高給トヨタへのジェラシー・・・だけでは何も始まらない。

令和のオッサンは一味違う!?

「N-BOX買うくらいならVWゴルフを買え!!」
「アイシンAWのトルコンATは国内向け、国外向けで精度が違う!!」
「N-BOXもCX-5も落第点!!」
・・・などなど、えげつないくらいに国内メーカーに対して「ルサンチマン」全開の麻薬のような集団レビューを定期的に発信しているニューモデルマガジンXですけども、そんなカーメディア稼業もいよいよ潮時かも。読者層の多くはキャリアの限界に目処がついて、挙げ句の果てに国から2000万円の老後向け貯蓄まで推奨されてしまっては、もうカーメディアを読む目も虚ろになるよ。


久々に切れ味を見せた!?

彼らがターニングポイントを悟ったかどーかはわからないけど、最新号では割とまともな「自己主張」を展開していた。「新型Z4のホイールベースが短すぎる!!」という言い分の正当性なんて素人には全くわからないですけど、「直6エンジンを縦置きするFRのスポーツカー」と限定するならば、まあわからなくもないかも。「2470mm」という異例のホイールベース短縮で、歴代の王道スポーツカーの領域(ど真ん中?)に飛び込んできたスープラ&Z4は、トヨタの狂信的な役員や開発者連中が頭の中で設計しただけの「非スポーツカー」だと堂々と言ってのけた(全員が匿名はともかく・・・)。


オッサンはスポーツカーが好きだ

どーでもいいファミリーカーを彼らが集団匿名レビューすると、まあ仕方のないことだけど、匿名ゆえにプロ意識などあるはずもなく、とことん「やる気のなさ」を感じるだけだ。MAZDAやホンダのえげつないクオリティの新型モデルに接した時は、苦し紛れでアクロバティックな「とんでも論」を恥ずかしげもなく展開する。絶好調の二代目N-BOXにも、大成功の初代よりもさらに着実にレベルアップCX-5にもひねり出したイチャモンで、「星2つ」という激レアな落第点を付けていたけど、レビューの内容は全く支離滅裂だった。それに対して今回の新型Z4ははるかに元気がいい。リトラクタブルハードトップがなくなり、いよいよ日本市場にとって全くどーでもいいモデルになった新型Z4ゆえに日頃の鬱憤を晴らすかのように、BMWとトヨタだけでなく自動車業界全体に向けて機関銃をぶっ放している。間違いなく爆薬量はここ数年のこのコーナーでは最高レベルである・・・。


オッサンたちの薄ら寒い「都市伝説」

60歳くらいのオッサンたちが集まって「〇〇が素晴らしいってのは完全に都市伝説だよな!!」「そーだそーだ」と盛り上がっている光景は微笑ましいのだろうか!?肝心の〇〇に当てはまる今回出されたワードは・・・「直列6気筒」「ホイールベースが短いとよく曲がる」「50:50の前後重量配分」。3つのうち2つがビーエムとその無邪気なファンの顔面にクリティカルヒット!?なのかもしれないが、2000年以前に直6の安全性の欠点は広く知られているし(最近は改善したらしい)、過給や排気における瑕疵もたびたび指摘されてきた。50:50の前後重量配分にしてもその実効性は専門家によって疑問視されていたし、「安定したトラクション」という観点でビーエム車が他ブランドに違いを見せていた形跡はない。むしろ欠点が露呈するケースの方が多かった。


商業的に正しいこと

「直6」と「50:50」はビーエムのアイデンティティとして、無邪気なビーエムファンが得意げに口にする常套句であり、それを聞かされた周囲は彼の気分を害さないように微笑ましく見守りつつ、このオッサンは何もわかってないと内心ではバカにしていたはず。自動車評論ではとっくに使われなくなった「死語」でもある(センスが命の女性ライターはまず使わないな)。BMWは無邪気なファンの忠誠心を高め、所有欲を満たしてもらうために発信するメッセージ(標語)として使っているけど、ビーエム自身もそれが正しくないことは百も承知なんだろう。メルセデスやレクサスに対抗するブランディングメッセージとして、技術的ではなく商業的に効果があるので使い続けているだけだ。そんな手垢まみれのネタを今更に、暴露でもなんでもないレベルの話で盛り上がる還暦のオッサン達の社会的メタ認知は相変わらず危機的な状況だ。このオッサンたちも無邪気な読者へのクリティカルメッセージとして商業的に使っているという意味でビーエムと同罪だ。このレビュー自体が都市伝説と断定されても仕方ないよな・・・。


