野礼一郎さん「MAZDA車はカッコ悪い。デザイナーが何もわかってない・・・」




新シリーズ創刊!!

 CX-60の発売と同じくらい嬉しいことに、福野礼一郎さんの新しい単行本シリーズが発売された。「福野礼一郎・スポーツカー論1」という題名だからには「2」「3」と「ゲンロク」の連載が続く限りは、毎年この時期(6月頃)に1年分のレビューをまとめて出版してくれそうだ。世紀の大傑作だった「世界自動車戦争論1」は直後のリーマンショックで業界が大きく変わってしまい「2」が出なかった(20年スパンで2028年とかに出る?)。毎年発売されているモーターファンイラストレーティッドの連載をまとめた「クルマ評論」もあるけど、もうどんな内容だって買うから、とにかくずっと出し続けてほしい。



永久保存版の傑作

ごくごくメジャーな乗用車をレビューする「クルマ評論」とは違って、完全に趣味の世界の2シータースポーツカーだけを相手にする「スポーツカー論」なので、福野さんの本領発揮なところがとにかく面白い。ある程度は読者が限定されることもあって、ファンの期待通りにメチャクチャに突っ走っている。ほんの一部をネタバレさせてもらうが、詳細は書きませんし、興味のある方は実際に読んでみることをオススメする。自動車雑誌2〜3冊分くらいの税込2640円だけど、雑誌買ってもほとんど福野連載しか読まない人にとっては12冊分の価値はあると思う。



MAZDAとポルシェをボッコボコ

この投稿のタイトルにもあるように、MAZDAのデザインが「本末転倒」だという福野理論は、コアなMAZDAファンほど妙に納得してしまうのではないか!? MAZDAとポルシェ以外は買わない主義のブログ主としては、この本でこの2ブランドが徹底的に叩かれているのがとにかく新鮮でしかない。「もうこの2ブランドは脳死状態」と言わんばかりの怒涛の福野節に圧倒された(筆力がハンパない)。ちなみにレビュー対象として登場する日本ブランドはMAZDAのみだ。BMW、アウディ、メルセデス、レクサスといった「非スポーツカーブランド」は一切登場しないのだけど、とあるエピソードからメルセデスが強烈に被弾。「ブタ」とかいう差別用語はさすがに時代を感じて苦笑いだが・・・。



線引き

この本を読んで怒り出すMAZDAファン(にわかは除く)ってほとんどいないと思う。ポルシェファンにしても同じだろう(にわかなユーザーのリアクションは想像できないが)。もうグウの音も出ないほどに徹底的に叩かれてるけど、本書ではまともに相手にもされていないメルセデス、BMW、アウディ、レクサス、日産GT-R、トヨタ86、スバルBRZなどとは違って、ピュアスポーツカーを作り続ける選ばれしブランドという「別次元」な括りでの厳しいご意見である。この線引きがあるからこそ破茶滅茶な暴論でもカネを払って読みたい読者が殺到するのだろう。



買うべきクルマがわかる本

某芸人Yが、BMWi8からマクラーレン720Sに乗り換えたのは、この本(または連載)を読んだ影響かもしれない。ハイスペックなスポーツカーを所有することをSNSでアピールする「クルマ好き芸能人」としていろいろな戦略があるのだろうけど、いまいちBMWでは勢いが点かない!?そんな立場の弱さを悩んだ末の決断だとは思う。芸能人のSNSでの「愛車アピール」はデメリットも多いだろうから、ある程度はステルスマーケティングの一環なのかな!?という気もする。芸人Yのおかげ?かわからないけど東京都港区界隈に行けばi8はちょこちょこ見かける。BMW史上最高の「映え」なので、1.5Lターボとしては想像を絶するリセール価格を実現している。



ステルスマーケティング

複数の女性タレントが相次いでメルセデスを買ったようだけど、これも代理店がらみのステマだと思われる。「両性の本質的平等」において先進国でも最低レベルのレッテルが貼られる日本においても、さすがに女性の社会進出は広がっていて、女性の輸入車のオーナーもどんどん増えている印象だ。ちょっと偏見かもしれないが男性よりもクルマを買うハードルは低そうだ。男性で年収1000万円以下だとなかなか輸入ブランドへは行けないが、女性だと年収500万円くらいでとりあえずメルセデスって感じだ。



クルマ選びの前に勉強しよう

メルセデスのラインナップも日産、MAZDA、ダイハツ、スズキのように女性ユーザー向けのものばかりがどんどん増えている。女性が乗る分にはどれも素敵だが、同じモデルがオッサンのオーナーだと(どのモデルかは伏せるが)・・・ちょっとヤバい。男性にとってクルマ選びはちょっと神経を使ってしまう、いやいや「鬼門」と言っていいレベルだ。気楽に好きなクルマを選びたいなら、とにかく誰よりもクルマに詳しくなることが大事だ。知識さえちゃんとあれば、MAZDA、スバル、ホンダなどのメインストリームな日本メーカー車でも、他ブランドにマウントを取られることなんてほぼ無いのだから。



クルマは退化している!?

昨今のカーメディアはライターの資質の問題もあるのだろうけど、メーカーが意図したクルマの「記号的価値」を盛んに語るものが増えている。ホンダにしろMAZDAにしろ1990年代から2000年頃に世界の頂点に上り詰めたが、その頃に誇った絶対的な「機能的価値」を、残念ながら現行モデルは超えるレベルで設計されていない。CX-60のような直6のFR車なんて2000年頃にはたくさんあったし、200万円台で買えていた。



批判すらできない

読者も、カーメディアも、自動車メーカーが存続することさえ難しい時代に突入していることはよくわかっている。そしてメーカーが可能な限り頑張って感動させるクルマを作ろうとしていることも十分にわかる。だからこそ20年前のクルマと露骨に比較して「機能的価値」を根拠にボロクソに批判するなんて不毛なことはしない。社会インフラとしてさまざまな人に利用される乗用車なのだから、クルマ好きの一義的で偏狭な価値感のみで、「CVTのゴミ」とか安易に切り捨ててはいけない。福野さんの通常の連載を読んでいるとその辺の配慮がよく感じられる。



ブランド離れの理由

レクサス、メルセデス、BMWのような「ハイクオリティ」を提供するプレミアムブランドに対してならば、多少は厳しい意見をぶつけても良さそうだ。しかし多くの人が感じているように、この3ブランドの「機能的価値」はこの10年余り続く停滞期が示すように、開発には否定的で他社の設計をコピーし、シャシー&エンジンまでも流用するなど、ずっとスポイルされ続けてしまった。もはやこの3ブランドにおいては、従来の「機能的価値」を理由に買う人は少数派だろう(つまりクルマ好きは買わない)。世界の消費が「記号的価値」に急速にシフトしているとする安易なコンサルの戯言に乗っかったのだろうが、かなり滅茶苦茶なことになっている。



戦略の違い

クルマ好き素人が偉そうで恐縮だが、レクサス、メルセデス、BMWは、この10年でターゲットユーザーを「クルマ好き」から「女性」へと急速に変えた。少なからず語弊はあるとは思う。例えば欧州や北米ではポルシェ911やMAZDAロードスターも「女性ユーザーがかなり多い」という反論があるだろう。しかしポルシェやMAZDAは特段に女性ユーザーを意識したクルマ作りをしているわけではない。それに対してレクサス、メルセデス、BMWはかなり積極的に「女性しか買えないようなモデル」を次々に増やしてきた。



