池田直渡さんにリアクションを!!



 


応援してます

AJAJ所属の池田直渡さんに対してネガティブな意見を発することが多かったが、個人的にはカーメディア全体においても有為な評論家の1人だと思っている。小沢コージさんのユーチューブチャンネルで共著「EV推進の罠」の存在を知り、読んでみたところあまりにお粗末な内容だったので、このブログにて「読書感想文」投稿をした。


発売から半年くらいが経過したタイミングであったにも関わらず、夜遅くに投稿した記事への反論が翌日の午前中には出されていた。さすがはプロのライターというべきか、恐るべき情報処理能力に唖然とした。その際にツイッター経由で池田SNS(NOTE)の存在を知った。「おじさん構文」ならぬ「おじさん(自称インテリ)の内向きブログ」で、暇じゃない限りは読まない方がいい。軽く鬱気味の人向けには気が効いている内容かも。



クルマ愛の欠如!?


池田さんのレビューはさまざまな媒体で読むことができる。勝手な思い込みかもしれないが、この人のレビューはクルマが好きな人ほどどこか相容れないものを感じてしまう。理由は様々考えられるが、読んでいて一番気になることは、池田さんにとっての理想のクルマ像が存在しないのではないか?という疑念だ。「99%のクルマはバカにしか刺さらない」とか思っているのかな!?


クルマ愛は全然伝わってこないのに、トヨタやMAZDAの幹部が度々演説するような「国内産業維持」の政治的プロパガンダに与する姿勢だけが出てしまっているから、そりゃ眉をひそめる人もたくさん出てくる。メルセデス、BMW、テスラといったプレミアムカテゴリーのブランドであっても市場の近くに工場を投下するのが当たり前になっていて、トヨタやMAZDAも国内生産比率は年々低下することは避けられない。米国、メキシコ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、タイ、トルコ、ナイジェリアなどへの生産移管はどんどん進んでいる。


周回遅れですけど


トーマス・フリードマンが「レクサスとオリーブの木」を発表したのが2000年で、以来グローバリズムの危険性について様々な意見が飛び交い、バッシングという形でトヨタ、マイクロソフト、アマゾンといった多国籍企業に様々な試練を与えてきた。日本では約20年遅れてこれらの問題が語られるようになってきたが、しばしば唖然としてしまう意見にも出会う。先日も「日本から銀行が無くなる」と主張する本がYouTubeで紹介されていた。グーグルやアップルが日本で金融サービスを始めれば、顧客ファーストではない日本の銀行は太刀打ちできないと・・・。


「日本の銀行は手数料が高い」・・・そうだ。え?ATMや送金に関する手数料は長銀が外資系の新生銀行に生まれ変わった時(2005年頃)から、実質的に0円になっている。メガバンクもいち早く対応し、10年以上前から24時間ATMは0円で利用できている。関東MAZDAに新車の代金を支払うなどのレアなケースでは窓口を使うが、それでも手数料分はディーラーが面倒見てくれる。数年後に日本から銀行が無くなるかどうかわからないけど、もし無くなったとしても断じて「手数料」が理由ではないと思う。



なぜEC(欧州委員会)が悪いのか!?


グローバル化で銀行もクルマも変わるのかもしれないが、その議論はどれもあまりにも「的外れ」で「空虚」だと感じる。トヨタやMAZDAが掲げる「国内産業維持」にとって脅威とされているのがEVシフトであり、それを「日本潰し」として意図的に推進する欧州委員会(EC)を敵視する議論がカーメディア界隈で目立つ。しかしEUの人々が、EU域内で売られるクルマに条件を課すことに不満があるのであれば、日本政府が日本EU間のEPA交渉で堂々と主張するか、EU域内で工場を稼働させているトヨタ、日産、スズキがロビー活動を進めるべきで、これが国際的なルールだ。