日本全体のメタ認知が危機的なのかもしれない

このオッサンたちの主張が間違っているというわけではない。このオッサンたちが不意打ちをかましていい気になっているビーエムが発信する「偽善的」なメッセージと同じようなレベルのコミュニケーションしかできていない構造が笑えると言っているだけだ。繰り返すけど間違っていると断言はしていない。そもそも日本においてマスメディアあるいは出版/ウェブを使って発信される情報の信用度はかつてないほど落ちている。例えば今年になって発売された野村証券エコノミスト・木内登英という人が書いた「世界経済、最後の審判」という本を読んで唖然とした。池上さんが子供向けに発信する「中国の影響力は脅威だ!!」くらいの結論しか出ていない。


劣化日本人の書く文章は眉唾だ(このブログも!!)

そればかりか本文の中で「トランプ政権になってからアメリカの財政出動が多くなり公債残高が急激に増えていて警戒水域にある」みたいなことが書いてある。今頃は筆者は赤っ恥だろう。MMT(モダン・マネタリー・セオリー)を持ち出すまでもなく、トランプ政権の強権的な財政出動は一定の理解が得られている。すでに日本も真似すべきだ!!という議論が各所から噴出しているし、FRB議長もわざわざ日本のために「消費増税を回避して財政出動を強行するために国債発行残高を増やせ」とありがたいコメントをしてくれている。野村証券の看板を背負ったエコノミストの単行本を毎日新聞出版が出しているわけだが、日本のエリートだと自認している連中でさえこれほどの失態(メタ認知の欠陥を晒す)を平気で犯してしまう。安易な決めつけは禁物だけども、木内さんが「本物のエリート」だとするならば「FRB議長の善意の警告」に対しても十分な反論を添えて、その上でトランプ批判を展開すべきだと思うが・・・。


自動車レビューなんてどーでもいい

ちょっと話が飛躍してしまったけども、ひと昔前にテレビで台本通りに神田うのが「国の借金を返すためにお札をたくさん発行すればいいじゃん」と発言すると、すかさず文化人気取りのそのまんま東だか宮崎哲也みたいな連中が「そんなことしたら戦後のドイツのようにハイパーインフレになるよ」とツッコミを入れるみたいなことがあったけど、現在では神田うのの発言が正しいのでは!?という時代に変わってきている。少なくともドイツのハイパーインフレは極度の供給不足によるものなので、慢性的な供給過多から起きるデフレに悩む現在の日本と同列に扱ってはいけない。内閣参与を務めた挙句、昨年末に増税反対で辞任した藤井聡氏などは自著で「平成の30年に起こったミスリード」について実際の金融政策の実効性を説明しているけど、平成の「政治」ってのは今更ながらアマチュアであり茶番だ。それでも藤井氏の反対表明も届かぬまま財務省主導の地獄の増税へと突き進む・・・平成の反省は生かされないのか!?


ビーエムは悪くない

国政を預かる指導者と官僚、あるいはエリートを自認するエコノミストやマスコミ関係者の「勘違い」「固定観念」「勉強不足」に振り回された悪夢の平成に比べれば、BMWに踊らされたオッサンたちの青春なんてそれほど悪いものではないだろう。平成とともに日本メーカーは世界で暴れ回り、他国のメーカーは次々に廃業したけども、日本メーカー無双の時代に、日本市場で一番活躍したのはビーエムじゃん。何も考えない日本のオッサン向けに作った標語「シルキーシックス」「50対50の重量配分」というお題目だけで、乗り切れるほど自動車産業は甘くない。バブルの青天井予算を使って作られたクレイジーな日本車と渡り合うだけの「秘伝」だか「核心的」だかな技術的アドバンテージはあっただろうし、免許取り立ての2000年くらいのBMW特にE39系は眩しかった!!