もはやレビュー対象ではない

レクサスUXやCT、メルセデスA〜C、BMW1er、2er、X1、X2、i3などのモデルを相手に、福野さんは「ガチレビュー」などするだろうか!?過去にメルセデスAクラスをボロクソに書いたこともあったが、今ではダイハツやスズキの軽自動車よりも「配慮」した角が取れたレビューになる気がする。メーカーが女性向けに作っているクルマなのに、還暦の日本最高レベルのライターがガチギレ批判では、さすがに体裁が悪すぎる。もはやピープルムーバーしか作らない三菱や、電動車ばかりを発売する日産やホンダに関しても、これまでと同じような批判ではまるで説得力がないし、読者はついてこないだろう。



生き残り

しかしポルシェやMAZDAのようにピュアスポーツを作り続けるメーカーなら話は別だ。この手の「本物」のメーカーに対しては、真心のままにラディカルなレビューを容赦なく叩きつけるのが、最高の賛辞とも言える。ランボルギーニやマクラーレンなどのスーパースポーツブランドを除いた総合自動車メーカーで、遠慮なしに批判してもいいブランドはポルシェ、MAZDA、スバル、ジャガー、アルファロメオ、キャデラック、テスラくらいかもしれない。



幸せな「評論」がここにある

この本を読んで、ちょっと救われて気分になった。10年くらい前まではそこそこ面白かった「自動車ジャーナリズム」が、スポーツカー限定の領域ではまだまだ有効だということがわかった。それと同時にアルピーヌA110、ジャガーFタイプ、MAZDAロードスターなどの「ピュアスポーツカー」がかなり欲しくなった。何らかの事情でロードバイクに乗れなくなったらスポーツカーを買うと思う。






2021年11月26日金曜日

福野礼一郎さんの「便所の落書き」がヤバすぎる・・・

 

どんどん過激になっていく・・・

いよいよ6冊目に突入した「福野礼一郎のクルマ評論・6」が発売された。自動車雑誌の出版不況もあって福野さんの連載もモーターファンイラストレーティッド(MFI)くらいしか読めなくなって、寂しさが募る一方で、仕事上のしがらみが少なくなったのか、2018年の「3」から始まったこの本でしか読めない「便所の落書き」コーナーが年々過激になってきた。1年を振り返ってあらゆる角度から「福野礼一郎COTY ベスト&ワースト」がズラズラと書かれる。ベスト、ワーストなのにそれぞれ2〜3台あったりする往生際の悪さで、ただただ「エンターティメント」へと突っ走っておられる。お元気でなによりだ。



本ゆえの楽しみ方

それにしてもこの「落書き」はあまりにも中毒性が強すぎる。私のようにこの本の現物を見ずに躊躇なく「アマゾン」でポチった人は多かったんじゃないだろうか!?コンテンツのほとんどはアマゾンのキンドル・アンリミティッド(読み放題サブスク)で読めるMFIの連載なのに当然のごとく買ってしまう。届いてから真っ先に読むのも「便所の落書き」で、仕事から戻ってスーツ姿のままわずか数ページのコーナーをじっくりめくっていた。ユーチューブのレビュー動画とは違い、自分のペースで色々と想像力を発揮しながらページをめくる感覚は「至上の喜び」でしかない。このスタイルは昔から福野さんの得意技だったようだけど、全盛期をリアルタイムで知らない世代なのでとても新鮮だ。ユーチューブに無数にあるレビューコンテンツがほぼ楽しめない人には、ぜひオススメする。カーメディアの醍醐味を存分に味わえるキラーコンテンツだと思う。



興味あることだけ書く

なんでこんなに面白いのだろうか!? 異常なほど「エンターティメント性」が爆発している理由として、もちろんこの人の見識&力量もあるけど、現在の福野さんがもはや自動車業界全体を俯瞰・網羅するような視点で無理に描こうとしていない点が挙げられる。ドイツ車と日本車はどちらが優秀か!?なんてテーマを掲げることも、それにまともに正論を振りかざすことも最初から放棄している(読者を飽きさせないために多少は入っているけど)。手前勝手な意見だけど、ブログを書いていてのジレンマとして、自動車業界全体を描こうとすると大変だ。私自身のまとめる力がないのはもちろんだけど、なかなか面白い話に落とし込むことができない。書き始めは「やってやろう」と気合十分なのだけど、仕上がりに満足したことはほとんどない。いくつもの途中で投げ出したけど捨てきれない未完成や断片が転がっている。



大部分の市販車は・・・

トヨタが50%を占めるようになった市場全体を語っても面白いわけがない。逆にシボレー・コルベットのメチャクチャな進化具合を題材にでもすれば初めてブログを書く人でもそこそこ面白いものが書けると思う。日々のブログ日課をこなす中でおぼろげに感じていたことが、福野さんの本を読むと確信に変わる。ちょっと悪口になってしまうかもしれないが、トヨタ、日産、ホンダの大手はヒエラルキーの末端に位置するコンパクトモデルはマメに更新している印象だが、上の価格帯になればなるほど放置する傾向にある。10年前に主流だった足踏み式サイドブレーキが500万円以上するモデルに平気で使われていたりする。



大手メーカーのレビューがつまらない理由

フラッグシップモデルに最先端の装備を惜しみなく入れてくるので、MAZDA、スバル、三菱の上位モデルは大いに話題になるが、現行クラウン、レジェンド、アコードなどのデビュー時が残念な感じになってしまったのは、メーカーの都合で、もう仕方がないことなのかもしれない。人生の可処分所得の多くをクルマに注ぎ込みたい人々にとっては、トヨタSUVのレビューなんて何の意味も為さないけど、ランエボが憑依したアウトランダーや、2.2Lディーゼルあるいは2.4Lターボや2.5Lターボが選べるMAZDAやスバルのモデルならそこそこ興味深く読める。なんとなく「頭がおかしい人」が開発している気がするし、それを福野さんみたいなライターがどのように切り取るのか!?には期待感しかない。



誰でも輸入車に乗れる時代だが・・・

馬車がクルマに変わった後も競走馬は残った。ゆえに自動運転の時代が到来してもスポーツカーは最後まで残るとかいう話があちこちから聞こえてくる。スポーツカーを売るための方便の可能性もあるが・・・。クルマが買えるくらいの「貧乏」ならば、誰でも中古ではあるけどドイツ車を選べるいい時代になった。よく使うデパート(駅ビル)の駐車場で観察してしまうのだけど、過半数は欧州ブランド車が占めるが、自動ブレーキ世代のドイツ車に乗る人と、それ以前のモデルに乗る人では身なりがあからさまに違う。前者は服装、スニーカー、カバンに至るまでブランド品が当たり前だが、後者は全身ユニクロ。一応お断りしておくが、クルマや服装で人間の価値が決まるなんて1ミリも思ってない。



福野レビューを面白く読める人

もしかしたら的外れかもしれないが、福野レビューは前者のタイプでないと楽しめないだろう。10年ほど前に福野レビューを初めて読んだ。クルマの知識が爆発的に増えたことは間違いないけど、なんだか言い知れぬ敗北感があった。このライターはクルマ以外にもよく「本物」を知っている。それに比べて自身の社会経験の無さに絶望すら感じた。この世界では黙々と努力して稼いで「本物」を経験し続けること・・・それが全てなのだと。テレビやメディアで人気の人々も、組織の中で人望があり一目置かれるような人も、長く成功し続ける人には「本物」を経験しているという共通点がある。



未熟な批判

「福野礼一郎のクルマ評論」の第一号は間違いなく傑作ではあるが、まだ経験値が大きく劣る私には非常にアンフェアなレビューばかりに思えた。ホンダフィットとMAZDAアテンザのひどい書き方にこのブログの初期ではキレていたくらいだ。しかしそんな福野さんが数年前から「BMWは全部ゴミ」とか平気で書くようになった。一番ぶっ壊れていた時期(2013〜2016)の私のブログでも、「(BMWは)ディーゼルのアイドリングストップがクソ」と丁寧に理由をつけて書いていた「便所の落書き」を、堂々と出版社を通した連載及び単行本において、メチャクチャな論理展開(福野がゴミって言ったらゴミなんだよ!!のレベル)をしている。



