これがAJAJ会員の自動車レビューか!?  新型 スズキ・ハスラー








2代目ハスラー
突然の逆風の中でもがき苦しみつつも掴んだ栄光。2014年に登場した初代ハスラーの成功は、あらゆる意味でスズキに勇気を与えたと思う。小型車開発において「世界の頂点」にあるダイハツの「猛攻」を跳ね返し、そのダイハツをベンチマークして2011年に登場した「伝説」のN-BOXがKカー市場で爆風を起こす中で、十二分に存在感を示した。2010年代の日本のKカー市場は拡大傾向にあったとはいえ、過当競争を超えた「異常」な状況だった。さらにスズキを襲ったのは某ドイツメーカーに裏で買収された全カーメディアから非難の嵐だったこと(AJAJを除名された某ライターによって大規模なスキャンダルが露見)。


英雄譚
ダイハツは小型車メーカーとしては名実ともに世界一だ。三菱の技術供与を受けていたマレーシアの国営メーカーであるプロトンは、成長するASEAN市場を背景に21世紀に大いなる飛躍をすると思われたが、なんとダイハツと提携する民間企業のプロドアが国内市場を席巻してしまう。世界を動かしつつあるアジアの政府系ファンドとしては、中国、香港、シンガポール、サウジ、クウェート、カタール、ドバイに次ぐ規模を誇るマレーシア「カザナ・ナショナル」の全面支援を受けるプロトンを、100対0の完全勝利でブチ破ったダイハツの技術力は凄まじい。まあ大雑把に言ってしまえばメルセデス・スマートと同設計のプロトンに対して、Kカーの次元を超えた!!と評判のムーヴを持ち込めばそりゃ圧勝するでしょうけど・・・。


何で!?
そんな無敵のダイハツに、日本市場において完全勝利してしまったホンダN-BOXの実力は「世界の頂点」をさらに超えて「反則レベル」だ。1980年代に北米ビッグ3に「チートだ!!」と言わせたホンダの真髄がKカー市場でも炸裂した。初代ハスラーとは、そんな「世界チャンピオン」と「影のチャンピオン」を相手に、80歳にもなるカリスマ創業者が社長に復帰し、倒産覚悟の背水の陣で全てを賭けて挑んだ戦いだ。その「スピリッツ」にただただ感動の涙を流すべき新生スズキを象徴する一台だ。そんな「伝説」を受け継ぐ後継モデルであり、Mハイブリッド&CVTで全モデルを統一してきた2代目は一体どんな作戦で「頂上決戦」に挑むのか!?・・・と期待してAJAJ会員中村孝仁氏のレビューを開いたら、なんじゃこりゃ!?「エンジンスペックが低い」の話を延々と繰り広げている。規制ガチガチのKカーのユニットをアレコレ語る前に、いくらでも言うべきことはあるだろうに。ホンダの参戦以降に7000rpmもぶん回すハイスペック時代に突入した「Kカーの闇」にスズキがメスを入れた!!で済む話だと思うが・・・。


ユーザーは迷う必要なし!!
ホンダやダイハツのNAユニットが58psでスズキの新開発ユニットが49psでなぜ同じじゃないんだ!?という問題提起自体は納得できるんですけど、AJAJ会員でありながら、スズキとホンダ&ダイハツのKカーの方向性の違いがまるでわかっていないようだ。スズキの売れ筋はハスラーを含め900kg以下に収まるモデルが中心なのに対して、ホンダやダイハツは車重で乗り心地やNVHを向上させようとしているので1000kgを超えるモデルがよく売れている。ボリュームゾーンを考えてエンジンのスペックを考えるのは当たり前だろうに・・・。


この人は本当にAJAJ会員なのか!?(名前貸し?)
最もびっくりしたのは、全モデルがMハイブリッドになっているため、ダイナモとしての役割を果たすのでエンジンの負荷を抑えるためにデチューンしているという素人目線でも余裕でわかることが一切言及されていないことだ。慌てて書いたので気がつかなかったのかもしれない。この程度のミスをするライターなど腐る程たくさんいるのだから目くじらを立てる方が悪いのかもしれない。正直に言ってしまえば、この中村孝仁というライターがちょっと前に書いた他のレビューにもあれこれとツッコミどころが散見されたので、今度こそは叩いてやろうという気持ちがあった。



