自動車メーカーもこのレベルのAJAJライターにレビューされたくはないだろ・・・。

 



こんなレビューが許されるのか!?

自動車ネットメディアのレスポンスで試乗レビューを書いているAJAJライターのあるレビューが気になった。ネット媒体の微々たる原稿料で自動車メーカーやインポーターと険悪になるリスクは取れないだろうから、中身のないレビューばかりなので普段はほとんど読まないけど、たまたまパサートのブログ記事を書いていたところだったのでちょっと眼を通した。なんとも言えない違和感に襲われた。


<ここから引用>

「FWDのVWの祖がゴルフだと思っている読者が多いかもしれないが、純粋にVWが開発した最初のFWDモデルは、実はこのパサートである。」

<引用終わり>



福野&沢村では絶対にありえないレベル

失礼だけど、ほんのわずかの文章の中に盛り込まれた、おぞましいほどの「何から何までが異次元」なトンチンカンさが炸裂している(全編読んでも中身は全くありません)。この文章を福野礼一郎や沢村慎太朗といった非AJAJでも仕事の依頼がどしどしやってくるレベルのライターなら絶対にありえない内容だ。もし彼らこんな内容を書いたら一気に読者の心象を害して信頼を失ってしまうだろうし、クルマ好きが読んだら「何言ってんだ!?」という的外れ感がハンパない。もっともK沢M宏とかS水K夫とかいったAJAJ大御所ライターならば書いていても何も驚きはしないが・・・。


なぜそう考えたのだろうか!?

それにしてもツッコミどころが多過ぎる。多分「読者の多く」は「FWDのVWの祖」ではなく「横置きFWDのVWの祖がゴルフ」だと思っている。初代ゴルフの革新的なスタイリングは著名デザイナーの出世作としても知られているけど、誇り高いドイツメーカーが柔軟な姿勢でルノー、MINI、ホンダなどで人気を博していた「横置きFF」に乗り出し始め、とてもセンセーショナルなスタートを切ったことに初代ゴルフの「歴史的な意味」がある。


縦と横が区別できてない!?

10年ちょっとくらい前からメルセデスやBMWもそれぞれ三菱、ホンダのシャシーをM&Aで手に入れて「横置きFF」モデルが増殖しているが、長らくドイツ車とは、大衆ブランドのVWやオペルを除き、「縦置きプラットフォームの高級車」を意味していた。ほとんどが横置きFFに変わった日本メーカーにおいてもトヨタと日産は「皇室専用車」や「公用車」を制作する能力を保持するために「縦置き」を残しているが、現在ではアメリカ市場のレクサスやインフィニティも主力モデルは「横置きFF」になっている。


VWラインナップの全貌

VWブランドでは「トゥアレグ」と「フィデオン(中国専売)」及びピックアップトラックの「アマロック」といった特殊な大型モデルを除けば、「FF横置き」がほぼ全ラインナップを覆っている。日本市場でのVWの正規販売は全て「FF横置き」になって久しい。1974年に登場した初代ゴルフで採用された「横置きFF」が、2000年代に日本メーカーのA社とB社のシャシー技術を巧妙に取り入れつつ「MQB」モジュラープラットフォームを完成させ、ほぼ全ラインナップを網羅している。


VWが純粋に開発した!?

このAJAJライターさんがレビューで述べているのは、VWのFFの祖はゴルフではなくパサートだ!!ってことなんだけど、初期のパサートはゴルフとは共通のシャシーを使っておらず、傘下のアウディのシャシーを流用して設計された「縦置きFF」だった。アウディのシャシーを使っているのだから、純粋なVWのFFはパサートだ・・・は奇妙なミスリードに感じる。縦置きFFは、AWDで大排気量エンジンを搭載する、あるいはスバルのように水平対抗エンジンを使うためのシャシーとしては有効だけど、小排気量ターボ化をリードし、かつ世界ナンバー1の量販グループを目指すVWにとっては「横置きFF」への収斂は当然の選択だった。ゴルフこそがVWのFFの元祖でいいと思うが・・・。


カーメディアの問題点

この人に限った話ではなく、日本のカーメディアは「技術競争」における自動車メーカーそれぞれの立ち位置を倒錯させてレビューすることが多い。素人があれこれ物申す立場ではないかもしれないが、彼らのミスリードのおかげで、個人的に書いてきたクルマを楽しむためのブログに、何度となく攻撃的なコメントが寄せられイライラしてきた(実害があった)。10年ほど前のカーメディアはとにかく「ダウンサイジングターボは正義」という立場だった。この人たちは実際にクルマに乗った上でターボがいいと書いているのだろうか!?訝しい思いをそのままブログで吐露していた。実際にVW、BMW、メルセデスなどのダウンサイジングターボ車をいくつも試してみたけど、正直言ってこの乗り味には毎度のようにがっかりさせられていた。


悪いものは悪い

ちょっとしたゆるい登りですぐパワーがタレる・・・そんなクルマが大幅値引きで500万円。日本のユーザーを舐めるなよ!!って思っていたけど、案の定そんなモデルに金を払う人は少数派だったようで、ドイツブランドの売り上げは悪化の一途をたどっている。確かにミニバンや軽自動車から乗り換えればダウンサイジングターボの機動力は「別世界」のような乗り味だったかもしれない。私の場合は乗っていたクルマがMAZDAのフラッグシップだったので、全くその感動はなかった。失礼だが出来の悪いドイツメーカー車の価値も、それを批判するブログ記事に攻撃的なコメントをくれた人々の気持ちも理解できなかった。そしてVWのシャシーへの「認識」があまりにも違い過ぎるこのAJAJライターのレビューも同様に理解できない・・・。



自分たちで首を絞めている

2013年くらいならともかく、今ではダウンサイジングターボが最先端であり、日本メーカーは遅れているという人はかなり少なくなった。カーメディアも10年前の愚かな主張は完全に「なかったこと」にして気まずそうにレビュー書きを続けている。10年前の間違った認識をごまかしたまま先に進んでいるから、もはや本質的な技術論すら書けないだろうし、主要自動車メーカーで使われるシャシーが、どんなルーツで進化したかを書くこともできない。メルセデスは三菱、BMWはホンダ、VWはMAZDAとスズキ・・・なんて広告料ありきのカーメディアでは絶対に書けないことではあるけど。



 






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