感謝

手前勝手で恐縮だが、こんな福野さんの本をゆっくり読んでいる時間がこの上なく幸せに感じる。10年前のように卑屈に考えることもなくなった。福野レビューに出会ったおかげで、服装や持ち物にもかなり徹底してこだわるようになった。この方には感謝してもしきれないくらいだ。すでにカーメディアにおいては間違いなく第一人者であり、毎年単行本が出せる奇跡的な存在なのだけど、もっと広く世の中に知られてほしい存在でもある。10年前の私のような貧乏くさいだけの若者の人生を変えてくれる。そして何より充実感ある人生を送っている人にとって、最高のエンターティメントでもある。ぜひぜひ末永い活躍をお願いしたい。











2021年11月17日水曜日

国沢光宏さんが福野礼一郎さんに「勝つ」こともある・・・

 

やっちまった・・・国沢さん

今月の頭ぐらいに国沢光宏さんがベストカーの記事で「CX-50はトヨタOEMだ」と書いていたが、意外に早くMAZDAが全貌を明らかにしてくれた。注目度が高い中でさらに期待を上回ってきたCX-50のエクステリアの完成度は高い。搭載エンジン、使用されるミッション、全車AWDとの情報が公開されており、1つもカローラクロスと被らない「潔癖」な展開をみせている。MAZDAらしい「国沢外し」発表内容になっている。カーメディアに対してはつくづくムカついていたのだろう。



真逆の対決

MAZDAに関する記事は非常に後味が悪いものにはなったけど、それと前後して出されていた「スイフト・スポーツ」(ベストカーWEB・2021/11/7)のレビューはなかなか良かったんじゃないでしょうか。しばしばこのブログで国沢さんの真逆の存在として高く評価している福野礼一郎さんが、モーターファン・イラストレーティッドの最近の連載で同じスズキの「ワゴンRスマイル」のレビューを書いていた。「国沢光宏さんと福野礼一郎さん」が「ベストかーとモーターファンイラストレーティッド」の連載でスズキ車のレビュー。この珍妙な構図に笑いを禁じ得ない。



やればできるじゃん

ライターの評判、媒体の評判といった個人的な偏見を取っ払って読んでみた。どっちがスズキ車を上手にオススメできているか!? 2人がどんなスタンスでスズキ車に向き合ったかは知る由もないけど、そこそこ有名な媒体のレビューとして対象となるクルマの魅力をより多く引き出せているか!?MAZDAの記事は徹底してトンチンカンだけど、スズキは国沢さんの得意ゾーンでもあるようで、まるで別人のような切れ味を見せている。スイフト・スポーツのレビューはこれまでに数限りなくあるけども、その中でも出色の内容だと思うのだが・・・。



カリスマライターの素顔

一方で「完全アウェー」の福野さんは、初々しさすら滲み出る場当たり的なエッセイになっている。完全に趣味のクルマばかりを語ってきたライターさんが、ゴリゴリの「地方インフラカー」をレビューするのだから、何か新しい気づきでも提示して欲しいところだが、今回はやや期待外れだった。電動スライドドアを両サイドに備えた「軽自動車のアルファード」ゆえに、軽自動車では最重量クラスの870kgで、これにNAエンジンが組み合わされていて、還暦を過ぎたライターが、その辺の兄ちゃんのように「なにこれ!?遅過ぎじゃね!?」とはしゃいでいるところがシュールだ。



どっちがカリスマ!?

国沢さんのスイスポレビューでは、序盤に「スズキにとってスイスポはGT-Rだ」みたいな軽い冗談が放り込まれヤレヤレだが、そこから一気にテンポが上がっていく、凄いレトリックが炸裂している・・・これを読み終えた人の一定割合は「スイスポはいいかも!?」と思わされたことだろう。失礼だが、国沢さんのレビューを読んでクルマが欲しくなることなんて未来永劫も絶対にないだろうと思っていたから、この予想外の展開に、非常に感銘を受けてしまった。これまではホンダやMAZDAに対してほとんど敬意が示せない凡庸なライターという最悪のレッテルを貼ってしまっていた。このレビュー1つでこの人のポテンシャルはかなり高いとわかる。



なぜホンダとMAZDAが嫌いなのか!?

長く自動車ライターをやっていると「しがらみ」ってのがあるのだろう。あの徳大寺有恒さんも、かつて本田宗一郎さん(HONDA創業者)に「あなたは所詮は自動車ライターでしょ!!」みたいな軽蔑の言葉を浴びせられたことがあるらしい。自動車の開発者がそんなに偉いのか!?MAZDAが好きでたまらないファンも、MAZDAの開発担当者に「あなたは所詮はファンでしょ!!」とか言われたら、二度とMAZDAなんて買いたいとは思わないだろう。国沢さんの頑なな姿勢から察するに、過去にホンダやMAZDAとの間に何らかの「信頼関係を失う」ようなやり取りがあったのかもしれない。



寝ぼけたレビューを書いてんじゃねー

国沢さんの最高のレビューと、福野さんの最低のレビューが、同じタイミングで出てしまった。スズキに限った話ではないけども、「EV化」という現実に直面して、10年後の仕事がどうなっているかも不透明な中で、精一杯に良い自動車を届けよう!!クルマの未来を切り開こう!!としている開発者の情熱を彼方此方のメーカーから感じている。今回の福野さんの「ワゴンRスマイル」レビューは、そんな緊迫した空気をまるで理解しないような呑気な書きっぷりだ。もう還暦過ぎたライターにとっては10年後のクルマなんてどーでもいいのだろうけど、福野さんに期待して今回のレビューを読んだ若い読者(ほとんどいない説もあるが)は少なからず苛立ちを感じたのでは!?



そのネタは賞味期限切れ

決して福野さんの今回のレビューが、スズキや軽自動車への敬意を欠いていたとは思わない。取って付けたように、ハンドリングは「一部のおかしな『ヨーロッパ製』Bセグなんかよりずっとセンスがある」とか書いてある。イギリスやドイツのカーメディアでも高い評価を得ているスズキのハンドリングなのだから当然だろうに。比べる相手が悪すぎる。スズキに失礼だ。さらに「日本の軽はおかしなヨーロッパ車なんかよりもずっといい道具である」とダメ押し。テキトーに欧州車と比較しておけば、読者に好印象を与えられるという安ぽい算段に反吐が出る。時代錯誤も甚だしい・・・。(おそらく『ヨーロッパ製Bセグ』はカリスマ渾身のジョークだろう。そんな現行モデルはスズキにしか存在しないというオチ。)




2021年9月27日月曜日

某有名ライターが「アウディやBMWはMAZDAの足元にも及ばない」だってさ。

 

カーメディアにとどめを刺せ

クルマ雑誌はぜんぜん売れていないらしい。昔ながらの連載レビューに丹念に目を通す人も少なくなってきたようだ。ちょっと読んだだけでメチャクチャなことが書いてある無料ネットメディアのレビュー(一応AJAJの人が書いているけど)に、読む価値が全く見いだせないのだから雑誌媒体のものであっても推して知るべしだ。原稿料が安過ぎてやってられないライターと年齢層高めの不満だらけの読者のマッチングに何を期待しているのだろう。80年代の輸入車優位の価値観のままに、カーメディアはどこまで走り続けるのだろうか!?



