「アバルトとは何ぞや・・・」オッサンライターの矜持を見せろ!!(ニューモデルマガジンX1月号)

  なにやら年末も近づいてカーメディアがちょっと面白くなった模様です(廃刊への恐怖か?)。それにしても、いまや主役はクルマでもメーカーでもなく、オッサンライターの滑稽な立ち振る舞い(パーソナリティ)ですねー。若手の島下泰久氏や山田弘樹氏の活躍もなかなか目立ちますけども、連載も多くたくさん読むわりには「何書いてたっけ?」あまり印象に残らないのに対して、オッサンライターのふざけ半分のレビューは、メーカーの担当者を挑発しているようにしか読めないタブー感・背徳感が溢れてやがります。今月もハイハイ釣られましたよ!!西川さん、高平さん、それから斉藤さん・・・。

  ニューモデルマガジンX1月号(11/26発売)のオッサン3人連載は、タイトルにもあるように「アバルトとは何ぞや・・・」という連中の大得意なフォーマットです。若い読者にとっては、アバルトなんてNISMOやSTIと何が違うの?って感じですけど、そこを豪快に線引きしてくるのが、「before1989世代」(ゴールデンイヤー以前から免許持っている世代・アラフィフ以上)なんですね。

  今回も相当に悪質な書きっぷりなんですけども、単にスズキやダイハツのクルマを扱き下ろすだけの「非生産的」な憂さ晴らしレビューとは全く違って、アバルトという日伊友好の架け橋(イタリアの次に売れているのが日本らしい)を、下の世代に「伝承」する意味ではそこそこ意義があったと思います。品評されるクルマはもちろん「アバルト124スパイダー」。広島で組み立てて、広島でチューンされる話題のアバルトです。

  「アバルトとは何ぞや・・・」という崇高なテーマに挑むも、3人のオッサンが片手間に談笑するだけですから、何ら議論が深まるわけもなく、「なんで俺達はコレが気に入らないんだろー」という何とも女々しいスタイルの井戸端会議をアラフィフのオッサン達が繰り広げております。それを読んでに・・・多くの若い読者は異質さ(気色悪さ)を感じるとは思うのですが、なんだかんだ日本人のメンタリティってそーいえばこの程度だよなーと妙に納得します。そもそも我々世代には「アバルトって何?」って訊かれて「商標」以上のまともな答えを思いつかないのもまた事実です。結局は誰がやっても同じようなグダグダした話になるのかなー。オッサンだから何でも知っているというわけではない・・・アバルトについて「本質」を知りたかったら大矢アキオさんの本を読むしかないようです。

  ただし今回のオッサン連載は、読んであれこれ考える材料くらいにはなります。もはや自力でロードスターを存続する体力もなくなっていたマツダに助け舟を出したのが、フィアットの銀行出身のCEOなのは事実。そんなフィアットが倒産の危機の時に、強力に支援したのがリビアの独裁者だったカダフィ・・・。カダフィがいなかったら日本自動車産業の「至宝」が消えていたかも!?・・・ってそんなことじゃなくて、エンジェルとなってくれたフィアットへの敬意と感謝を込めて、「ミニ・フェラーリ」のような渾身の美デザインの4代目ロードスターが完成しましたし、テールライトなんて明らかにフィアットファミリーを意識しています。やはり日伊友好の架け橋ですね。

  歴代ロードスターの主力市場は日本でも欧州でもなく北米で、特にアメリカの女性のニーズに応えてきたと言われています。マツダもそのニーズを十分に認識していて、NDロードスターも当初の発注どおりアルファロメオに納入して、アルファが北米で復活する「布石」としても活躍できるモデルを目指した様子が伺えます。

  西川さん主導で最初から結論ありきな「マツダの方向性とアバルトは相容れない」というのが出発点で、そこから意外な結論として、コンパクトスポーツカーはFRよりFFの方がよりスリリングなドライビングができる!と展開し、FRだとやや大人しくなってしまって「アバルトの刺激」にまで高まらないってことみたいです。スポーツカーはやや専門外な高平さんは日本車におけるロードスターの価値を念頭に置いて「言葉を選んで」いますが、そこにロードスター、マツダ&日本車が大っ嫌いな斉藤慎輔さんがここぞとばかりに「マツダ批判」を繰り出すので、そっちに議論が引っ張られます。結局はみんなで「マツダはウザい」の大合唱・・・。

  斉藤さんのマツダ・ディスの「毒」があまりにも強く、なんだか「マツダが悪者」にも読めてしまうのですが、今月の「モーターファンイラストレーティッド」では、アバルト124スパイダーとロードスター(1.5L)の乗り比べ企画が行われていて、どうやら124スパイダーに搭載される1.4Lマルチエアーが相当にダメだと結論されてました。元々は三菱の設計によるエンジンをフィアットが大事に使ってきたシロモノですが、ピュアスポーツのマツダが作る専用エンジンはやはり手数で完全に上を行くようです。自然吸気らしく7000rpmにピークを持ってきていて、しかも小排気量の高回転=凄まじい雑音という先入観すら打破するくらいに、マツダのロードスター専用スカイアクティブ1.5Lの高回転はなかなか良い音がします。これはもっと「ブランド化」しても良いのでは?

  さてオッサン達の結論は、アバルトではなくて「フィアット124スパイダーtuned by Mazda」で売れ!!というものです。ピュアスポーツの最先端を自他共に認めるトップランナーのマツダと、オリジナリティを尊ぶ人々によって育まれてきた「改造車文化」を象徴するようなアバルトでは、言ってみれば水と油なのかもしれません。それが言いたかったならば、今回の企画は相当にモヤモヤしてますけど、ある程度は「なるほど!」と思えます。ただしこれはあくまで後付け解釈ですけどね・・・。ハッキリしていることは斉藤さんはマツダが徹底的に嫌いだということ(笑)。


コメント

  1. 「before1989世代」(笑)
    すみません、自分まさにその世代ですし昭和時代からクルマ好きでしたが、興味・関心の方向が違っていたのかアバルトには思い入れがまったくありません。

    ロータス(いすゞのハンドリング・バイ・ロータスとか)やら
    イルムシャー(これまたいすゞ)やら
    デトマソ(ダイハツ・シャレード)やらは記憶に残ってますが、
    アバルトは本当に「存在は知っているが興味なし」ですね、未だに。

    20世紀末に欧州に住んでいたことがあるのですが、あちらでもアバルトなぞ見た覚えがありません。インプのSTI、それも右ハンドルに鼻高々で乗ってる白人男性はよく見ていましたけどね。

    数年間、欧州で暮らしたおかげで日本の自動車メディア・評論家・マスコミがいかにデタラメか、日本国内で「海外」「欧米」についての嘘情報を垂れ流しているかがよく理解できました。

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    1. コメントありがとうございます!!

      西川氏によるとアバルトファンは第一世代と第二世代があってってことらしいです。当方は2000年頃免許取ったので第二世代(2010年〜)しか知りませんし、アバルトと言ったら浮かぶのはプントエボです。第二世代アバルトはNISMOと何が違うの?って気もしますけど、またプントベースが発売されたらちょっと考えます。

      西川世代は第一世代もわかっているみたいなんで、その知識を存分に開示してくれれば良かったんですけど、その辺のウンチクは残念ながらありませんでした。第一世代なんてほとんど実体は無かったんですね。ちなみに20世紀終わり頃はアバルトは解散していた模様です。

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