外交力の無さを痛感してきた政府は、それを逆手に取って防衛費増額を「外交力アップの為」と真顔で国民に説明している。2003年のイラク戦争以来、アラブ諸国の軍拡(サウジアラビアの防衛費は日本の1.5倍相当)で潤ってきた米国軍需産業だけど、やや成長が鈍化してきた。アメリカが戦争の当事国になる時代はとっくに終わった。GDP成長率が高い東欧で何かを仕掛けるのはある程度は予想されていた。プーチンとアメリカはおそらく裏で繋がっている。



歯痒さの矛先


そんな誰でもわかる国際的な「茶番」をクソ真面目に報道するメディア(NHKやテレ朝)を見続ければ、どんどん頭が麻痺してくるのかもしれない。EC(欧州委員会)は曲者(悪い)!!と雑誌「CAR AND DRIVER 2023年1月号」でAJAJの菰田潔さんが書いている。EUからしてみたらなんで日本のメディアにそんなこと言われなきゃいけないのか!?内政干渉!?ってところだろう。日本のメディアだったら、トヨタは政府(自民党)にEPA交渉に、政府はトヨタにロビー活動に相互依存している。この主体性の無さに批判を加えるべきだ。


EV推進派もEV懐疑派も、「的外れ」過ぎる議論に、どちらも歯痒い思いを抱えているのだろう。そんな中で自民党やトヨタとのつながりをチラつかせながら活動されている池田直渡さんだが「自分は中立」とおっしゃいながらも、EV推進への懐疑論を一方的に捲し上げて、無知な読者(本を読まない人)を無用にアジるレビューを連発されている。「中立」というならばEV推進に対してもポジティブな意見の一つでも語ってほしいが、池田さんのレビューにそれを期待するのはまず無理そうだ。



本を読め!!


日経やCAR AND DRIVERは、どちらもメディア&出版不況が続く中で、なんとか命脈を保っている大手メディアであり、情報の多様性が担保されにくくなっている「情報化社会」においては、池田さんのレビューだけを読んで「EVシフト」への意見を形成してしまっているリテラシーの低い人も多いようだ。池田SNSのコメントを見てても、常連の方々の情報の「引き出し」が少な過ぎじゃないですか(ヤフコメ以下!?)。国粋&保守の風に吹かれることを悪いとは言わないが、そもそもEC(欧州委員会)の手法は、排気量で自動車税を決定する日本のやり方と同レベルだと理解した上で慎重に意見を述べてほしい。


「パーのスペクティブ」


ちなみにCAR AND DRIVER2023年1月号の名物コーナー「池田直渡のパーのスペクティブ」では、冒頭からちょっと看過できないことが書かれている。ちょっとムカつくけど釣られてみよう。

以下は引用

「トヨタにとって、プリウスの存在はとても大きい。トヨタの長い歴史において、金看板となってきたのは、クラウンとカローラである。耐久性と信頼性の高い乗用車メーカーとしての地位を築いてきたのは、その2台があったからだ。 

しかしながら、その後トヨタが世界No.1を争う地位にのし上がっていったのは明らかにプリウスの功績である。初代プリウスのデビューは1997年、トヨタ自動車のオフィシャルに夜75年史を見ると、2000年の生産台数594万台が、2007年には950万台へと躍進している。

この7年間に356万台増やしている。年間平均で見れば、約51万台ずつの増産ということになる。時間的には初代から2代目のプリウスの販売期にあたる。もちろんこの功績すべてをプリウスにカウントするのはフェアではないが、国内外でプリウスのエコカーイメージがトヨタ全体のイメージを牽引したのは事実であり、ハリウッドセレブがプリウスでレッドカーペットに乗りつけたり、国内販売のトップ3をハイブリッドが毎月のように独占していたことは読者の皆さんも記憶にあるだろう。それに加えて、プリウスのハイブリッドシステムがトヨタの多くのクルマに伝播していったことこそ躍進の原動力になっていったのだ。」