唯一面白いレビュー連載

他のカーメディアとまとめてしまうと失礼かもしれないが、頭で考えることを好む読者が一定数いると思われる「モーターファン・イラストレーティッド」の連載となるとちょっと話が変わってくる。アマゾンの「キンドルアンリミテッド」なるサブスクで読むことができるので、毎月とりあえず目を通している。同誌の福野礼一郎さんの連載は、レビューされる車種や、偏向性の好みなどを考慮しないでも、クルマを題材とした「エンターテイメント」の中で高いレベルにある。



ユーチューブのレビュー楽しい!?

ユーチューブという新しいメディアが成熟しているように思うが、この連載より面白いコンテンツはなかなか出てくる気配すらない。日本中でクルマ好きを増やすことに成功した「頭文字D」のような圧倒的な影響力のあるクルマの漫画・アニメもない。頭文字Dの後継漫画として大ヒットしたのは、クルマが自転車に変わってしまった「弱虫ペダル」だったのかもしれない。もちろん頭文字Dの頃のようにスポーツカーが各メーカーから次々出てくる時代ではないのだけど。



ミスマッチ!?

AJAJのライターには立場上絶対に書けないレビューだろうけど、福野さんが最近の連載で暴れていた。2021年は新車ゼロのMAZDAだけど、去年に発売されたMX-30EVのレビュー。「武闘派」ライターと、女性をターゲットに女性主査が作ったMAZDAの異端モデルのなんとも言えないミスマッチ感。開発者の心情を考察できる数少ない自動車ライターだけど、これはさすが苦戦が予想される。MAZDAが公式に「非主流モデル」だと言い切っているから、ある意味でフラットなレビューが期待できそうだけど、購入対象でもなくライバルモデルすら明確に浮かんでこない読者の気持ちがどこまで付いてくるのか!?どうやって惹きつけるのか!?



まさかの暴走

業界でもこんな豪華な連載コーナーを持つライターはほとんどいない。プライドも当然あるだろう。他人行儀でクソつまらない連載で終えるわけにはいかない。プロフェッショナルの仕事というべきか、非AJAJゆえの気楽さも手伝ってか、タイトルにあるような文言を取り出して、平穏に終わるはずのレビューの終盤が一気にカオスになった。「MAZDAの足回りの仕上げは圧倒的に素晴らしい、粗製濫造のアウディやBMWでは全く足元にも及ばない」・・・この爆弾を投下しておけば、この連載も刺激的なものになるから大丈夫とばかりに「保険」をかけたのだろう。



10年前からそうだった!!

しかし福野さんが無責任なことを書くわけにはいかない。僭越ながら私はブログで10年前から「MAZDAの仕上がりの良さは完全にBMWを凌駕している」と書いてきた結果、何度もビーエム好きの人々から袋叩きに遭った。しかしあれから何度もBMWに乗ったけど、一度たりともMAZDAより良いとは思ったことはない。アクセルのツキ、ブレーキング、ハンドリング、サスペンションからの突き上げ・・・どれを取ってもMAZDAの方が10年前からレベルは高かった。福野さんも10年前から同じことを感じていたんじゃないかと思う。しかし素人のブログと、カーメディアで一番有名な連載では「コンプライアンス」がまるで違う。ずっとずっと書きたいけど書けなかったのだろう。注目度が高いMAZDA3やロードスターのレビューで書くと思わぬ反響が起こる危険もあるからMX-30EVのタイミングで書いてみたのかもしれない。



色々リスクがある

素人ブログでも袋叩きにされるくらいだから、もし福野さんが10年前に書いていたら全カーメディア&インポーターから出禁にされてしまったかもしれない。それとは別のリスクもある。個人的な経験だけど、有名だから期待して乗ってみたけどBMW全然ダメだった、MAZDAの方があらゆる面で優れている!!みたいな投稿をすると、なぜか「買えないヤツが妬んでいる」という的外れなコメントが多数やってくる。10年前はそんな感じだった。なんで防府や上三川で良いクルマ作ってるのに、わざわざ南アフリカ製を選ばなきゃなんないの!?って気持ちで書いていただけなんだが・・・。



素人ブログ

実際のところ2010年代のBMWは海外生産委託拠点が増えていて、マレーシアやインドネシアなどでも組み立てていたし、サプライヤーのレベルも決して高くなかった。それにしてはなかなか良いクルマを作っていたとは思うけども、国内生産工場に集中させていたMAZDAや日産のフラッグシップとのレベル差は確実にあった。端的に言ってしまえば、ドア閉めた密閉感だったり、走り出しで露見するトルコンの不始末だけで、日本車と比べるにはちょっと厳しい状況ではあった。そもそも「輸入車よりMAZDAの方が全然良いじゃん」というのがブログを書こうと思った初期衝動だった。まだまだ状況がわかってなかったのだけど、「おいおい、カーメディアの連中はみんなわかってないぞ!!」みたいなことを得意げに書いていた。恥ずかしい限りだ。



今のMAZDAは・・・!?

おそらくMAZDAファンなど多くの人が同じことを思っていたのだろう。ちょっとした出来心で書いたブログがすぐに軌道に乗ってしまった。あれから10年が経過し福野さんの偉大な連載で同じようなことが書かれていて感慨深い。・・・しかし10年前のMAZDAはインプレッシブだったけど、その後のMAZDAの設計は藤原さんが認める通りある程度の経営合理化(=妥協)が入っている。10年前はBMWを圧倒的にリードしていたけど、今ではあまり大きな差はない。MAZDAをコピーしたと言われるトヨタのカローラですらBMWを脅かすような操縦性を与えられている。そんなよりゴチャゴチャした状況で「MAZDAが・・・BMWを・・・」をネタ的にレビューに書き入れる「間合い」がなんとも言えない良い感じではある。




2021年6月18日金曜日

久々に「VWゴルフ祭り」が始まった!!


 

自動車ライターが多数参戦

フォルクスワーゲン・ゴルフの第8世代が1年半遅れて日本市場にも投入された。先代モデルは日本市場で年間2万台以上を売り上げたこともある「桁違いの輸入車シリーズ」が9年ぶりに日本でもフルモデルチェンジされ、ほぼ全てのカーメディアが一斉にネットで記事レビュー&動画レビューを公開しており、おそるべきカーメディア動員能力は健在だ。通常運転のネットカーメディアは原稿料がスズメの涙なのでヤリスクロスやヴェゼルの新車レビューには参加しないような、レアな自動車ライターの記事も読める。非AJAJの渡辺敏史さんのレビューが出てきたら、日本市場では相当に格が高いモデルだと言える。


カーメディアの全てを教えてくれたゴルフ7

先代のゴルフ7発売の時は、まだまだ私自身がカーメディアとはどういうものなのかわかっておらず、大量に出てくるレビューを読み漁ったわけだけど、あまりの持ち上げっぷりだったので何度かVWゴルフに乗りに行った。良いか悪いかで言えば、良いクルマだと断言できるのだけど、当時乗っていた某日本メーカーのDセグセダンが基準だったこともあり、カーメディアが「全ての日本車が見習うべき」とか書いていることを、このブログや他のブログでも何度か批判した。「ゴルフはいいクルマだけど、俺のクルマの方がもっといい!!(価格は同じくらい)」という想いは全く揺るがず、カーメディアの連中は日本メーカーの看板モデルの乗り味すらわかってないのかな!?なんて思っていた。まさか・・・を貰っているなんて知らなかったから。


伝説のレビュー誕生

福野礼一郎さんが「貰って」いたかどうかは不明だけども、このコピーは数あるゴルフのレビューの中でも非常に印象的だった。自分よりもふた周り以上も年上の教養&文才確かな尊敬すべき立派なライターが「神だ!!」はないだろと・・・。AJAJにウジャウジャいるような年相応に言葉が操れない「ライター未満」な人々のレビューだったら何も驚かないけどさ。自動車ライターという土俵で数十冊の単行本を出してきた空前絶後の「大作家」だ。日本のカーメディア界におけるローバート・ローレンス・スタイン、スティーブン・キング、ダニエル・スティールだと言っていい。そんな人がゴルフ7の1.2Lターボ&トーションビーム版の廉価モデルのオカルトな魅力に取り憑かれ、普段は自然に使いこなすさまさまな形容詞がどれもハマらなかったようだ。非常に論理的なレビューで知られるライターだけど、このモデルは「説明不能」だとか書いていたっけ。


「論理性」とは!?