考えない平成人間・・・という標語が生まれる!?

BMWにとって大誤算だったのは、日本の自動車ライターのほとんどが、BMWが商業的に使っていた頭弱いユーザー向けの標語を真に受けてレビューを書くことだ。なぜ日本人ライターは考えることを放棄するのか!?全員がそうだとは思わない。けど結局のところは福野礼一郎と沢村慎太朗の2人だけだ。そしてこの2人のレビューからは他の何も考えないライターたちへの軽蔑一色に塗り固められた侮辱がしばしば登場する。決して楽しんで批判をしているわけではないし、自分は偉いんだ!!という意味はほとんどないだろう。自動車メディアの議論があまりに空虚で担う人々の能力不足はいかんともしがたいレベルである、この2人の同業者への批判の99%を占めるものは絶望感であり危機感であったはず。


日本のファンが失墜させた日本でのビーエムの価値

そして二人の危惧は現実のものになった。何も考えないカーメディアがミスリードした結果、標語レベルでしかビーエムを理解しない「愚人」がファンだと自称して私のゴミブログにまでコメントをよこす始末。あまりのステレオタイプさに、からかい半分に「直6」「50対50」がビーエムの真価ではないよ!!と何度呼びかけたことか・・・。平成の30年で労働所得が大きく落ち込んでいる日本で、ビーエムの現状は限りなく逆風だ。まさかX5があんな形で有名になるとは・・・。公道で見かけるX5のドライバーは大概はマナーが良い。ビーエムではX5が一番道を譲ってくれる(気がする)。一番最悪なのは5シリーズのユーザーかな!?


結論は出ない・・・

話を元に戻すと、今回のニューモデルマガジンXの新型Z4の集団匿名レビューは「歯切れがいい」という意味では良かったと思う。直6のFRスポーツカーなんてZ4とスープラしかないけどさ。同じく6つのシリンダーを縦に並べたFRならばフェラーリやアストンマーティンのV12モデルがあってそれぞれ2700〜2800mmくらいのホイールベースを使っている。ミッドV8のフェラーリが2400mm前後のホイールベースに収まっていたのは308/328GTB(1990年代)の話だ。360モデナですでに2600mmに達している。ただし360以降のミッドシップのフェラーリはスポーツカーとしての意義を大きく損なった!?とか言われている。その問題作360モデナに大きな影響を与えたとされるのがホンダの初代NSXなのは明白だ。


バカにせざるを得ない状況は辛い

ポルシェは現行の991が2450mmなのだけど、トヨタがBMWを説得する過程で「ポルシェの牙城に迫る」という甘言が含められていたのだろう。RRにがんじがらめの911シリーズに対して、同程度の四輪ディメンジョンを採用すれば互角以上の運動性能を引き出すことができる!!・・・てのがオッサン軍団が批判の矛先にしているトヨタの狂信的な幹部連中なんだそうだ。トヨタの言い分もわかる気がするし、オッサン連中の批判が間違いだと断定するつもりもない。・・・けど一つだけ言えることはタイトルにもある通り、レビュー全編に渡って、最初からごくごくよく知られたレベルの「都市伝説」認定の連発と、トヨタ幹部としてクルマを作っている連中に対する「みっともない僻み」が全くごまかせていない救いようのないコンテンツだ。自律神経が崩壊していて美的センスの欠如した文面には、今後のカーメディアに受け渡す貴重なバトンなどあるはずもない。最初から期待などしてないけど全く建設的ではない。ただただ振りかざした拳の空振り具合がいつもよりパワフルだな・・・って話。いやFRスポーツカーを考えるちょっとしたきっかけにはなったかも。







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