こんなミスをする!?
この人のCX-30のレビューにおいて、荷室の比較が行われていたが、「CセグSUVのライバルであるティグアンやプジョー3008と比べて劣っているマツダの努力がまだまだ足りない」とか結論していた。いうまでもないがマツダのCセグSUVの本流は世界のCセグSUVを多くの市場で軽く蹴散らした伝説のCX-5である。この辺の「区分」に関しては免許取ったばかりの若いユーチューバーの方がよっぽどわきまえているのではないだろうか!? スズキにしろマツダにしろ自動車開発においては世界から一目置かれている「一流メーカー」である。デチューンにしろ、荷室容量にしろ、全て意味があって設定している。そんな部分で素人がゴチャゴチャと理屈をこねる必要などないのだが・・・。


「自分は偉い」と言いたいだけの不快レビューは叩かれる
それでも日本メーカー車の仕様についてアレコレ書いて、「老害」とか罵られてしまうAJAJライターが後を絶たない。アンチに火をつけてしまうその手のレビューをわざと書いているってのが唯一の合理的な理由だが、AJAJの看板を背負ってやるべきことだとは思わない。「こんな日本車わたしレベルの高貴な人は乗りませんよ!!」と主張したいだけの、ポジショントーク=マウンティングレビューにも見えてしまう。私が知ったことではないけども、掲載しているメディア媒体にも非常に悪いイメージがついてしまうと思うのだけど。





そもそもレビューが書かれる「商品」とは!?
レビューを通してユーザーがイメージを膨らませて購入を決める「商品」は自動車以外にも色々ある。簡単に言ってしまえば「趣味」の領域にあるもの、本・CD・カメラ・高級酒(ウイスキーやワイン)・高級自転車などなど、そこそこの出費を伴うけども享受するものも大きい(期待値が大きい)という特徴がある。レビューを通じてユーザーは、判別しかねるその商品の価値を多面的に考えることができる。さらにレビューに読む価値が生まれるのはその「商品」がある程度の歴史を持っているものが多い。


初心者に優しくない・・・
自動車はその中でも最も売上が大きく、製造しているメーカーはどこも日本トップクラスの大企業ばかりだ。レビューが流通する量も必然的に多い。しかしどれだけのユーザーが、1980年に世界のトップになった日本の自動車産業の歴史について語ることができているか!?免許を取ったばかりの若者が手軽に「自動車発展の歴史」を自力で辿るだけの資料すら多くはない。数ある自動車雑誌を1年間読んで見ても、結論を言ってしまえば「欧州車はいいね!!日本車は残念だね・・・」を繰り返し唱えているだけで、具体的に欧州車の何がいいのか!?日本車はどこがダメなのか!?は判別しない。



後世に何を残すべきか!?
せめてもの救いは、単行本で発行が続いている沢村慎太朗の「午前零時の自動車評論」と福野礼一郎の「福野礼一郎・クルマ評論」「福野礼一郎・あれ以後全集」の発売が2010年以降に継続されていることだろうか。雑誌ベース・WEBベースのカーメディアが崩壊しつつある中で、過去50年ほどの自動車産業が積み上げてきた「価値」を、決してオーバーシュートすることなく淡々と記述してくれている。「クルマの良し悪しがすぐにわかるようになりたい」という18歳にぜひオススメしたいシリーズだ。価格帯を問わずに楽しいカーライフへと導いてくれるモデルを見つける手助けになると思う。



AJAJ会員でなくても・・・
沢村氏も福野氏も「AJAJ会員」ではない。つまり立場としてはプロではない「素人」であり、出版社レベルでその能力が認知されている「読モ」みたいなものだ。「アマチュア」ながらも、若者が参考にできる自動車評論集がほとんどない「ゴミ」みたいな現状を憂いて、体と脳が動くうちにできる限りのものを残してあげたい・・・という老婆心で精力的に活動を続けてくれているようだ。バブル期の日本車など全くわからない世代からすれば、ただただ「感謝」しかない。この両者の単行本を読んできたので自然と「クルマを考えるアプローチ」なるものが身についた気がする。あとはスペック表だったり試乗したりする際に、日本車もドイツ車も「何を狙って設計されているか」ってことがよくわかるようになる。直接にお礼を言う機会もなさそうなので、せめて単行本は全て買わせていただきます。





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