カーメディアで簡単に自動車ライターの紹介欄が用意されていて、しばしば「論理的に物事を捉えるのが得意」だとか「論理的な表現を心がけている」とか書かれていたりするけど、「論理性」って考えたり書いたりするたびに「心がけて」高めるものなのか!?そもそも自己紹介で自身の特徴を「論理的」と書く人の文章は大概は読むに値しないものが多い。福野礼一郎さんは自らを決して「論理的」とは言わないだろう。この人の文章と、他の単行本を出せないレベルのライターの文章を読み比べると、「論理性」とはその人にもともと備わっている素質なんだとよくわかる。10段階だとすると、自動車ライターには「論理性」がレベル1のK沢、S水K夫、K口、S藤、K村・・・、レベル3のS下、G味、W辺Y一郎・・・、レベル5のO崎G郎、O谷T也・・・で、レベル10の牧野茂雄、福野礼一郎、渡辺敏史って感じだろうか。ライターの「論理」レベルで合っているメディアも変わるようで、単行本が売れるのは「レベル10」だけど、ネットメディアでコメントを集めやすいのは「レベル1」のようだ。



もう一つの伝説レビュー

先代ゴルフ7でよく覚えているのが、吉田拓生さんの「コンプラ破り」の禁じ手レビューだ。この人はVWゴルフやフィアット500など欧州の大衆的なブランドのモデルのレビューばっかり書いているようで、ゴルフ8レビューで久々に見かけた(オートカー・ジャパン)。素人が恐縮だけど、ゴルフ7の魅力などいくらでもレビューで書けると思う。ただしアクセラ(現MAZDA3)やインプレッサと比較して1.2Lターボで100psそこそこのスペックのゴルフのすごさを説明するにはちょっとした工夫が必要だ。個人的にはそれがあっさりとできてこその自動車ライターだと思うのだけど、それでも「レベル10」の福野さんがある程度は転がり抵抗がどうのこうのと言葉を並べた上で最終的には「神だ!!」で終わらせてしまっている。人類が考えられる限界を超えた!!って意味らしいが・・・。



カーメディア界のドナルド=トランプ

半世紀近く様々なクルマに乗ってレビューしてきた「カーメディア業界のスティーブン=キング」だからこそ「神だ!!」って表現が使える。私のような8年ほどブログ書いてるだけの雑魚が真似したところで何の意味もない。偉大なる自動車ライターがその全キャリアを伝説のゴルフ7レビューのために惜しげもなく捧げた。こんなの書かれてしまったら、他の有象無象なゴルフ7レビューなどすべて霞んでしまう。それでも禁じ手で爪痕を残したのが吉田拓生さんだ。「とりあえず乗ってみろ!!乗らずにマツダやスバルの方がいいと言っている人は『井の中の蛙』(世界が見えてないバカ)」とまで書いた。


「吉田拓生氏 『スバル・マツダ好きはただのバカ!」とまで言い切ったゾー!おー素晴らしい!!」 へのリンク(「カーメディアにひと言・・・」2016年)



ユーチューブは何を拡散している!?

このレビューだけでこのライターの「論理」レベルを決めてしまうのもどうかと思うけど、限りなく「レベル1」に近い。もう避けようがないけども、「何言ってんだコイツ・・・」という憤りと、「よく言った!!」という絶賛という真逆の評価が、どっちが多いかわからないけど半分くらいずつ出てくるだろう。ヤフコメの素人によるMAZDA批判と同じなのだから仕方がない。ジャンルは違うけど、橋下徹、ホリエモン、ひろゆきといったユーチューブで発言が切り取られる人々が言ってそうな内容に近いし、見ている側の反応もほぼ同じように賛否両論になりやすい。社会を分断する発言は、良し悪しはともかく「論理」レベル1であり、福野さん、牧野さん、渡辺敏史さんの「レベル10」の文章では、社会を分断するようなことはあまりない。大人の嗜みと言うべきアカデミックさに焦点が合っているし、程よい自虐がいい味出している。


難しいのは流行らない!?

養老孟司とかいう東大のセンセーが「バカの壁」とか言い出してしまって以降、日本ではあらゆる分野で「論壇」文化が失われ、相手を都合よくラベリングして片付けることが「スマート」さを示すようになってきた。そんなに「賢く」ありたいならばカーメディアなんて読まなければいい。そして「レベル10」のように自動車メーカーの開発者が新型モデルで意図したアイディアに想いを巡らせたところで、共感してくれる読者は減っているのだろう。新型となったゴルフ8に対する様々なレビューの中に、どれだけ開発者の気持ちに寄り添ったものがあるだろうか。早くも「1Lの直3でもゴルフしてる」みたいな定型フレーズ(無意味)ばかり見ている気がするが・・・。また「伝説のゴルフレビュー」が生まれることを期待している。



2020年8月3日月曜日

福野礼一郎「トヨタになり切らないと商売はデカくならない、けど・・・」 至言炸裂。


毎度お馴染みのディス

日本の「プロ自動車ライター」が加盟するAJAJにも、仕事にあぶれている感じの人が多いけど、非加盟の「素人」である福野礼一郎氏は、還暦を超えてもなお複数の連載を抱え、毎年レビューをまとめた単行本を発売するなど精力的な活動が続く。AJAJの還暦超えライターは失礼だが、ただの一人もその筆力に感心できる人はいない。決して性根の悪い人々ではないのだろうけど、能天気な仕事ができなそうなオッサンばかりだ。池上彰がカーレビューを書いている感じだ。そもそも「池上彰」の本を真剣に読んじゃう社会人(営利活動に貢献できる人材)なんかいるわけねーだろって話だ・・・。


クルマ語れないレビュアー連合=AJAJ

より多くの人に自動車を知ってもらいたいというAJAJの「崇高な理念」に沿って、誰にでもわかる平易なレビューを書いているという意見もあるだろうけど、もはやレビュー全体としてクルマを議論する裾野が低過ぎて(クルマ好きが呆れるレベル)、AIかメーカー担当者が瞬時に書き上げそうな通り一遍の内容ばかりだ。今どきの素人はネットでいくらでも情報を得ることができる訳で、巷に溢れるハウトゥー本のような不必要に入門的に書く必要はない。これではクルマの魅力は引き上げられないと危惧してしまう。



いうまでもないけどさ・・・

非ユーザーの若者にとりあえずクルマに関心を持ってもらいたいなら、大変失礼だけど中身がスッカスカなオッサンは表舞台からさっさと退場した方がずっといいだろう(老害専門の媒体で書いててください!!)。若いユーザーに関心を持ってもらえそうなAJAJメンバーといえば・・・竹岡、藤島、今井、五味、ピーター=ライオンくらい!?やはり「プロ」を名乗るなら「ルックス」「希少性」「筆力」のどれかで圧倒的な魅力を持っていなければならない。老人はライターをやるな!!とは言ってません。「ルックス」で勝負できないなら「筆力」で勝負すればいいわけだ。とりあえず「筆力」では素人(非AJAJ)の福野氏に勝てるメンバーはいなそうだ。まともに単行本すら出せない人ばかり・・・。


