島下泰久さんが酷評した デザイン評価「1」のクルマとは・・・
島下泰久さんが故・徳大寺有恒さんから引き継いだ「間違いだらけのクルマ選び」シリーズです。最初に言っておきますが、この本はクルマ選びにはそれなりに役立つものだと思います。素人にはわかりにくいポイントにうまく言及できている「痒い所に手が届く解説」が続きます・・・さすがは超一流の売れっ子ライター!!! この本を読んだ多く読者にとってはそれぞれのクルマのイメージが読む前とはだいぶ変わったりするのではないでしょうか。ぜひ来年以降も末長く続けて頂きたいものです(楽しみにしてます!)。
このシリーズの巻末に必ず付いているのが、掲載されたクルマの「採点表」なるものです。徳大寺さんが始めたものとはいえ、これだけカーメディアの情報統制が厳しいなかで、全国の書店に流通するレベルの本でここまで「ハッキリ」と各モデルを得点化して、クルマの相対的な評価を周知させているのはこのシリーズだけでしょうね。ニューモデルマガジンXで西川(淳)さん達が無邪気にクルマの総合点を100点満点でザックリ(無責任に)採点してますけど、この本では細かく分けられた各要素ごとに1〜10でハッキリと「成績」が付けられています。
その要素項目の中で最も上に書かれているのが「デザイン」です。これは女性の容姿を10段階で評定している!?そんな「背徳感」にも似た高揚感があります!!!。じっくり見入っていると「それは・・・島下さんの好みでしょ!」とツッコミを入れたくなるようなところも多々あります。挙げ足獲りを承知で挙げれば・・・GT-R「6」フェアレディZ「9」の採点にはちょっと首を捻りたいです。先代のZ33なら納得ですけど・・・。さらにジューク「8」ヴェゼル「4」というなかなかアヴァンギャルドな評価も飛び出します。ゴ◯ブリ「8」に対してガ◯ダム「4」ですか・・・。
他にもミライ「6」に対してレヴォーグが「4」だったり、寸評に「似た者の多いKカーの中では異色の個性アリ」と書いておきながらN-ONEが「5」に留まったり、そしてそれに対してタント「8」ウェイク「7」など違和感というべきか不可解というべきか・・・。そうやってツッコミを入れて楽しむ読者への配慮(演出)だとしたら、あまり気分はよくないですけど、十二分に楽しませてもらっています。
今年掲載されたラインナップで、見事に島下さんのハートを捉えたデザイン「10」のクルマを挙げると、「アルト」「シエンタ」「S660」です。確かに3台とも「がんばった!」と絶賛してあげたくなる力作ぞろいですね。もっとも異論はいくらでもあると思います。「3台とも欲しくない(乗りたくない)!」という人は山ほどいるでしょう。「10」だからといって、誰もが一目惚れして欲しくなるクルマというわけにはいかないです。そもそも職業ライターになると、クルマなんて見飽きてしまっていて、「目新しさ」に大きなウエイトが置かれているのかもしれません。
さてその一方で、島下さんの逆鱗に触れてしまったデザイン「1」のクルマとは? 1台目は日産「マーチ」だそうです。この4代目マーチ(マイクラ)のデザインは海外では結構人気あるみたいですけどね。日本市場だけでの印象だと、やはり先代(3代目)のデザインがあまりにも偉大過ぎた!というのが評価が低い理由かな?という気がします。カルロス=ゴーン社長就任とともに日産デザインの全権を預かるようになった、「カリスマデザイナー」こと中村史郎氏が日産で初めてデザインチーフを務めたクルマがこの3代目マーチなんだそうです。
ご本人が解説されているように、「草食動物」の瞳を連想させるヘッドライトを意図的に配することで「かわいさ」を表現して女性客を取り込むという手法が、このクルマから確立されたらしいです。言うまでもないですが、先代デミオで名を挙げたマツダの前田さんや、新生ルノーデザインが冴え渡るヴァン=デン=アッカーさんが、この手法を取り入れてます。
そんな自他共に認める「名デザイン」の先代モデルから比べれば、現行マーチはどうも中途半端なイメージですね。ユーザーの間からも「かわいさが半減した・・・」という素っ気ないリアクションが出ているようです。中村史郎さんがその著書「ニホンのクルマのカタチの話」でこの4代目のデザインについても「言い訳」をしていますが、どうやら本格的に東南アジアでの販売を視野に入れて開発されたため、やや男性的な要素を入れた結果・・・こうなってしまったようです。マーケティング的には最善を尽くしたそうです・・・。
