水野和敏 と 福野礼一郎 論理的だが真逆の結論




  自動車レビューなんてクソだ

そこらじゅうのカーメディアに掲載されている自動車のレビューのほとんどはハッキリ言って読む意味はあまりないと思う。他人のフィルターを通したクルマの印象なんてなんの価値もない。大多数のクルマユーザーにとってはレビューは本来は大事なものなんだけども、日本のカーメディアは徹底的に信頼を裏切ってきた。どこのメーカーを贔屓にしてもいいけどさ、読んで信頼に値するだけの知性を持った書き手がほとんどいない非情な現実。



2人だけ別次元

そんな中でベストカーと独占契約?となっている水野和敏さんと、モーターファンイラストレーティドなどの連載で活躍する福野礼一郎さんは、どちらもAJAJの非会員ではあるが、単行本を何冊も出している日本のカーメディアの期待の星だ。どちらも還暦を超えていらっしゃるが・・・。この2人がメルセデスAクラスのレビューで全く逆の評価をしていた。どちらも非常に納得できる内容だったんだけど、片方は「論外」、もう片方は「理想的な仕上がり」だってさ。



論理的な批判ならば読みたいと思うが・・・

論理が尽くされているならば、自動車レビューの結論なんてどーでもいいと思う。たとえ自分のお気に入りのモデルがボロクソに批判されていても納得ができればそれでいい。そりゃどんなクルマにだって欠点はあるさ(ドイツ車好きなダサい連中の一部にはこんなこともわからないクズがいるようだが・・・)。世界の量販メーカーで最も完成度の高いと思われるマツダ車やホンダ車を、「正しく」批判できる人のレビューなんてお金を払ってでもぜひ読んでみたいと思うけども、おそらく専門的すぎてとんでもなく難解な学術書みたいになるんだろーな。


結論ありき・・・

より多くの人に読んでもらいたいカーメディアでは、まあ仕方のないことかもしれないけど、「輸入車は日本車より絶対的に高性能」という結論ありきの「一方通行」がルールなので、読者にはあからさまに悟られないように「輸入車>>>>>>>>>日本車」という絶対に越えられない壁を思いっきり演出する(バレバレ、下手すぎ)。それが仕事なんだから仕方ない。当然ながら「ダブルスタンダード」もあるだろう。サスが固めだったら一方には「スポーティ」でもう一方には「乗り心地を欠いている」と表現する・・・読者側も了解した上で読まなければいけない。しかし最近ではウェブメディアの氾濫でレビューの質は下がり続けていて、ニューモデルマガジンXなんて「使い古された悪口」を並べるゴミレビューが誌面を覆っている。



規制ではなく論理だ!!

しかし最近では、「スイフトスポーツの方がメルセデスEクラスより断然に乗り心地がいい!!」とかまともなことを書いて「新しさ」を演出してくるライターも出てきた。平成も終わり新しい時代にふさわしいカーメディアへ変化しつつあるようで、「ホリデーオート」は長く続いたコーナーを終了させるなど、これまでの日本車・輸入車の「ダブルスタンダード」レビューへのコンプライアンスを強化しているようだ(見かけなくなった)。「カーアンドドライバー」は時折に主筆の重鎮・岡崎宏さんが輸入車びいきを見せるけど、全誌面で差別的に「日本車は・・・」と書くことが禁止されているようだ。論理が深まることもなく、ただひたすら「暴力」だけを取り締まっている。余計につまらなくなったな・・・。


当たり前のこと書くな!!

プロのライターが「メルセデスよりスイスポの方が乗り心地がいい!!」とかマトモなこと書いちゃダメだろ。一般的にはアウディやBMWよりメルセデスの方が乗り心地に関する仕上がりは良いケースが多いし、スズキよりもダイハツ、ホンダ、三菱の小型車の方がよくできている訳で、全てのヒエラルキーが否定されてしまう。これはもうあまりにも身勝手な結論に過ぎない。「マツダよりもトヨタの方が乗り心地がずっといい!!」と主張しているのと同じレベルの話だ。


天邪鬼

還暦二人の意地の張り合いなのだろうか? お互いに意識をしているということはないだろうけども、福野さんは90年代、2000年代を通じて輸入車の価値を主張してきたが、それゆえに新型Aクラスの設計は非常に不満で仕方がないらしい。一方で水野さんは、長らく日産の開発者としていくつもの歴史的名車を手がけてきた中で、ポルシェだろうがBMWだろうが日本メーカーが本気を出せば十分に勝てるというスタンスを持っていたのだろう。日本メーカーの開発者はトヨタだろうがマツダだろうが同じようなことを言っている。


どちらも確信犯と断定

福野さんよりもドイツメーカー車への期待値が最初から低い水野さんは、メルセデスAクラスの出来は「92点」と評価している。とりあえずすでに水野コーナーで採点済みの各車と比べても、先代&現行の3シリーズ、ジュリア、WRX・S4、現行アテンザ、現行クラウンなどよりも高い点数が与えられている。ついでにベストかーで温厚そうな渡辺陽一郎さんが「これはいくらなんでもふざけすぎ!!」とブチギレしてツイッターにも流していたVWポロにも水野さんは「90点」を与えている。


見習いたい・・・

二人ともに、自らの天邪鬼っぷりを示すために、知識と経験をフル動員して言葉を尽くしている。ガキじゃん!!・・・いやいや「天邪鬼」ってのは人を感動させるコンテンツを作るにあたっての最大のエネルギー源なんだろう。還暦を過ぎて、本を買ってくれるファンもたくさんいて十分に名声を得ているオッサンが、自身は絶対に買わないであろうメルセデスAクラスを「女性のためのクルマ」ってこともよくわかった上で、よくもこれだけ頭を使って道理を考えてくるもんだ・・・それを同じくAクラスなんて全く興味がない読者に面白い!!と言わせるだけのレビューに仕上げてくる。これこそがプロフェッショナルの仕事ってやつなんだろな・・・。






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