福野レビューの魅力

福野さんの連載にホンダ・アコードが登場した。もはや日本メーカーのミドルクラス以上のサルーン/ワゴンを語らせれば、この人の独壇場だろう。フーガ、スカイライン、レジェンド、クラウン、レクサスLS、レガシィ、レヴォーグ、MAZDA6は是非是非に「福野レビュー」で読みたい。もちろん輸入車や日本メーカーの小型&ファミリータイプのレビューも秀逸だけど、日本メーカーのサルーンを語らせるとギアがもう一段上がる。この人は自動車評論家であると同時に「男の持ち物」を語る専門家でもある。一眼レフカメラ、機械式時計、スーツ、革靴、バイク、ギター、オーディオ、ロードバイク、マウンテンバイク、飛行機、ヨット、戦車、機関銃などなど。


AJAJが批判される理由

「21世紀的な価値観」とやらでは、モノに執着する時代はとっくに終わったと言っている。卑弥呼や織田信長の時代も脈々と続いた「モノへの執着」は20世紀から21世紀のタイミングで完全に過去のものになったんだそうだ。だから若者はクルマ、時計、スーツなどに関心を示さないのだと。本当かよ!? 60歳前後の還暦AJAJライターの自動車レビューを読んでいても、ちっともクルマへの関心の高さなど伝わってこない。モノの価値を語るのではなく、もっぱら自らのポジショントークに終始しているだけだ。高級な欧州ブランドのグランドツアラーは「良いクルマ」で、地方インフラを支えるコスパ抜群な日本専売車は「つまらないクルマ」・・・と示すことが「レビュー」だと根本的に勘違いしている。私は欧州車派で、一般大衆は日本車派であるとマウンティングすること自体は否定しないけどさ、そもそも比較の前提が間違っていることに気づくべきだ。ずっと前からブログで主張してるのだけど、欧州車はMAZDA、SUBARU及びスカイライン、アコード、シビックなどと比べて語る必要がある。日本専売のコンパクトカーやミニバンと比較するのは理解不能・・・。



クルマ離れはあるのか!?

1000年以上も前から続く人間の「物欲」はそんな簡単には無くならないだろう。当然だけども還暦の初老だろうが若者だろうがわずか30~40年くらいしか離れていない世代だからといって、実際のところは大して変わらないと思う。それぞれの世代が「物欲」は持っているのだけど、その対象となる「モノ」が変わった、あるいは日本社会のお得意な「同調圧力」の中身が変わったからそう感じるのかもしれない。「クルマ持つのが当たり前」から「クルマは不要」という風潮に変わっただけなのに、現代の若者には「物欲がない」とやや上から目線での結論に辟易する。




ちょっとブチかまします

若者は酒も飲まなくなったらしい。日本のスーパーマーケットにたくさん並んでいる缶入りのアルコールを飲む人間は、ちょっと語弊があるかもしれないが、その消費行動は薬物やシンナーにハマる人間と大差ない。化学的に合成された廉価なアルコールに香料を混ぜて作った有害な「粗悪アルコール」を飲んでいれば肌艶もどんどん悪くなるだろうし、やや先入観もあるだろうけどその手の缶入りアルコールが習慣化してしまった人は、まあ例外なく身なりが怪しかったりする(汚い)。そんな酒を買っている客をちょっと注意して見ればわかるだろうけど、ビン入りの酒を飲む人種と比べると、身につけているものも服装や靴も汚れていて「偽物」を身につける傾向が見て取れる・・・東京の電車で缶入りアルコールを飲んでいる人種を想像すれば、決して過激な偏見だとは思わないし、夜の車内にしばしば転がっているアルコール飲料はほぼ例外なく缶なわけで、服装の乱れはモラルの欠如に連動する。



福野レビューの傾向

聖武天皇も足利義政もそして現代を生きる趣味人もそうだけど、「本質を欠いたモノ」には全く興味を示さなかったと思う。そして福野さんもタイトルにある一言で、やたらと「偽物」が溢れる自動車市場を嘆いているようだ。モーターファンイラストレーティッドの連載に「ホンダ・アコード」が登場した。最近の福野さんの連載レビューはかなり意図的に感じる。今は少々元気がなさそうだけど、長らく日本の自動車産業のレベルを世界に示してきた三菱、日産、ホンダのレビューの際には、これでもか!?というほど、そのメーカーの過去の逸話を放り込んでくる。若いクルマ好きな読者に「伝えておきたい」という気持ちなのだろう。あるいは還暦の自動車ライターにもマトモな人がいるってことを必死で訴えているのかもしれない。



正しくレビューする技術

今回のレビューは「ホンダ」であり「アコード」である。自動車産業の先達であったアメリカとヨーロッパを完膚なきまで叩きのめしてきた実績を考えると、文句なしに世界最強のシリーズといっていい。およそ450万円まで日本価格が上昇し、さすがに響くユーザーはかなり減ったかもしれないが、450万円以上の内容なのはマトモな人なら理解できるだろう。響かないなら黙ってればにAJAJのK沢とかいう還暦ライターはツイッターで「誰も関心ねーよ・・・」とイジっていた。これだからAJAJは嫌いだ。新型アコードには、すでに「飽和」と思われていた日本市場で完全に欠けていた「本質」が備わっている。セダンは売れないがデフォになりつつある中で、カムリもMAZDA6も「爪痕」は残したが、新型アコードはこの2台を力技で超えて行った。いうまでもないけど、リベラルな福野さんは、新型アコードが成し遂げた「立ち位置」をレビューの中で余さずにスマートに伝えている。昔も今もアコードは世界の頂点を目指して開発されている・・・と言いたいのだろう。


ハイレベルだけどまだまだ上がある

新型アコードはあまり注目されてないけど、高性能サルーンとしての資質をとことん追求している。純粋に「高品質」なサルーンが欲しいならベストチョイスにもなりうる。とりあえず高級サルーンの定番であった無印のメルセデスやBMWを相手に日本の自動車産業の到達レベルの高さを示した!! くらいのレビューなら私のような素人でも書ける。しかし福野さんは、かなり高水準な新型アコードだけれども到達できていない部分も指摘している。自社でミッションの開発を続けるなど、こだわりを保つ名門ドイツブランドの同価格帯サルーン(CとE)と比べてのミッションフィールの欠点を指摘(アメリカのトルコンDCT持ってこい!!とも言っている)。しかしK沢のように鬼の首を獲ったような騒ぎ方ではなく、いたってスマートに書いていてアコードの完成度にイチャモンを付ける意図までは感じられない。総合力ではアコードの勝ちは揺るがないのだから当然の配慮だろう。この辺がAJAJライターとは決定的に違う。


自動車メーカー大分裂の時代

福野さんはやっぱり流石だな・・・と思いつつ目に飛び込んできたのだ「トヨタになり切らないと商売はデカくならない」の一言。これだ!!還暦を超えてなお新しい「語録」を次々と生み出すレジェンドだ。トヨタやユニクロは日本の生活を支えるインフラという意味では非常に重要なタスクを担っているし、一部では眼の肥えたユーザーを捕まえるようなモノづくりも仕掛けてはいるのは確かだけど、それでも福野さんのいうように、トヨタのようなトップシェアブランドがその規模を維持&拡大するためには、MAZDAやPORSCHEのようにひたすらに理想を追い求めるメーカーとは本質的には真逆の存在になるのは仕方のないことだ。そしてトヨタとマツダを比べることはナンセンスだ(英国カーメディアがそう結論していた)。



ホンダを憂う

日本市場向けのホンダのラインナップはそんなジレンマの中で途方に暮れている。失礼だけど、缶入りの酒、クオーツ時計、セメンテッド製法の靴、合紡のシャツ・・・あらゆる「モノ」にこだわりを持たなくなった大多数の日本人ユーザーの品性の前に、ホンダが迷うのも仕方がないのだろう。「トヨタになりきれ」「ユニクロになりきれ」の企業スタイルを否定する気は毛頭ないけど、ターゲットとされている「意識が低過ぎる」人々には、どうしてもやや差別的な感情を持ってしまう。なぜそんな格好をして仕事として客の前に出てくるのだろうか!?公共の場所で平気で佇んでいられるのか!?