さてデザイン「1」のもう一台は・・・トヨタ「クラウンアスリート」です。このクルマは、そんなにダメですか? レクサスGSが「9」なのにクラウンアスリートが「1」というのもなんだかな〜・・・。セダン本来の繊細な美しさを表現出来ているのは、クラウンアスリートの方だと思うんですけどね。GSが採用している「ファストバック=スタイル」は2016年の感覚だと「時代遅れ」な感じがします。2007年くらいから目立ちはじめましたけど、高級サルーン・デザインにおける「普遍性」は獲得できなかったですし、もはやこれは乗ってて恥ずかしいだろ!って思うのですが(完全に私自身の好みの問題ですが)。
日本車とドイツ車で集中的に使われたことで、スタイルの陳腐化が加速しました。「メルセデスCLS」「アウディA7」「ポルシェ・パナメーラ」「日産フーガ」「レクサスGS」など名だたる高級サルーンで採用されている「ファストバック=スタイル」は、居住性とデザインを両立させる手法だそうですが、「メタボ」に見えるデザイン面では褒められたもんじゃないです。すっかりメタボデザインが板に付いた「BMW6シリーズ」もこの仲間です。そしてこのスタイルが「ダサい」ことを決定付けたモデルが「フェラーリ・フォー」というFRの4座サルーンです。このクルマの影響はデカいっす(笑)。
島下さんは走りに関してはGSがクラス最良!クラウンは最低!という評価をしていますが、その感情がそのままデザインにまで及んでしまっているのかな? 日本で売られるセダンがぜんぶファストバックになってしまったら、とってもとっても悲しいです。やたらワイドで、しかもボディが厚くて、空気でパンパンに膨らましたようなデザインにしか見えない。クルマのデザインもメタボだけど、乗っているオッサンとその家族もメタボ・・・(完全に悪口)。その一方で街行くクラウンアスリートには節制して身だしなみも小綺麗な好々爺が乗っていて・・・。レクサスではなかなか感じられない「侘び寂び」が効いたデザインだなとアスリートを見かけるたびに思いますよ。
全くの余談ですが・・・まだ発売がアナウンスされたばかりのアウディA4は、先代と変わらないデザインのせいか「5」となっています。スカイライン「7」レクサスIS「8」といったライバルより低いのですけど、なんだかこのクルマが気になって仕方ないです。この本読んだらさらに欲しくなりました。変に「目立たないデザイン」の良さってヤツですかね・・・。
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このシリーズの巻末に必ず付いているのが、掲載されたクルマの「採点表」なるものです。徳大寺さんが始めたものとはいえ、これだけカーメディアの情報統制が厳しいなかで、全国の書店に流通するレベルの本でここまで「ハッキリ」と各モデルを得点化して、クルマの相対的な評価を周知させているのはこのシリーズだけでしょうね。ニューモデルマガジンXで西川(淳)さん達が無邪気にクルマの総合点を100点満点でザックリ(無責任に)採点してますけど、この本では細かく分けられた各要素ごとに1〜10でハッキリと「成績」が付けられています。
その要素項目の中で最も上に書かれているのが「デザイン」です。これは女性の容姿を10段階で評定している!?そんな「背徳感」にも似た高揚感があります!!!。じっくり見入っていると「それは・・・島下さんの好みでしょ!」とツッコミを入れたくなるようなところも多々あります。挙げ足獲りを承知で挙げれば・・・GT-R「6」フェアレディZ「9」の採点にはちょっと首を捻りたいです。先代のZ33なら納得ですけど・・・。さらにジューク「8」ヴェゼル「4」というなかなかアヴァンギャルドな評価も飛び出します。ゴ◯ブリ「8」に対してガ◯ダム「4」ですか・・・。
他にもミライ「6」に対してレヴォーグが「4」だったり、寸評に「似た者の多いKカーの中では異色の個性アリ」と書いておきながらN-ONEが「5」に留まったり、そしてそれに対してタント「8」ウェイク「7」など違和感というべきか不可解というべきか・・・。そうやってツッコミを入れて楽しむ読者への配慮(演出)だとしたら、あまり気分はよくないですけど、十二分に楽しませてもらっています。