ここまで引用終わり。



残念ですがメチャクチャです

もうこれだけでクルマ好き、トヨタ好きにとっては、池田直渡さんが世論を主導することに疑問を感じることだろう。2000年から2007年の伸びの理由は、単純に2001年の中国のWTO加盟による市場解放によるものだ。プリウスは高級車でもないから中国企業との合弁で中国国内での生産が義務付けられるが、この期間にトヨタは中国でエンジン車を売りまくった。


さらにこの期間にトヨタが躍進した市場としては欧州が挙げられる。PSAとの合弁だったり、欧州向けカローラ(カローラランクス / アレックス)やアベンシスが欧州市場で大ヒットした。日本市場でこそプリウスは無類の強さを発揮したが、トヨタの国内販売台数は目立って伸びていない。そこでグローバルの販売台数を無理やり押し込んでメチャクチャな説明を仕立てている。



トヨタの素晴らしさがわかってない!?

トヨタのクルマ作りを評価する人は、現在のMAZDAの設計をパクったTNGAではなくて、リーマンショック前のカローラランクス、アベンシス、アルテッツァ、ブレードマスターなどを名車に挙げる。この頃に開発されたユニットが、最新鋭のロータス・エミーラにも使われている。ホンダVテックに対抗して設計された、ヤマハ製2ZZ-GEはセリカ、カローラランクスだけでなく、ロータスエリーゼにも搭載された。


いくらレビューでプリウスを持ち上げたいからといっても、2000年代のトヨタが成長すべくして成長した「黄金時代」を捻じ曲げて説明してはいけない。このレビューに限った話ではないが、池田さんのレビューには「名車」という概念が徹底してないので、この人はクルマが好きなわけではないのだな・・・と勘繰ってしまう。



ダイバーシティ礼賛

いろいろなタイプの評論家が居ればいいと思うし、池田さんのレビューを読んでクルマ選びの参考にする人もそれなりにいるのだろう。アメリカの軍需産業がG20レベルの国々に対してGDP比2%の基準を押し付けることに成功したように、自民党とトヨタも「EV懐疑論」を国是とすべく池田さんに接近しているように見えてしまう。当然ながら積極的なEVシフトこそが国益にかなっていると考える人々から批判コメントがたくさんやってくるらしい。


イケイケなEV推進派から見れば、自民党とトヨタが相乗りした巨大な泥舟の船長といったところだろうか。EC(欧州委員会)の狙いが何であれ、域内にEVを増やしたいという意思決定に安易に干渉すべきではない。日本が国内需要分だけエンジン車を作るのは自由だが、いくら雇用が失われるからと言っても、米国やEUに輸出し続ける権利は存在しない。「地産地消」を進めるホンダや日産の方針は、国際協調主義(平和主義)という意味で十分に理にかなっている。



無用な議論と無用な分断


自動車立国としての既得権益を必死で守るべきなのか。それとも経験も資金も十分にある超一流企業へと成長した日本メーカーが、ユーザー・ファーストの精神で世界中から愛される多国籍企業になる重要な過渡期なのか。日本の未来を切り開く「意識高い」人々がEV推進派に肩入れするのは仕方のないことだと思う。間違ってもらっちゃ困るが、EV推進に乗っかってしまう「意識高い」人の多くが、賢くて本をたくさん読んでいてテクノロジーを使いこなしていて建設的な議論をしているとは全く思わないが・・・。


もちろん二者択一の問題でもない。EV懐疑派にも守るべきものと信念がある。自民党とトヨタから期待を寄せられている池田さんには、更なるご活躍を心から願っている。微力ながらツイッターやブログでこれからも反応していきたいと思う。老婆心から叱咤激励を申し上げたいが、EV推進派と対峙するならば、このブログで指摘してきた「疑念」を抱かせるような錯誤した内容を安易に書くべきではない。今後ともレビューの構成・論点に関しては細心の注意を払って頂きたい。


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