コモディティ化を止めろ!!

「トヨタになりきった」ビジネスで作られるクルマも結構だけど、そんなクルマ作りをしているメーカーの売れ行きが思わしくないからといって、「若者は物欲がない」というジャッジは滑稽だ。トヨタ的、ユニクロ的なビジネスは猛威を奮って消費行動を変革しているけど、当然ながらクオリティを求めるユーザーからは「反動」の動きが出てくるわけで、日本市場でフェラーリ、ランボルギーニ、ポルシェ、MAZDAはここ近年に伸びているし、安易にトヨタ化を受け入れたメルセデス、BMW、VW、ボルボは逆にフェードアウト気味だ(日本のユーザーの期待を裏切っている!?)。アコードの日本向けのガチガチ仕様は、トヨタ追従と言われても仕方ないし、アコードにイマイチ注目が集まらないのも、北米でのびのびと販売されているアコードとは全く別物だからで、日本のファンの気持ちを福野さんが清々しいまでに代弁してくれた。これからも福野さんの活躍を大いに期待したい。







2020年6月30日火曜日

福野礼一郎「こんなDCTは早く捨てた方がいい」ボロクソの名門ブランド・・・



最初から壊れている!?
日本のユーザーはどこまで我慢して使い続けるかを試しているような、非常にぎこちない操作感。思わずディーラーの営業マンに「このクルマ壊れてませんか?」と訊いてしまった。お値段は一声で100万円以上も値引き。「本体価格」とは一体何だったんだよ!?・・・これは7年ほど前に実際に輸入車ディーラーで試乗して感じたことだ。



低価格の輸入車は・・・
このブランドに限らず、昨今の1000万円以下で買えるお手頃な輸入ブランド車の多くに共通したことだが、どうも「ミッション」「エンジン」「ボデー」「サスペンション」「ステアリング」「アクセルフィール」「ブレーキ」「ドア開閉音」「シート」といった些細な部位で、ちょっと看過できないほどの「躾けの悪さ」と、素材・品質の弱さに気づいてしまうことが多い。いつから欧州ブランドは当たり前のことが当たり前にできなくなったのだろうか!?



諸悪の根源は日本の大手メーカー!?
2010年頃の素晴らしい著作を読むと、福野礼一郎氏は、2000年代に見られたドイツブランド車の品質低下問題に際して、「間接的な責任はトヨタとレクサスにある」と断じていた。トヨタのクルマ作りを取り入れた結果が、2000年代に入って見るも無残に質感を無くした欧州ブランドの姿だと舌鋒鋭く切り込んでいた(出典「世界自動車戦争論」双葉社)。



新車作り過ぎ問題・・・
それから10年が経過した。トヨタの真似をして本来の姿を見失ったとされる欧州ブランドへの福野評はさらにどう変わったのか!?2000年代の「トヨタ化」により徐々に「平凡」で「低品質」な乗り味がデフォになったけども、リーマンショックを経てさらに「トヨタを超えるコストダウン」へと邁進し、2010年代を通してさらなる次元へと変容を遂げた欧州ブランドは「落ちるところまで落ちた」らしい。もはや「トヨタの真似」などと表現することは、真面目に研究開発費を計上して良いクルマを作ろうとしているトヨタに対して大変失礼な話であり、ものすごいペースで乱発される新型モデルに対しては、ほぼカネを払う価値すら無くなったようで、ひたすらに激しい不満をブチまけるようになった。


とうとうバラした・・・輸入ブランドの内幕
読者に変な固定概念を植え付けるのは良くないのだけど、冒頭に書いたように、ここ数年の欧州ブランド車は試乗した直後に「日本市場からいなくなればいいのに」と呟いてしまいたくなるモデルが存在する。福野さんに言わせると「最近のヨーロッパ車はいよいよ試作開発を全廃、ほぼシミュレーションのみで設計している」ってことらしい。全部が全部ではないのだろうけども、確かにそういう事情でもない限りは到底に説明不能なレベルのクルマが存在している。欧州メーカーの技量が落ちたわけではなく、ただただやる気をなくしているだけらしい・・・。


作り直せ!!・・・ってレビューに書いていいの!?
福野さんによると、2000年頃に日本で大きなシェアを持っている輸入ブランドで「トヨタ化」とされる現象が見られ始め、リーマン後には多くの輸入メーカー車から「個性」が消えていた。一律の小排気量ターボ化を日本のカーメディアと輸入車信者は歓迎したようだけど、ドラバビリティの低下は如何ともし難く、さらに本稿のタイトルにもあるように制御するDCTのあまりの不出来に福野さんがキレた。もう暴言が止まらない。この有名ブランドの試乗車を貸してくれるインポーターとの軋轢も笑えないレベルになっているらしい(「あれ以後全集8」より)。


なぜ先代の時にはキレなかったの!?
しかしこのブランドのFFモデル用ミッションは先代の段階で既に存分に馬脚を現していた。なぜその時に「大事」なことに気がつかないのだろうか!?ちなみに先代モデルが登場したのは2013年のこと。当時はこのモデルに限らず、ボルボV40(1.6Lターボ)やVWゴルフが一斉に発売され、カーメディアがにわかに「輸入Cセグ祭り」を繰り広げていた。そしてV40とゴルフに関しては福野さんは「絶賛」に近い高評価を与えている。V40のフォード・エコブーストは自然吸気並みに上まで回るスポーティユニットで、昨今の「お通夜モード」の染みったれターボとは全然違っていたし、「Cセグ=小型車」という概念をぶっ壊しすのに十分なフラット感がゴルフには備わっていたよ・・・。



大人の事情
V40やゴルフを絶賛している手前、どうしても同様の小排気量ターボにDCTを備える名門ブランドのCセグ車を批判できなかったのかもしれない。「クルマ評論2014」にその世代のモデルに関するレビューが出ているが、DCTの話は全く出てこない。先代も現行もDCTに関してはほぼ同様の不満はある。ハッキリ言ってしまえば日本メーカー車では絶対にありえないレベルの仕上がりだ。世界で一番ペダルフィールにうるさい私のような「MAZDAファン」が神経質過ぎるだけ何だろうけども、販売店に「ペダルがおかしいです・・・」とクレームを入れたくなるレベル。


2019年に壊滅したドイツブランド
ゴルフとボルボV40は絶賛したけど、それ以降の欧州メーカーに対しては「論外」だと完全に切り捨てるモデルがチラホラ見られる。単行本を年に数冊発売する類稀なる発信力を持つ「アマチュア」(非AJAJ)ライターの福野礼一郎さんの影響力はそりゃ凄いですよ。コロナ前夜の2019年の販売は福野さんが「論外」と断じた欧州ブランドを中心に、軒並み10%前後の販売減に追い込まれている。最初からそれほど期待もされずに(元々終わっている)、厳しいレビューが書かれることもなかったフランスのブランドは価格競争を制したこともありシェアを伸ばしているけど、有力なドイツブランドはポルシェ以外はさっぱり・・・福野さんの宣言通りに本当に「終わり」を迎えてしまった。