今年掲載されたラインナップで、見事に島下さんのハートを捉えたデザイン「10」のクルマを挙げると、「アルト」「シエンタ」「S660」です。確かに3台とも「がんばった!」と絶賛してあげたくなる力作ぞろいですね。もっとも異論はいくらでもあると思います。「3台とも欲しくない(乗りたくない)!」という人は山ほどいるでしょう。「10」だからといって、誰もが一目惚れして欲しくなるクルマというわけにはいかないです。そもそも職業ライターになると、クルマなんて見飽きてしまっていて、「目新しさ」に大きなウエイトが置かれているのかもしれません。
さてその一方で、島下さんの逆鱗に触れてしまったデザイン「1」のクルマとは? 1台目は日産「マーチ」だそうです。この4代目マーチ(マイクラ)のデザインは海外では結構人気あるみたいですけどね。日本市場だけでの印象だと、やはり先代(3代目)のデザインがあまりにも偉大過ぎた!というのが評価が低い理由かな?という気がします。カルロス=ゴーン社長就任とともに日産デザインの全権を預かるようになった、「カリスマデザイナー」こと中村史郎氏が日産で初めてデザインチーフを務めたクルマがこの3代目マーチなんだそうです。
ご本人が解説されているように、「草食動物」の瞳を連想させるヘッドライトを意図的に配することで「かわいさ」を表現して女性客を取り込むという手法が、このクルマから確立されたらしいです。言うまでもないですが、先代デミオで名を挙げたマツダの前田さんや、新生ルノーデザインが冴え渡るヴァン=デン=アッカーさんが、この手法を取り入れてます。
そんな自他共に認める「名デザイン」の先代モデルから比べれば、現行マーチはどうも中途半端なイメージですね。ユーザーの間からも「かわいさが半減した・・・」という素っ気ないリアクションが出ているようです。中村史郎さんがその著書「ニホンのクルマのカタチの話」でこの4代目のデザインについても「言い訳」をしていますが、どうやら本格的に東南アジアでの販売を視野に入れて開発されたため、やや男性的な要素を入れた結果・・・こうなってしまったようです。マーケティング的には最善を尽くしたそうです・・・。
さてデザイン「1」のもう一台は・・・トヨタ「クラウンアスリート」です。このクルマは、そんなにダメですか? レクサスGSが「9」なのにクラウンアスリートが「1」というのもなんだかな〜・・・。セダン本来の繊細な美しさを表現出来ているのは、クラウンアスリートの方だと思うんですけどね。GSが採用している「ファストバック=スタイル」は2016年の感覚だと「時代遅れ」な感じがします。2007年くらいから目立ちはじめましたけど、高級サルーン・デザインにおける「普遍性」は獲得できなかったですし、もはやこれは乗ってて恥ずかしいだろ!って思うのですが(完全に私自身の好みの問題ですが)。
日本車とドイツ車で集中的に使われたことで、スタイルの陳腐化が加速しました。「メルセデスCLS」「アウディA7」「ポルシェ・パナメーラ」「日産フーガ」「レクサスGS」など名だたる高級サルーンで採用されている「ファストバック=スタイル」は、居住性とデザインを両立させる手法だそうですが、「メタボ」に見えるデザイン面では褒められたもんじゃないです。すっかりメタボデザインが板に付いた「BMW6シリーズ」もこの仲間です。そしてこのスタイルが「ダサい」ことを決定付けたモデルが「フェラーリ・フォー」というFRの4座サルーンです。このクルマの影響はデカいっす(笑)。
島下さんは走りに関してはGSがクラス最良!クラウンは最低!という評価をしていますが、その感情がそのままデザインにまで及んでしまっているのかな? 日本で売られるセダンがぜんぶファストバックになってしまったら、とってもとっても悲しいです。やたらワイドで、しかもボディが厚くて、空気でパンパンに膨らましたようなデザインにしか見えない。クルマのデザインもメタボだけど、乗っているオッサンとその家族もメタボ・・・(完全に悪口)。その一方で街行くクラウンアスリートには節制して身だしなみも小綺麗な好々爺が乗っていて・・・。レクサスではなかなか感じられない「侘び寂び」が効いたデザインだなとアスリートを見かけるたびに思いますよ。
全くの余談ですが・・・まだ発売がアナウンスされたばかりのアウディA4は、先代と変わらないデザインのせいか「5」となっています。スカイライン「7」レクサスIS「8」といったライバルより低いのですけど、なんだかこのクルマが気になって仕方ないです。この本読んだらさらに欲しくなりました。変に「目立たないデザイン」の良さってヤツですかね・・・。
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