そんなに酷いか!?
「X2(448万円〜)」より「C-HR(236万円〜)」の方がいいですかね!?このマッチアップは6MTが配備されているC-HR支持の声も理解できるので微妙ですが、「XC40(396万円〜)」より「新型ハリアー(299万円〜)」の方がいいとは・・・うーんユーザー次第か。CVTはどんどん良くなっているらしいので、トヨタのクルマ作りを批判する前にもう一度じっくり乗ってみる必要があるかも。個人的な考えでは、決して福野さんが捲し上げるほど輸入ブランドの現実は悲惨ではない気がするし、福野さんが今更に叫ぶ内容は、それこそ俺が免許を取った20年くらい前から輸入車にずっと見られていた現象に過ぎない。



クルマはそんなにつまらないものではない
日本メーカー車が軽自動車から大型SUVに至るまで、「駆動シナプス」と言える領域で着実に進化を遂げていて、さらにボデーやエンジンを作るマテリアルにも恵まれているのは確かで、質感だけを見てしまうと日本メーカーの方が確実に有利であるし、特にこだわっている広島メーカーなどは軽く「チート」なレベルにある。・・・けどクルマの魅力ってそれだけじゃないと思う。すっかり「優等生」になった広島メーカー車には、ある種の迫力が失われているし、いちいちNVHやシナプス部分での不始末が気になるビーエムやアルファロメオの挙動も、なぜか再び乗ってみたいと感じてしまう不思議な魅力があったりする。すっかり「優等生」で「上から目線」になった福野レビューにもなんだか幻滅を感じてしまうわけだ・・・。








2020年4月24日金曜日

自動車評論にも「スローメディア」を!! 『福野礼一郎あれ以後全集8』



カーメディアに起きた大きな変化
モーターマガジンがWEB上で2006年頃の記事を載せている。まだそれほどトヨタのHVが売れておらず、ほとんどのクルマがまだNAエンジンだった時代ゆえに、自動車技術全般を読者にもわかりやすく伝えやすい。逆に言うと今の次世代技術はあまりにも複雑で、ユーザーの価値観も多様化してしまった中で説得力のある自動車レビューを書くのは難しそうだ。



アクセス数稼ぐためには・・・
自動車技術が複雑になったことに加え、ネットメディアの発達によって自動車レビューの質も大きく変わってきた。アクセス数を集めるために記事数は増やすことばかりに目的が置かれ、1つの記事の執筆に使う労力・時間は確実に減ったように見受けられる。複数のAJAJライターによる「レスポンス」の新型モデルレビューも、手持ち無沙汰な時間にスマホで見る「暇つぶし」というスタンスを守っているようで、徹底された省エネレビューが並んでいる。



MAZDA叩きはやめられない!!
中村孝仁というライターのここ半年くらいのレビューで目立つのは「MAZDAいじり」。別のメーカー車のレビューなのに「最新のMAZDA3よりずっといい」とか、カリスマ評論家・K沢さんのテクニックを研究して取り入れている跡が伺える。還暦を超えてさらに自動車ライターとしての影響力を高めるために、他の人の技術を盗む若手のような自己研鑽に励む姿勢にはただただ頭が下がる。



福野レビューの復活の年
先日発売された「福野礼一郎あれ以後全集8」を読んだ。2014〜2015年頃のレビュー集なのだが、2014年から「福野礼一郎・クルマ評論」というその年の主だった新型車のレビューをまとめたシリーズを発売し始めた頃に重なる。その第一号「クルマ評論2014」はリーマンショックを超えた自動車メーカーがそれぞれに創意工夫をした新モデルが集結し、日本市場でもよくクルマが売れた時期もあって、百花繚乱な内容。VWゴルフ、フォーカス、Sクラス、CLA、4シリーズ、レクサスIS、アテンザ、アクセラ、アウトランダーPHEV、レンジローバースポーツ、テスラモデルS・・・などなど。レクサスがビーエムを超えた!!、VWゴルフは神!!、MAZDAはスゲーことになってる!!と明確なメッセージが盛りだくさんで読み応えがあった。



BMW叩きはやめられない!!
「あれ以後全集8」は、「クルマ評論2014」直後の時期に書かれたレビューを集めたものだけど、意図的にだろうかこの時期から日本市場で苦戦が顕在化するビーエムに関するレビューを中心にまとめられている。読んでいない人にもあらかた結露がわかってしまうかもしれないが、i8と2シリーズアクティブツアラーの物議を醸した2台が中心なのだけど、BMWの他のモデルやMINIブランドと幅広く共通化されたモジュラーエンジンに対しての批判が手厳しい。2シリーズアクティブツアラーはシトロエンC4ピカソとの比較では、ディーゼルの218dでは上回るけど、ガソリンの218iでははっきり「下」だとジャッジしている。


複雑な数式を出す理由
福野さんの病的なまでに複雑なパラメータ計算で示される結果に過ぎない。乗り心地の数値は前席と後席では評価が逆転していることすらある。ラグジュアリーブランドの下位グレードモデルでは、前席の乗り心地はまずまずなのに、後席の乗り心地は異常に悪いことが多かったりする。5年前にリアルタイムで読んでいる時は、この数字の羅列に辟易していたが、今改めて読んでみると、なるほど読者に「自分で考えろ!!」と言いたいのだろうな。


最後は読者に判断してもらう配慮
ある程度は読者の気を引くために、福野さんも人気ブランドのBMWなどを悪辣に評価するポーズこそ見られるけど、ディーゼルエンジンと8AT(ZF8HP)には最大限の賛辞を送っている。福野さん本人も再三に述べているけど、1台のクルマの中にあらゆる毀誉褒貶が含まれることが多い。どのメーカーも「勝負するところ」と「ごまかすところ」を開発段階で取捨選択するのは当たり前のことであり、様々なパラメータを設定することでこの秘密の判断を解析しようという姿勢こそが、自らのレビューが絶対的に正しくはない、驕りをなくすために、考えられた方法論なのだと思う。



罵声メディア
読者が行動する(考える・クルマを購入する)ようになるレビューこそが、自動車メディアの本来の価値なのだけど、K沢、W辺陽一郎といったAJAJ会員のレビューを読んで人々は行動するとは思えない。気に入らないメーカーの経営方針をひたすらに批判し、その勢いのままに新型モデルをケチョンケチョンに叩く。ただひたすらに「MAZDAはありえない!!」と言いたいだけなのだろう。アクセス数稼ぎが至上命題なのだからブレた正義感を晒す余裕など全くない。そんな結論ありきのレビューは2019年にはよく見られた光景だ。繰り返し行われたので、さぞかしファストメディアとしてアクセス数を稼ぐことには大きく貢献したのだろう。



MAZDAとBMWの違い
「ファストメディア」のトレンドは圧倒的にMAZDA叩きなのに対して、「スローメディア」のトレンドはBMW叩き!?いやBMWの良さを十分に評価した上で違和感がある部分を分析した上で、様々なパラメータを勘案して、BMWの変調を警告するのは、よほどの字数でじっくりと論理を構築しないとまず理解してもらえない。「地獄」「クロノス」などのパワーワードだけで、あっさりと思考停止(脳死)している連中を笑わせることができるMAZDAとは違って、まだまだBMWはそんな段階には至っていない。



還暦にもなって「いいね!」を押すな
K沢、W辺のMAZDA叩きに対して必死で「いいね!」を押してるだけの中村孝仁の「中身のないレビュー」は、失礼ながら還暦くらいのオッサンが飲み屋だったりヤフコメで調子に乗って書いているレベルだ。雑誌媒体のカーメディアにしろ、「ファストメディア」にしろ、クルマの未来を切り開くことは無理だと思う。サブスクという言葉が一般化されつつあるが、「スローメディア」を代表するライター沢村慎太朗さんのメルマガが、その先駆的なスタイルだったようだ。ユーチューバーもいいけど、サブスクを利用した「スローメディア」がカーメディアにおいてももう少し広がっていくと面白いとは思う。






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